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第二部 バンドー皇国編 3章
227.これからを生きて行く為の選択肢
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あー、なんだ?
この空間…真っ白で距離感も方向感覚も上下すらも認識出来ない。
ああ、そうか。召喚された時に神様と話した空間か。
《お疲れ様でした。カズト。あなたのおかげで世界が救われました。お礼を申し上げます。因みに今はあなたの夢に話し掛けています。》
「…神様ですか。俺にヤツを倒させるのが目的だったんですか?」
またしても眩い光で神様の姿は判別出来ない。残念。
《そうですね…そうあって欲しいとは願っていました。ですが誘導した事は決してありません。あなたが選んだ選択肢に力添えになるようにはしましたが。》
そうだな。俺が自分で決めた事だった。ライムを助ける事もオーシューを救う事もバンドーの双子皇女を助ける事も。
《あの妖狐は歴史の節目節目に現れ人間を滅ぼそうとして来ました。ですがその度に妖狐を封印出来る優れた術者が現れて事なきを得て来ましたが完全に倒す程の強者は現れませんでした。今回もカズトが動いてくれなければ人間は滅亡していた事でしょう。》
ふうん?俺が動かなければそれも運命ってか?確かにライムを助ける事を放棄していたら俺もここまで強くなる事は無かっただろうな。結果、九尾にあっさり殺されていたか。
《これからあなたには残酷な宣告をしなければなりません。よく聞きよく考えてください。》
いよいよ死ぬのか?でもそれは九尾とやり合う時に覚悟はしてたし今更だな。
《あなたは妖気を吸収しすぎて存在そのものが変質してしまいました。元に戻すにはカズトの体内の妖気を誰かに移し替え…》
「俺が元に戻っても第二第三の九尾みたいなヤツが出来ちゃうんですね?わかります。」
《その通りです。》
「ならこのままでいいですよ。こっそり山奥で暮らしますから。」
《カズト…》
仕方ねえよなー。こんな悪魔みたいな外見じゃ思い切り迫害されるよな。
《方法が一つだけあるのですが…あなたの仲間の協力が必要です。ですが協力してくれる可能性は…》
分の悪い賭けって事ね。
「一応その方法ってヤツを教えて下さい。俺なりに考えて結論出しますよ。神様、俺に自由に生きろって言ったじゃないですか。死ぬまで自由にやらせて貰いますよ。」
《ありがとう…カズト。元に戻す方法は…》
それから俺は元に戻せるという方法を聞いて目が覚めた。
「成る程、これは確かに確率低そうだな。」
苦笑しながら周囲を見渡せば洞窟の中とか、そんな感じの部屋の中。岩肌に松明の灯り。寝かされていたベッドから無理矢理上体を起こしてもう少し注意深く周囲を見る。
「ッ…ててて…ん? 魔法陣?」
地面には直径15メートル程だろうか、巨大な魔法陣が描かれていた。魔力は通っていないようだが…
「あ!カズにぃ!目が覚めたんだ!?」
ライムが部屋?に入って来た。
「よお、ライム。みんなは無事だったか?それでここは?俺はどれくらい寝てたんだ?」
「もう、カズにぃ!気持ちは分かるけどまず言う事があるんじゃないかな?」
改めてライムの顔を見る。泣きはらして充血した目の下にはクマが出来ているし全体的にやつれた感じだ。そうか…心配、掛けたよな…
「ごめんな、ライム。心配掛けて悪かった。」
「うん!カズにぃがカズにぃのままで良かった!目覚めた後、カズにぃじゃ無くなってたらどうしようって…うっ…うう…ふええ~ん…」
まあ、確かに心配になるだろうな。中身は俺のままだが外見はもう人間じゃないし。
