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第二部 バンドー皇国編 3章
190.ライム隊長のブートキャンプ
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◇◇◇
私達はレベリング対象者と共にある山中に入っている。この領内には山岳信仰の対象になっている霊山がいくつかあり、人々が滅多に足を踏み入れない為半ば魔物の巣窟となっている所も有るらしい。私達が来ているのはそんな場所。名前をロートブルク山という。
魔物を見つければ魔物を排除。流石は霊山、強敵もたくさん出てくる。エンカウント率って言葉が適当かどうか分からないけど、かなり高く感じる。でもゲームならイヤになるレベルで魔物が出て来るけどレベリングとなれば好都合。
代官さんが派遣してきたのは騎士が2人と兵士が3人。みんな隊長クラスだって言ってた。
「私とビートが周囲警戒してるからみんな休んでて。アクア様、怪我人にヒールを。」
【うむ。承知した。それにしてもライム、指揮官ぶりが板についておるではないか?】
怪我人にヒールの光を浴びせながらアクア様がそんな事を言う。
「ああ、いつもカズにぃと一緒にいるからね。ノウハウはしっかり吸収してるの。ただ甘えているだけじゃないんだよ?」
【ふふふ、頼もしい事じゃな。ほれ、治癒は終わったぞ?」
じゃあ休憩時間終了だね。
「はーい、それじゃあ休憩終わり!魔物が出るまで模擬戦やりまーす!私と隊長組がやるから赤7組は周囲警戒ね。ビート、監督お願い。」
【分かりましたわ。それでは赤7の皆さんは4人は四方の警戒を。残った3人はライムの動きをよく見ていなさい。途中で交代しますわよ!】
私とビートもレベルアップしたいけど、まずは赤備えのみんなを戦えるレベルまで引き上げるのが先決。私とビートが魔物との戦闘に介入しているようではまだ心許ないよ。
我ながらかなりスパルタだと思う。でもね…今回のラスボスはきっとヤバい。そんな気がする。だから出来る事は全部やっておく。うん、まだみんなの目から光は消えていない。大丈夫、まだいける。
魔物を倒す。いなければ探す。探してもいなければ模擬戦をする。常に戦いの中に身を置かせギリギリまで追い詰める。そんな中、代官さんが派遣してきた隊長さん達が先に折れた。技量では赤7人を上回っていたけど心は赤7人が強かった。きっとオーガ戦で死にかけたのがいい経験になっているんだろう。
「それじゃあみんな、私とビートがやるから見学してて。でもどこから魔物が現れるか分からないから油断はしないように。」
そしてビートと対峙する。私は白猫を抜き、ビートはレイピアを2本抜き構える。水龍と電龍。どちらも魔剣。特に電龍の方は常に紫電を纏い打ち合う事すら許されない。
ケットシーである彼女の戦法はレイピアによる剣技だけじゃなくそのスピード。そしてノータイムで飛んで来る魔法。加えて悠久の時を生きてきたからこそ身に付けた老獪さか。しなやかな動き。人型で戦っているが人間ではありえない関節の稼働領域。いつの間にかレイピアの持ち手が左右逆になっていたり。忘れた頃に尻尾の一撃も来る。
「ふ、ふふふ。楽しくなってきたわ。ね、ビート?」
【私には楽しむ余裕なんてありませんわ。ライム、あなた本当に人間ですの?】
【2人共そこまでじゃな。どうやらこの山の主がこちらに向かっておるようじゃ。】
アクア様がなにか感じたようね。確かに凄いプレッシャー。
「あんた達、やれる?無理なら下がってて。」
「姐さん、俺達もやるっすよ!」
上等!
「ビートも大丈夫?」
【無論ですわ!以前地竜相手に臆した恥辱は忘れていませんの!】
そして現れたのは巨大な狼。
「フェンリルね。相手にとって不足なぁーし!」
左腕にガイア謹製スパイクシールドを装備して本気モード。フェンリルが引き連れている眷属の狼たちはレベリング組に任せちゃおう。
フェンリルが咆哮を上げる。レベリング組は…大丈夫、アクア様が障壁を張ってくれている。ビートも大丈夫みたいだ。なかなかのプレッシャーだけどリクオウさんのに比べればまだまだ!
【我が咆哮に耐えるとは。小娘。貴様何者だ?そっちの黒い女はケットシーか。ケットシーのような上位の妖精族が何故に人間の小娘などと共におる?】
「質問ばっかりね。いいわ。答えてあげる。でもその前に聞かせてくれるかな?私達が倒した魔物はあなたの手下とかかしら?」
【ふん、この山に我が眷属以外に仲間などおらん。他の魔物は全て餌よ。】
「それなら私達も餌になっちゃうのかしら?」
【それは貴様ら次第だな。我らから逃げ延びられれば餌にはならんよ。】
フェンリルから殺気が放たれる。やるしかないって訳ね?
