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第二部 バンドー皇国編 3章
222.金毛九尾
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「おのれ小僧、妾がせっかく気持ちよく笑っておったところに…」
「うるせえ。これから悪者退治しようって矢先にとんでもねえ長話聞かせやがって。結局アレだろ?お前は何度も負ける度に尻尾巻いて逃げてた負け犬だろ?いや、負け狐か?逃げる度に巻いてた尻尾は何本だ?もしかして9本か?」
!!!!!
「!」
日本人組はハッとした顔になり女は驚愕に目を見開く。
「小僧…お主、妾の正体を知っておるのか?」
「正体ってそりゃあ…九尾?」
「玉藻の前かの?」
「ああ、殺生石伝説のアレかい?」
「ああ、それなら私も聞いた事がある。だが殺生石は砕かれたのではなかったか?」
「封神演義の妲己なら知ってるけど…」
「え?妲己って九尾だったの?」
経緯を聞くと九尾伝説にそっくりだったんでカマかけたら日本人組が異様に盛り上がりはじめ…
轟!!!
途轍もない妖気の塊が九尾から放たれた。それを俺は右腕で弾き飛ばす。ふん、さっきの指弾の意趣返しのつもりか?
「ほう?今のを弾くとはな。小僧。貴様の言う通り妾は金毛九尾の妖狐。ダッキだのタマモノマエだのと分からぬ事を。今生の妾に名など無い。貴様らに刻むは我が名ではなく恐怖と絶望のみ!」
九尾の妖気がさらに膨れ上がる。さすがにこれはみんなも涼しい顔ではいられないか。
「ちょ、なにアレ…」
「おお…」
俺は思わず見入ってしまった。頭にはケモ耳が生え、尻には尾が9本。
「カズにぃ…ヤバい…可愛くなっちゃった…」
「ああ…モフモフだな…」
…と言ってもコイツのやった事は許される事じゃない。仮に俺が許したとしてもジュリアもジュリエッタも許さないだろうしな。
「妾の可愛い傀儡共よ!あの人間達を妾の贄とするのじゃ!」
《ウオォォォォォォ…》
相変わらずの緩慢な動作だがこいつら異形はいきなりトップギアに入るから油断が出来ないんだよな。けどそれは受けに回った時の話…
「みんな!受けるな!攻めろ!」
「スタリオン!ブレスです!薙ぎ払いなさい!」
【りょーかーい!…BRUUUUAAAAAAAA!!!】
「続いて行きます!」
まずは火力勝負。セリカの指示でスタリオンが動く。息を吸い込み魔力を乗せて吐き出したブレスは放射線状に掃射され多くの異形を薙ぎ払い、消滅させる。
続いてセリカはシルフ・スタッフ改を掲げて特大の竜巻を敵中央の密集地帯に発生させる。巻き上げられ錐もみ状になりながら竜巻内部に発生している鎌鼬に切り刻まれ消えていく異形の者達。
「それじゃあビート、やるよ!」
【了解ですわ!】
ビートのレイピアが水流を打ち込みライムが特大の水球を上空に発生させ敵を押し潰す。そして泥沼となった戦場にはライムの雷撃とビートのレイピアから発せられる雷の竜。
「まだまだぁぁ!!」
水と雷撃の得意のコンボで戦場を支配して尚ライムの追撃の爆裂魔法。
キイィィィィン…
敵軍の頭上でライムの魔力が収束していき…
ピカァァ!
