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番外編
異世界への帰還
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「「ただいま。」」
俺は元の世界に戻る際に神様から体内の妖気を浄化して貰った。結果魔王の様な容姿は元に戻り、セリカに召喚される直前の時間軸に戻ったようだ。戻された直後は異世界の記憶はどこか夢を見ていた様な曖昧な感じだったけど、全てが始まったあの自販機の前でライムと出会い、全てを思い出した。そして、また俺達は帰って来た。
「カズト、ライム…」
目の前にいたのは祈るような表情のセリカ。そしてサニー、グロリア、ローレル、ガイア。コロナさん。クノイチからはソアラ。お?爺さんに千代ちゃんもいる。ビート。サンタナとアクアも現出しているな。皆涙を浮かべていた。
ひとりひとりハグを交わしていく。皆離れたがらないのには苦笑した。俺達からすれば離れていたのはほんの数分の感覚だ。でも。
【魔法陣に魔力を充填するのに今回は3ヶ月掛かってしまったのじゃ。】
【前回ご主人様を送還する際に使い果たした魔力を補填するのに時間が掛かってしまったのと…】
【カズト様を送還した後は皆様任地に戻られましたの。まだまだバンドーも混乱していますし、長らく任地を放置も出来ないのですわ。】
「そういう訳で、単純に人手が少なくなったというのもあるのですがね。」
ふむ、なるほど。でもこの3か月の間の出来事も気になるけど、その前に俺達は言わなくちゃいけない事があるよな。俺はライムを引き寄せ隣に並ばせた。そして頭を下げる。
「みんな、ありがとう。みんなのおかげで俺の体は元通りになりこうしてまたみんなと会う事ができた。今ここにいない連中にもしっかりお礼を言いに行かなくちゃならないな。」
「うん、私からもありがとう。カズにぃが元に戻ってホントに嬉しい。みんなが力を貸してくれたおかげだよ。」
俺達は心からの感謝の言葉を述べた。言葉にしてしまえばサラリとした感じだが、そこには大きな思いを込めたつもりだ。伝わってくれるといいんだが。
だがセリカが静かに首を横に振りながら口を開く。
「いいえ。カズト。それにライム。私達オーシューの民、いえ、バンドーやそれ以外の民も。あの金毛九尾の脅威から救われたという恩は計り知れません。この程度で恩を返せたとも思っていません。バンドーのジュリア大公やエツリアのディアス王太子、ジュリエッタ殿下も同様に思っていますよ?」
「なにか色々と気になるフレーズもあったが…それでも俺達が有りがたいと思っている事には変わりないよ。だから、有難うだな。」
「…そうですか。自分のやらかした事は棚に上げて自分の感謝だけ押し付けるとは流石カズトです。ところで、ここにいる皆が非常に気になっていると思うので聞いておきたいのですが、これからカズト達はどうするのです?」
「そうだな、その前に俺とライムが新たに授かったスキルの事を言わなくちゃならない。実は今回の召喚のアレコレで『転移』っていうスキルを貰ったんだ。恐らくあっちの世界とこっちの世界を行き来出来る能力だと思う。それの能力を検証する必要も兼ねて一旦元の世界に戻って来ようと思うんだ。」
俺の一言でライム以外の全員が硬直してしまった。それもそうか。せっかく3か月かけて俺達を召喚したのにすぐこれじゃあな。
「いや、これに関しては済まないと思う。けど、こっちじゃ3か月経ったって話だけど向こうじゃ一切時間が進んでいなかったんだ。だから最初に召喚された時と全く同じ時間軸で呼ばれたんだよ。それで、結局ライムは両親にも会ってなくてさ。一度しっかりライムの両親には話しておかなきゃならないと思う。こっちの世界と行ったり来たり出来る事も含めて。」
「……なるほど、そうでしたか。それでライムのご両親に婚約のご報告もする訳ですね?」
「「!!!」」
セリカの投下した爆弾に一同言葉を失ったが、俺としてはそれもアリだな、と思ってたりする。けど、なるべく顔色を変えずにさらりと流し、
「まあ、折角再会出来たんだ。今日明日くらいは一緒に過ごしたいかな。」
