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番外編
何をするつもり?
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「こんなモンでいいかな?」
「そうだね。後はおっちゃんに言えば作ってくれるんじゃないかな?」
『ご主人様は先程から何をお求めになられているのですか?』
『うむ、妾も気になるのう。それにしてもこちらの世界は店の規模が桁違いじゃな。』
今俺とライムはホームセンターで買い物中だ。ちょっと異世界での生活を便利にしてやろうと思ってな。ライムの親御さんは異世界での結婚式のあれこれで俺達が向こうではかなりの重要人物だって事を実感したみたいで、生活基盤を異世界メインにする事を了承している。
こっちの世界にはサンタナもアクアもいつも同行してるんだが何処に行っても新鮮な反応をしてくれるので俺としても嬉しくなる。
今日もホームセンターの中をあっちにひらひらこっちにひらひらと飛び回っては手招きして俺やライムを呼ぶんだよ。
『ご主人様っ!こ、これは何です!?』
「ああ、それな。チェーンソーだ。別名をミストルテ〇ンって言うんだよ。」
『なんと!聖剣なのですか!?」
違うけど。
『これを見るのだライム!これは何に使うものじゃ?』
「それはねえ、おトイレだよ。」
とまあ一般人には見えないのをいい事にやりたい放題だ。
それで俺が何を調達したかと言うと…
「ドライバーにビス、ボルトナットにスパナにレンチ。ホントは電動ドリルとかも持って行きたいんだけど電気無いからなあ。いっその事発電機…いや、燃料がな。ま、こんなもんでいいか。あ、電気と言えばバッテリーもか。」
「かずと、後は携行缶にガソリン入れて、オイルとかも欲しくない?」
「おっ、そうだった。さすがライム。よしよし。」
「えへへへ~。」
大体察して貰えたかと思うが俺が異世界で便利にしようと思っているのは移動手段。取り敢えず動くレベルの廃車寸前の車を捨て値で購入、後はオフロード用のバイク。それに自転車。こいつらを異世界に持って行って、ガイアのおっちゃんにバラさせる。それだけでも似たような物を作ってくれそうなんだけどな。それで今日購入した治工具類はおっちゃん見せて同じような物を量産して貰おうかなって。
『動力源なら魔石で代用が利くのではないでしょうか?』
このサンタナの一言が切っ掛けだった。ではなぜ異世界には自走式の乗り物が無いのだろうか?
『基本的に馬車というのは貴族の乗り物じゃからな。貴族が自ら車を動かすような事はせんじゃろ。他人に任せられる事は他人にやらせる。それが貴族という生き物の一面じゃ。御者と馬車が有れば貴族はただ乗っているだけでいいからのう。』
なるほどな。偉い人が運転手付きの高級車に乗ってる感じか。つまらねえ。車なんて運転してナンボだろうと俺は思うが。
◇◇◇
「おい坊主!なんだそりゃ!?」
「なんだいなんだい?面白そうなものを持って来たね!」
異世界に転移して、ライムがドカンと収納から車やバイク、自転車を出すと予想通りおっちゃんとローレルがすっ飛んで来た。
「これな。自走式の乗り物だ。動力部はちょっとこっちの世界じゃ無理だが構造を理解すれば似たようなの作れるだろ?2人ならさ。あとは部分的には普通の馬車にも応用が効く。どうだ?やってみないか?」
そう言ってガソリンを入れて…ダメだ、やっぱりセルが回らねえ。ボンネットを開けてバッテリーを交換する。さて…
キュルキュルキュル…ブォン!
よし来た!少し走らせてみようか。おっと。ライムもバイクに火を入れて並走してきた。おいおい、ヘルメット準備してないからって兜被ってんのかよ。笑っちまうだろ!
初めて聞くエンジン音に驚いていたおっちゃんとローレルだが車とバイクのその加速とスピードにも驚いていた。でもこのくらいのスピードならランとチェロの方が速いんだけどな。まだ80キロくらいしか出してない。
さっくりと走り終えて戻ってみるともう目を輝かせてるし。
そしてガイアが弟子を呼んで解体を始めたんだが構造とか役割とか、結局全部説明する羽目になった。いや、自転車ならまだしも車の構造全部とか無理だから。俺整備士じゃねえし。それでも余計な機能をオミットするとそれなりに簡素な構造だと言う事が分かる。それこそ走って曲がって止まるだけ。後は異世界式にアレンジしてけばいいだろうしガイアとローレルならやってくれるさ。
約一年後、異世界初の自走式の車の試作一号が完成するのだが、バラした車が元の姿に戻る事はなかった。
いつか異世界をドライブしながら旅をするのもいいかもしれないな。な?ライム?