直視できない程の発光。
《ドン!》
爆発は一瞬。衝撃が腹の底に響き渡る。
ライムの話では太陽で発生している核爆発をイメージしているらしい。人体をも一瞬で蒸発させる熱量が異形の者達を消し去る。もっと大規模にも出来るそうだが制御が難しくて味方にも被害が出るとの事だ。
猛烈な熱と光に覆われていた戦場が徐々に見えてくる。先制攻撃は敵の大半を消し去り残りは500と言ったところか。
「ここからは俺達の出番ですね。カズトさん、九尾は任せました。ムスタング、下がっててくれ。ユキ!行くぞ!」
瞬間、俺はテルの瞬間移動によって九尾の目前に飛ばされていた。
「…よお。」
「なっ!なんじゃ今のは!近付く気配など一切感じなかった…?」
ははは。流石の九尾も狼狽えるか。なにせ俺もびっくりしたからな。テルの奴め。
◇◇◇
テル君はユキちゃんと飛び出す瞬間にカズにぃを九尾の前まで飛ばしていた。
「まったくテルは…後でカズト殿におしおきされても知らんぞ。」
ユキちゃんは苦笑しながらそう呟きテル君の後を追いかけて行った。
「では陛下、我々も敵を駆逐して参ります。クノイチ!出るぞ!」
《応!》
ソアラもクノイチのみんなを率いて敵の中に飛び込んで行く。
「では儂らも一花咲かせてくるかの。」
段蔵爺ちゃんは背中に十字に掛けていた小太刀二刀をスラリと抜く。
「なあに、嬢ちゃん。殿なら心配いらないさ。」
千代ちゃんはヒュオン!と薙刀一振りしてからニコリと笑った。
「「いざ!参る!」」
2人も躊躇なく敵中へ突入していく。
「ではフルスロットルの皆さん。私達も参りましょう。カズト兄様の力となるべく。」
ランスを小脇に抱え栗毛に跨ったシルビアが飛び出しフルスロットルの6騎が続く。7騎の騎馬隊は時には1本の槍の如く、時には散弾銃のように敵を壊していった。
「ではライム。私達も蹂躙してきますね。」
スタリオンの上のセリカ。そしてその後ろに乗る護衛のサニー。
【ぼくもがんばるぞー!】
スタリオンが吠えサニーは手を振って行く。
「陛下の事は任せて。」
「アタシらは強いからね。でもライムはもっと強い。カズは更に強い。」
【負ける要素がありませんわね。】
「そういうこった。」
グロリア、ローレル、ビート、ガイアのおっちゃんがセリカに従って行った。
「ラン、チェロ。戦場を駆けまわって遊撃をお願いね。エスプリも遠慮は無用だよ!」
【うむ。ライムよ。主を頼む。】
【早く主殿の元へ。】
【主よ、あの化け狐は手強い。油断なきよう。】
そう言って3頭は思い思いの方向へ散って行った。
よし!私もカズにぃの元へ!
「うるせえ。これから悪者退治しようって矢先にとんでもねえ長話聞かせやがって。結局アレだろ?お前は何度も負ける度に尻尾巻いて逃げてた負け犬だろ?いや、負け狐か?逃げる度に巻いてた尻尾は何本だ?もしかして9本か?」
!!!!!
「!」
日本人組はハッとした顔になり女は驚愕に目を見開く。
「小僧…お主、妾の正体を知っておるのか?」
「正体ってそりゃあ…九尾?」
「玉藻の前かの?」
「ああ、殺生石伝説のアレかい?」
「ああ、それなら私も聞いた事がある。だが殺生石は砕かれたのではなかったか?」
「封神演義の妲己なら知ってるけど…」
「え?妲己って九尾だったの?」
経緯を聞くと九尾伝説にそっくりだったんでカマかけたら日本人組が異様に盛り上がりはじめ…
轟!!!
途轍もない妖気の塊が九尾から放たれた。それを俺は右腕で弾き飛ばす。ふん、さっきの指弾の意趣返しのつもりか?