ひとしきり泣いて落ち着きを取り戻したライムから状況説明を受ける。俺は十日以上眠り続けていたそうだ。バンドーは皇国から公国となり暫定だがジュリアが大公として代表になった事。これを機にオーシュー、バンドー、エツリアの結びつきが強固となり、日和見的な態度に終始していたコーシン国は立場を失った事。
「で、ここはどこなんだ?」
「ここはライズミー王城の地下室。眷属のみんなとテル君、ユキちゃん、爺ちゃんと千代ちゃんがここまでカズにぃを運んでくれたんだよ。」
「それじゃあこの魔法陣は…」
「そうだね、セリカが私達を召喚して…前世の私達を飲み込んだ魔法陣。カズにぃの姿がちょっとカッコよくなりすぎちゃったからね、中二的に。人目の付かない所に安置してたの。」
安置ってお前な、遺体みたく言うなや。
「ああ、大丈夫、私が毎日ちゃんとカズにぃの体は綺麗にしてたからね?隅々まで。でゅふふふ。」
コイツらしいな。姿形は変わっても俺という存在をしっかり見ていてくれてる。普通ならこんな見た目悪魔チックなヤツを触るのは躊躇するだろうに。
「ありがとな。」
「え?え~と?そこはカズにぃが恥ずかしがって取り乱すトコなんじゃないかと思うんですが…」
「他のヤツならな。でもライムだから。」
「え?、えへへへ~」
どう解釈したのかわからないがニヨニヨしてるからまあいいか。さて、本題だな。
「さっき夢を見たんだ。神様が出て来た。それで関係者を集めて欲しいんだけどさ、みんなはどうしてるんだ?」
「みんな王都付近にいるよ?地竜の親子だけはアブクマの聖域にいるけど。シルビアもガゼールもこっちに来てるし。テル君とユキちゃんもユーゲンダンジョンに行ってるかな。サンタナ様とアクア様は失った魔力を補充する為にダンジョンに籠ってる。」
そうか。都合がいいな。地竜の親子は残念だがこの中には入れないし。
「それじゃあ悪いがみんなをここに集めてくれないか?どうも上手く体が動かせないんだ。」
「わかった。みんなを呼んでくるよ。なにか用事があったら外にクノイチのメンバーが控えてるから声をかけてね!」
さて、神様から聞いた方法、みんなの反応はどうなるかな。
この空間…真っ白で距離感も方向感覚も上下すらも認識出来ない。
ああ、そうか。召喚された時に神様と話した空間か。
《お疲れ様でした。カズト。あなたのおかげで世界が救われました。お礼を申し上げます。因みに今はあなたの夢に話し掛けています。》
「…神様ですか。俺にヤツを倒させるのが目的だったんですか?」
またしても眩い光で神様の姿は判別出来ない。残念。
《そうですね…そうあって欲しいとは願っていました。ですが誘導した事は決してありません。あなたが選んだ選択肢に力添えになるようにはしましたが。》
そうだな。俺が自分で決めた事だった。ライムを助ける事もオーシューを救う事もバンドーの双子皇女を助ける事も。
《あの妖狐は歴史の節目節目に現れ人間を滅ぼそうとして来ました。ですがその度に妖狐を封印出来る優れた術者が現れて事なきを得て来ましたが完全に倒す程の強者は現れませんでした。今回もカズトが動いてくれなければ人間は滅亡していた事でしょう。》
ふうん?俺が動かなければそれも運命ってか?確かにライムを助ける事を放棄していたら俺もここまで強くなる事は無かっただろうな。結果、九尾にあっさり殺されていたか。
《これからあなたには残酷な宣告をしなければなりません。よく聞きよく考えてください。》
いよいよ死ぬのか?でもそれは九尾とやり合う時に覚悟はしてたし今更だな。
《あなたは妖気を吸収しすぎて存在そのものが変質してしまいました。元に戻すにはカズトの体内の妖気を誰かに移し替え…》
「俺が元に戻っても第二第三の九尾みたいなヤツが出来ちゃうんですね?わかります。」
《その通りです。》
「ならこのままでいいですよ。こっそり山奥で暮らしますから。」
《カズト…》