『私もご主人様の隣でどらいぶしたいです!』
『妾もじゃ!』
「そうだね。後はおっちゃんに言えば作ってくれるんじゃないかな?」
『ご主人様は先程から何をお求めになられているのですか?』
『うむ、妾も気になるのう。それにしてもこちらの世界は店の規模が桁違いじゃな。』
今俺とライムはホームセンターで買い物中だ。ちょっと異世界での生活を便利にしてやろうと思ってな。ライムの親御さんは異世界での結婚式のあれこれで俺達が向こうではかなりの重要人物だって事を実感したみたいで、生活基盤を異世界メインにする事を了承している。
こっちの世界にはサンタナもアクアもいつも同行してるんだが何処に行っても新鮮な反応をしてくれるので俺としても嬉しくなる。
今日もホームセンターの中をあっちにひらひらこっちにひらひらと飛び回っては手招きして俺やライムを呼ぶんだよ。
『ご主人様っ!こ、これは何です!?』
「ああ、それな。チェーンソーだ。別名をミストルテ〇ンって言うんだよ。」
『なんと!聖剣なのですか!?」
違うけど。
『これを見るのだライム!これは何に使うものじゃ?』
「それはねえ、おトイレだよ。」
とまあ一般人には見えないのをいい事にやりたい放題だ。
それで俺が何を調達したかと言うと…
「ドライバーにビス、ボルトナットにスパナにレンチ。ホントは電動ドリルとかも持って行きたいんだけど電気無いからなあ。いっその事発電機…いや、燃料がな。ま、こんなもんでいいか。あ、電気と言えばバッテリーもか。」
「かずと、後は携行缶にガソリン入れて、オイルとかも欲しくない?」
「おっ、そうだった。さすがライム。よしよし。」
「えへへへ~。」
大体察して貰えたかと思うが俺が異世界で便利にしようと思っているのは移動手段。取り敢えず動くレベルの廃車寸前の車を捨て値で購入、後はオフロード用のバイク。それに自転車。こいつらを異世界に持って行って、ガイアのおっちゃんにバラさせる。それだけでも似たような物を作ってくれそうなんだけどな。それで今日購入した治工具類はおっちゃん見せて同じような物を量産して貰おうかなって。
『動力源なら魔石で代用が利くのではないでしょうか?』
このサンタナの一言が切っ掛けだった。ではなぜ異世界には自走式の乗り物が無いのだろうか?
『基本的に馬車というのは貴族の乗り物じゃからな。貴族が自ら車を動かすような事はせんじゃろ。他人に任せられる事は他人にやらせる。それが貴族という生き物の一面じゃ。御者と馬車が有れば貴族はただ乗っているだけでいいからのう。』
なるほどな。偉い人が運転手付きの高級車に乗ってる感じか。つまらねえ。車なんて運転してナンボだろうと俺は思うが。
◇◇◇
「おい坊主!なんだそりゃ!?」
「なんだいなんだい?面白そうなものを持って来たね!」
異世界に転移して、ライムがドカンと収納から車やバイク、自転車を出すと予想通りおっちゃんとローレルがすっ飛んで来た。
「これな。自走式の乗り物だ。動力部はちょっとこっちの世界じゃ無理だが構造を理解すれば似たようなの作れるだろ?2人ならさ。あとは部分的には普通の馬車にも応用が効く。どうだ?やってみないか?」
そう言ってガソリンを入れて…ダメだ、やっぱりセルが回らねえ。ボンネットを開けてバッテリーを交換する。さて…
キュルキュルキュル…ブォン!
よし来た!少し走らせてみようか。おっと。ライムもバイクに火を入れて並走してきた。おいおい、ヘルメット準備してないからって兜被ってんのかよ。笑っちまうだろ!
初めて聞くエンジン音に驚いていたおっちゃんとローレルだが車とバイクのその加速とスピードにも驚いていた。でもこのくらいのスピードならランとチェロの方が速いんだけどな。まだ80キロくらいしか出してない。
さっくりと走り終えて戻ってみるともう目を輝かせてるし。
そしてガイアが弟子を呼んで解体を始めたんだが構造とか役割とか、結局全部説明する羽目になった。いや、自転車ならまだしも車の構造全部とか無理だから。俺整備士じゃねえし。それでも余計な機能をオミットするとそれなりに簡素な構造だと言う事が分かる。それこそ走って曲がって止まるだけ。後は異世界式にアレンジしてけばいいだろうしガイアとローレルならやってくれるさ。
約一年後、異世界初の自走式の車の試作一号が完成するのだが、バラした車が元の姿に戻る事はなかった。
いつか異世界をドライブしながら旅をするのもいいかもしれないな。な?ライム?
『私もご主人様の隣でどらいぶしたいです!』
『妾もじゃ!』
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