「ほう?今のを弾くとはな。小僧。貴様の言う通り妾は金毛九尾の妖狐。ダッキだのタマモノマエだのと分からぬ事を。今生の妾に名など無い。貴様らに刻むは我が名ではなく恐怖と絶望のみ!」
九尾の妖気がさらに膨れ上がる。さすがにこれはみんなも涼しい顔ではいられないか。
「ちょ、なにアレ…」
「おお…」
俺は思わず見入ってしまった。頭にはケモ耳が生え、尻には尾が9本。
「カズにぃ…ヤバい…可愛くなっちゃった…」
「ああ…モフモフだな…」
…と言ってもコイツのやった事は許される事じゃない。仮に俺が許したとしてもジュリアもジュリエッタも許さないだろうしな。
「妾の可愛い傀儡共よ!あの人間達を妾の贄とするのじゃ!」
《ウオォォォォォォ…》
相変わらずの緩慢な動作だがこいつら異形はいきなりトップギアに入るから油断が出来ないんだよな。けどそれは受けに回った時の話…
「みんな!受けるな!攻めろ!」
「スタリオン!ブレスです!薙ぎ払いなさい!」
【りょーかーい!…BRUUUUAAAAAAAA!!!】
「続いて行きます!」
まずは火力勝負。セリカの指示でスタリオンが動く。息を吸い込み魔力を乗せて吐き出したブレスは放射線状に掃射され多くの異形を薙ぎ払い、消滅させる。
続いてセリカはシルフ・スタッフ改を掲げて特大の竜巻を敵中央の密集地帯に発生させる。巻き上げられ錐もみ状になりながら竜巻内部に発生している鎌鼬に切り刻まれ消えていく異形の者達。
「それじゃあビート、やるよ!」
【了解ですわ!】
ビートのレイピアが水流を打ち込みライムが特大の水球を上空に発生させ敵を押し潰す。そして泥沼となった戦場にはライムの雷撃とビートのレイピアから発せられる雷の竜。
「まだまだぁぁ!!」
水と雷撃の得意のコンボで戦場を支配して尚ライムの追撃の爆裂魔法。
キイィィィィン…
敵軍の頭上でライムの魔力が収束していき…
ピカァァ!
直視できない程の発光。
《ドン!》
爆発は一瞬。衝撃が腹の底に響き渡る。
ライムの話では太陽で発生している核爆発をイメージしているらしい。人体をも一瞬で蒸発させる熱量が異形の者達を消し去る。もっと大規模にも出来るそうだが制御が難しくて味方にも被害が出るとの事だ。
猛烈な熱と光に覆われていた戦場が徐々に見えてくる。先制攻撃は敵の大半を消し去り残りは500と言ったところか。
「ここからは俺達の出番ですね。カズトさん、九尾は任せました。ムスタング、下がっててくれ。ユキ!行くぞ!」
瞬間、俺はテルの瞬間移動によって九尾の目前に飛ばされていた。
「…よお。」
「なっ!なんじゃ今のは!近付く気配など一切感じなかった…?」
ははは。流石の九尾も狼狽えるか。なにせ俺もびっくりしたからな。テルの奴め。
◇◇◇
テル君はユキちゃんと飛び出す瞬間にカズにぃを九尾の前まで飛ばしていた。
「まったくテルは…後でカズト殿におしおきされても知らんぞ。」
ユキちゃんは苦笑しながらそう呟きテル君の後を追いかけて行った。
「では陛下、我々も敵を駆逐して参ります。クノイチ!出るぞ!」
《応!》
ソアラもクノイチのみんなを率いて敵の中に飛び込んで行く。
「では儂らも一花咲かせてくるかの。」
段蔵爺ちゃんは背中に十字に掛けていた小太刀二刀をスラリと抜く。
「なあに、嬢ちゃん。殿なら心配いらないさ。」
千代ちゃんはヒュオン!と薙刀一振りしてからニコリと笑った。
「「いざ!参る!」」
2人も躊躇なく敵中へ突入していく。
「ではフルスロットルの皆さん。私達も参りましょう。カズト兄様の力となるべく。」
ランスを小脇に抱え栗毛に跨ったシルビアが飛び出しフルスロットルの6騎が続く。7騎の騎馬隊は時には1本の槍の如く、時には散弾銃のように敵を壊していった。
「ではライム。私達も蹂躙してきますね。」
スタリオンの上のセリカ。そしてその後ろに乗る護衛のサニー。
【ぼくもがんばるぞー!】
スタリオンが吠えサニーは手を振って行く。
「陛下の事は任せて。」
「アタシらは強いからね。でもライムはもっと強い。カズは更に強い。」
【負ける要素がありませんわね。】
「そういうこった。」
グロリア、ローレル、ビート、ガイアのおっちゃんがセリカに従って行った。
「ラン、チェロ。戦場を駆けまわって遊撃をお願いね。エスプリも遠慮は無用だよ!」
【うむ。ライムよ。主を頼む。】
【早く主殿の元へ。】
【主よ、あの化け狐は手強い。油断なきよう。】
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