俺の一言でぱぁっと笑顔の花が咲き乱れた。
俺は元の世界に戻る際に神様から体内の妖気を浄化して貰った。結果魔王の様な容姿は元に戻り、セリカに召喚される直前の時間軸に戻ったようだ。戻された直後は異世界の記憶はどこか夢を見ていた様な曖昧な感じだったけど、全てが始まったあの自販機の前でライムと出会い、全てを思い出した。そして、また俺達は帰って来た。
「カズト、ライム…」
目の前にいたのは祈るような表情のセリカ。そしてサニー、グロリア、ローレル、ガイア。コロナさん。クノイチからはソアラ。お?爺さんに千代ちゃんもいる。ビート。サンタナとアクアも現出しているな。皆涙を浮かべていた。
ひとりひとりハグを交わしていく。皆離れたがらないのには苦笑した。俺達からすれば離れていたのはほんの数分の感覚だ。でも。
【魔法陣に魔力を充填するのに今回は3ヶ月掛かってしまったのじゃ。】
【前回ご主人様を送還する際に使い果たした魔力を補填するのに時間が掛かってしまったのと…】
【カズト様を送還した後は皆様任地に戻られましたの。まだまだバンドーも混乱していますし、長らく任地を放置も出来ないのですわ。】
「そういう訳で、単純に人手が少なくなったというのもあるのですがね。」
ふむ、なるほど。でもこの3か月の間の出来事も気になるけど、その前に俺達は言わなくちゃいけない事があるよな。俺はライムを引き寄せ隣に並ばせた。そして頭を下げる。
「みんな、ありがとう。みんなのおかげで俺の体は元通りになりこうしてまたみんなと会う事ができた。今ここにいない連中にもしっかりお礼を言いに行かなくちゃならないな。」
「うん、私からもありがとう。カズにぃが元に戻ってホントに嬉しい。みんなが力を貸してくれたおかげだよ。」
俺達は心からの感謝の言葉を述べた。言葉にしてしまえばサラリとした感じだが、そこには大きな思いを込めたつもりだ。伝わってくれるといいんだが。
だがセリカが静かに首を横に振りながら口を開く。
「いいえ。カズト。それにライム。私達オーシューの民、いえ、バンドーやそれ以外の民も。あの金毛九尾の脅威から救われたという恩は計り知れません。この程度で恩を返せたとも思っていません。バンドーのジュリア大公やエツリアのディアス王太子、ジュリエッタ殿下も同様に思っていますよ?」
「なにか色々と気になるフレーズもあったが…それでも俺達が有りがたいと思っている事には変わりないよ。だから、有難うだな。」
「…そうですか。自分のやらかした事は棚に上げて自分の感謝だけ押し付けるとは流石カズトです。ところで、ここにいる皆が非常に気になっていると思うので聞いておきたいのですが、これからカズト達はどうするのです?」
「そうだな、その前に俺とライムが新たに授かったスキルの事を言わなくちゃならない。実は今回の召喚のアレコレで『転移』っていうスキルを貰ったんだ。恐らくあっちの世界とこっちの世界を行き来出来る能力だと思う。それの能力を検証する必要も兼ねて一旦元の世界に戻って来ようと思うんだ。」
俺の一言でライム以外の全員が硬直してしまった。それもそうか。せっかく3か月かけて俺達を召喚したのにすぐこれじゃあな。
「いや、これに関しては済まないと思う。けど、こっちじゃ3か月経ったって話だけど向こうじゃ一切時間が進んでいなかったんだ。だから最初に召喚された時と全く同じ時間軸で呼ばれたんだよ。それで、結局ライムは両親にも会ってなくてさ。一度しっかりライムの両親には話しておかなきゃならないと思う。こっちの世界と行ったり来たり出来る事も含めて。」
「……なるほど、そうでしたか。それでライムのご両親に婚約のご報告もする訳ですね?」
「「!!!」」
セリカの投下した爆弾に一同言葉を失ったが、俺としてはそれもアリだな、と思ってたりする。けど、なるべく顔色を変えずにさらりと流し、
「まあ、折角再会出来たんだ。今日明日くらいは一緒に過ごしたいかな。」
俺の一言でぱぁっと笑顔の花が咲き乱れた。
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