140 / 240
番外編
国家行事!?
しおりを挟む
「こりゃあまた…」
俺は頭を抱えて帰りたくなってしまった。
「なあ、ライム。これって王族の結婚式とかよりもすげえんじゃねえ?なんで国外の要人までいっぱい来てるんだよ。」
「ああ、かずとは聞いてないの?目出度い事は一度に纏めちゃおうって事でセリカの戴冠式もやるんだって。とりあえず三日三晩は行事が続くみたいだね。」
「それって俺達も強制参加?」
「らしいよ?」
ライムも苦笑。俺も苦笑。
「まあまあ大将。王侯貴族だけじゃなくて平民、しかもエツリアやバンドーの連中までも大将の事は恩人だと思ってるんだ。諦めろって。ハッキリ言って列島の東半分は大将の信者だぞ?」
「しかもセリカ様もバンドーの皇女様方も本心ではカズトさんに国を治めて貰いたいと思ってる。そこをグッと堪えてる訳だからカズトさんも三日くらい我慢しなくちゃ。」
こいつら…他人事だと思って。アクセル達元フルスロットルの面々は俺達の身辺警護だ。裏の方では爺さんや千代ちゃん、クノイチ達が目を光らせている。
「大将に警護とは不毛だな。」
ポツリと呟いたアクセルにデコピン食らわせたのは当然の流れだ。ちなみにアクセル達に元、と前置きしたのは現状彼等はAランク冒険者としての身分より騎士としての活動を優先しているからだ。なんでも騎士団長に抜擢される予定らしいぞ。ソーマの街の。俺の見込みじゃこれは只のステップで、最終的には王都の騎士団を任せられるんだろう。今はアコードがいるけど、アコードが現役の内にアクセルを育てたいんだろうな。戦闘面以外の腹芸ってヤツを。
「ライム様、そろそろお召し物を。」
「うん、今行くよ。かずと、お父さんをお願いね!」
「おお。」
侍女がライムを呼びに来たんで俺はライムの両親の元へ向かうかね。
「か、か、一刀君!?ここはまるで宮殿のようなんだが?しかも扱いが…もう訳が分からないんだが?しかもさっきは女王陛下とか言う女性が挨拶に来たんだよ!サプライズかい?サプライだよね?」
「えーと、落ち着いて下さい。こっちの世界での俺とライムはこういう扱いをされる存在なんですよ。だからシャンとして下さいね?ライムが笑われちゃうんで。」
なんだかちょっと面白くなってプレッシャー2割増しにしてあげた。
「わ、わわわ、わかった!シャンとだな、シャンと。」
それはシャンとじゃなくてガチガチって言うんだけどな。まあ、一般庶民の反応としては当然のものだろうし堂々としろって言っても無理だと思うよ。うん。
まずは王宮内でセリカの戴冠式が行われた。これは厳かな雰囲気で本当に要人しか出席していない。他国からの招待客も国のトップかそれに準ずる者。オーシュー国内でも伯爵以上しか出ていないようだな。俺達のパーティーでも俺とライムだけが特別枠でこの場所にいる。
召喚されたあの日、傲慢に振舞いイレギュラーな存在である俺を排除しようとしたセリカより、今のセリカは幾分大人びて見える。潜り抜けた数多の修羅場がセリカを成長させたのだろうが纏う気品や威厳は17,8の少女のものではない。国内外の重鎮達も『小娘が』などと侮っている者は皆無だ。インテグラーレ公などは心服しているしエツリア王などはかつて味わった恐怖を思い出しているかも知れない。戴冠式という一世一代の晴れ舞台に臨んだセリカの威風堂々とした姿はかつて貴族主義のもと虐げられてもがき苦しんでいた少女の面影は微塵も感じられなかった。
戴冠式の後は要人による晩餐会があったが俺達は遠慮させてもらった。何しろ明日は俺達が主役のイベントが待っているし、なによりライムの両親を放置しすぎるとお義父さんの精神衛生上よろしくない感じだったのでライム達家族三人水入らずで過ごしてもらっている。
俺?眷属達やローレルにおっちゃん、爺さんに千代ちゃんがいるから寂しくないぞ。それにルーチェさんとキャロルちゃんも来てくれた。宿は臨時休業なんだってさ。サニーとグロリアは今日は家族と過ごしている。クノイチ達は任務に就いている。フルスロットルのみんなはライムの家族の警護。俺には警護はいらんだろ。
そして翌日。
城下にある教会での誓いの儀式。これは極々内輪で行わせて貰う事にしてある。
「か、かかか一刀君!なぜ女王陛下が居るんだい?」
「あら、お父様。カズトには親族がいないとの事なので私が代表で。誰にも祝福して貰えないのではカズトが可哀そうではありませんか?」
今日のセリカは少し意地が悪い。今日この場での儀式の相手が自分ではなくライムだっていう事に対するやっかみだろうか。
「お義父さん、別に取って食われる訳じゃないからそんなに緊張しなくてもいいですよ。」
「あ、ああ。」
《新婦、ライム様のご準備が整いました!》
やべえ、緊張してきた!