仕方ねえよなー。こんな悪魔みたいな外見じゃ思い切り迫害されるよな。
《方法が一つだけあるのですが…あなたの仲間の協力が必要です。ですが協力してくれる可能性は…》
分の悪い賭けって事ね。
「一応その方法ってヤツを教えて下さい。俺なりに考えて結論出しますよ。神様、俺に自由に生きろって言ったじゃないですか。死ぬまで自由にやらせて貰いますよ。」
《ありがとう…カズト。元に戻す方法は…》
それから俺は元に戻せるという方法を聞いて目が覚めた。
「成る程、これは確かに確率低そうだな。」
苦笑しながら周囲を見渡せば洞窟の中とか、そんな感じの部屋の中。岩肌に松明の灯り。寝かされていたベッドから無理矢理上体を起こしてもう少し注意深く周囲を見る。
「ッ…ててて…ん? 魔法陣?」
地面には直径15メートル程だろうか、巨大な魔法陣が描かれていた。魔力は通っていないようだが…
「あ!カズにぃ!目が覚めたんだ!?」
ライムが部屋?に入って来た。
「よお、ライム。みんなは無事だったか?それでここは?俺はどれくらい寝てたんだ?」
「もう、カズにぃ!気持ちは分かるけどまず言う事があるんじゃないかな?」
改めてライムの顔を見る。泣きはらして充血した目の下にはクマが出来ているし全体的にやつれた感じだ。そうか…心配、掛けたよな…
「ごめんな、ライム。心配掛けて悪かった。」
「うん!カズにぃがカズにぃのままで良かった!目覚めた後、カズにぃじゃ無くなってたらどうしようって…うっ…うう…ふええ~ん…」
まあ、確かに心配になるだろうな。中身は俺のままだが外見はもう人間じゃないし。
ひとしきり泣いて落ち着きを取り戻したライムから状況説明を受ける。俺は十日以上眠り続けていたそうだ。バンドーは皇国から公国となり暫定だがジュリアが大公として代表になった事。これを機にオーシュー、バンドー、エツリアの結びつきが強固となり、日和見的な態度に終始していたコーシン国は立場を失った事。
「で、ここはどこなんだ?」
「ここはライズミー王城の地下室。眷属のみんなとテル君、ユキちゃん、爺ちゃんと千代ちゃんがここまでカズにぃを運んでくれたんだよ。」
「それじゃあこの魔法陣は…」
「そうだね、セリカが私達を召喚して…前世の私達を飲み込んだ魔法陣。カズにぃの姿がちょっとカッコよくなりすぎちゃったからね、中二的に。人目の付かない所に安置してたの。」
安置ってお前な、遺体みたく言うなや。
「ああ、大丈夫、私が毎日ちゃんとカズにぃの体は綺麗にしてたからね?隅々まで。でゅふふふ。」
コイツらしいな。姿形は変わっても俺という存在をしっかり見ていてくれてる。普通ならこんな見た目悪魔チックなヤツを触るのは躊躇するだろうに。
「ありがとな。」
「え?え~と?そこはカズにぃが恥ずかしがって取り乱すトコなんじゃないかと思うんですが…」
「他のヤツならな。でもライムだから。」
「え?、えへへへ~」
どう解釈したのかわからないがニヨニヨしてるからまあいいか。さて、本題だな。
「さっき夢を見たんだ。神様が出て来た。それで関係者を集めて欲しいんだけどさ、みんなはどうしてるんだ?」
「みんな王都付近にいるよ?地竜の親子だけはアブクマの聖域にいるけど。シルビアもガゼールもこっちに来てるし。テル君とユキちゃんもユーゲンダンジョンに行ってるかな。サンタナ様とアクア様は失った魔力を補充する為にダンジョンに籠ってる。」
そうか。都合がいいな。地竜の親子は残念だがこの中には入れないし。
「それじゃあ悪いがみんなをここに集めてくれないか?どうも上手く体が動かせないんだ。」
「わかった。みんなを呼んでくるよ。なにか用事があったら外にクノイチのメンバーが控えてるから声をかけてね!」
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