俺は頭を抱えて帰りたくなってしまった。
「なあ、ライム。これって王族の結婚式とかよりもすげえんじゃねえ?なんで国外の要人までいっぱい来てるんだよ。」
「ああ、かずとは聞いてないの?目出度い事は一度に纏めちゃおうって事でセリカの戴冠式もやるんだって。とりあえず三日三晩は行事が続くみたいだね。」
「それって俺達も強制参加?」
「らしいよ?」
ライムも苦笑。俺も苦笑。
「まあまあ大将。王侯貴族だけじゃなくて平民、しかもエツリアやバンドーの連中までも大将の事は恩人だと思ってるんだ。諦めろって。ハッキリ言って列島の東半分は大将の信者だぞ?」
「しかもセリカ様もバンドーの皇女様方も本心ではカズトさんに国を治めて貰いたいと思ってる。そこをグッと堪えてる訳だからカズトさんも三日くらい我慢しなくちゃ。」
こいつら…他人事だと思って。アクセル達元フルスロットルの面々は俺達の身辺警護だ。裏の方では爺さんや千代ちゃん、クノイチ達が目を光らせている。
「大将に警護とは不毛だな。」
ポツリと呟いたアクセルにデコピン食らわせたのは当然の流れだ。ちなみにアクセル達に元、と前置きしたのは現状彼等はAランク冒険者としての身分より騎士としての活動を優先しているからだ。なんでも騎士団長に抜擢される予定らしいぞ。ソーマの街の。俺の見込みじゃこれは只のステップで、最終的には王都の騎士団を任せられるんだろう。今はアコードがいるけど、アコードが現役の内にアクセルを育てたいんだろうな。戦闘面以外の腹芸ってヤツを。
「ライム様、そろそろお召し物を。」
「うん、今行くよ。かずと、お父さんをお願いね!」
「おお。」
侍女がライムを呼びに来たんで俺はライムの両親の元へ向かうかね。
「か、か、一刀君!?ここはまるで宮殿のようなんだが?しかも扱いが…もう訳が分からないんだが?しかもさっきは女王陛下とか言う女性が挨拶に来たんだよ!サプライズかい?サプライだよね?」
「えーと、落ち着いて下さい。こっちの世界での俺とライムはこういう扱いをされる存在なんですよ。だからシャンとして下さいね?ライムが笑われちゃうんで。」
なんだかちょっと面白くなってプレッシャー2割増しにしてあげた。
「わ、わわわ、わかった!シャンとだな、シャンと。」
それはシャンとじゃなくてガチガチって言うんだけどな。まあ、一般庶民の反応としては当然のものだろうし堂々としろって言っても無理だと思うよ。うん。
まずは王宮内でセリカの戴冠式が行われた。これは厳かな雰囲気で本当に要人しか出席していない。他国からの招待客も国のトップかそれに準ずる者。オーシュー国内でも伯爵以上しか出ていないようだな。俺達のパーティーでも俺とライムだけが特別枠でこの場所にいる。
召喚されたあの日、傲慢に振舞いイレギュラーな存在である俺を排除しようとしたセリカより、今のセリカは幾分大人びて見える。潜り抜けた数多の修羅場がセリカを成長させたのだろうが纏う気品や威厳は17,8の少女のものではない。国内外の重鎮達も『小娘が』などと侮っている者は皆無だ。インテグラーレ公などは心服しているしエツリア王などはかつて味わった恐怖を思い出しているかも知れない。戴冠式という一世一代の晴れ舞台に臨んだセリカの威風堂々とした姿はかつて貴族主義のもと虐げられてもがき苦しんでいた少女の面影は微塵も感じられなかった。
戴冠式の後は要人による晩餐会があったが俺達は遠慮させてもらった。何しろ明日は俺達が主役のイベントが待っているし、なによりライムの両親を放置しすぎるとお義父さんの精神衛生上よろしくない感じだったのでライム達家族三人水入らずで過ごしてもらっている。
俺?眷属達やローレルにおっちゃん、爺さんに千代ちゃんがいるから寂しくないぞ。それにルーチェさんとキャロルちゃんも来てくれた。宿は臨時休業なんだってさ。サニーとグロリアは今日は家族と過ごしている。クノイチ達は任務に就いている。フルスロットルのみんなはライムの家族の警護。俺には警護はいらんだろ。
そして翌日。
城下にある教会での誓いの儀式。これは極々内輪で行わせて貰う事にしてある。
「か、かかか一刀君!なぜ女王陛下が居るんだい?」
「あら、お父様。カズトには親族がいないとの事なので私が代表で。誰にも祝福して貰えないのではカズトが可哀そうではありませんか?」
今日のセリカは少し意地が悪い。今日この場での儀式の相手が自分ではなくライムだっていう事に対するやっかみだろうか。
「お義父さん、別に取って食われる訳じゃないからそんなに緊張しなくてもいいですよ。」
「あ、ああ。」
《新婦、ライム様のご準備が整いました!》
やべえ、緊張してきた!
0
お気に入りに追加
5,674
あなたにおすすめの小説

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。