「逃げる?なぜ私より弱いヤツから逃げる必要があるのかしら。」
その一言が引き金になったのか、眷属の内の2匹が襲い掛かってきた。けど遅い遅い。
【な!?】
無詠唱で落雷を食らわせた。足元に落ちる黒焦げの眷属。
「悪いわね。これでも私地竜が腹を晒してくる位は強いよ?」
【地竜だと?北の山脈の地竜の番か…】
「あら、リクオウさん達を知ってるの?今は子供もいて3頭家族仲良く暮らしてるけど。」
【リクオウ?まさか名前があると言う事は貴様の眷属になったというのか!?】
「残念ながら私の眷属ではないわね。私の最愛の人の眷属になってるよ。」
【…貴様らがこの山に来た理由は何だ?我らの討伐か?】
「理由?来るべき戦いの為に強くなりたい。それが理由かな。別にあなた達を討伐する為に来たんじゃないよ?」
あからさまにフェンリルの顔色が悪い…ような感じがする。いや、狼の顔色とか分からないけどさ。
「まあ、襲って来るなら討伐対象になるわね?」
今度は私から殺気を放つ。あ、みんな尻尾を股にはさんじゃった。
【て、敵対はしない。見逃してはくれぬだろうか…?】
うーん…どうしようかぁ…
私達はレベリング対象者と共にある山中に入っている。この領内には山岳信仰の対象になっている霊山がいくつかあり、人々が滅多に足を踏み入れない為半ば魔物の巣窟となっている所も有るらしい。私達が来ているのはそんな場所。名前をロートブルク山という。
魔物を見つければ魔物を排除。流石は霊山、強敵もたくさん出てくる。エンカウント率って言葉が適当かどうか分からないけど、かなり高く感じる。でもゲームならイヤになるレベルで魔物が出て来るけどレベリングとなれば好都合。
代官さんが派遣してきたのは騎士が2人と兵士が3人。みんな隊長クラスだって言ってた。
「私とビートが周囲警戒してるからみんな休んでて。アクア様、怪我人にヒールを。」
【うむ。承知した。それにしてもライム、指揮官ぶりが板についておるではないか?】
怪我人にヒールの光を浴びせながらアクア様がそんな事を言う。
「ああ、いつもカズにぃと一緒にいるからね。ノウハウはしっかり吸収してるの。ただ甘えているだけじゃないんだよ?」
【ふふふ、頼もしい事じゃな。ほれ、治癒は終わったぞ?」
じゃあ休憩時間終了だね。
「はーい、それじゃあ休憩終わり!魔物が出るまで模擬戦やりまーす!私と隊長組がやるから赤7組は周囲警戒ね。ビート、監督お願い。」
【分かりましたわ。それでは赤7の皆さんは4人は四方の警戒を。残った3人はライムの動きをよく見ていなさい。途中で交代しますわよ!】
私とビートもレベルアップしたいけど、まずは赤備えのみんなを戦えるレベルまで引き上げるのが先決。私とビートが魔物との戦闘に介入しているようではまだ心許ないよ。
我ながらかなりスパルタだと思う。でもね…今回のラスボスはきっとヤバい。そんな気がする。だから出来る事は全部やっておく。うん、まだみんなの目から光は消えていない。大丈夫、まだいける。
魔物を倒す。いなければ探す。探してもいなければ模擬戦をする。常に戦いの中に身を置かせギリギリまで追い詰める。そんな中、代官さんが派遣してきた隊長さん達が先に折れた。技量では赤7人を上回っていたけど心は赤7人が強かった。きっとオーガ戦で死にかけたのがいい経験になっているんだろう。
「それじゃあみんな、私とビートがやるから見学してて。でもどこから魔物が現れるか分からないから油断はしないように。」
そしてビートと対峙する。私は白猫を抜き、ビートはレイピアを2本抜き構える。水龍と電龍。どちらも魔剣。特に電龍の方は常に紫電を纏い打ち合う事すら許されない。
ケットシーである彼女の戦法はレイピアによる剣技だけじゃなくそのスピード。そしてノータイムで飛んで来る魔法。加えて悠久の時を生きてきたからこそ身に付けた老獪さか。しなやかな動き。人型で戦っているが人間ではありえない関節の稼働領域。いつの間にかレイピアの持ち手が左右逆になっていたり。忘れた頃に尻尾の一撃も来る。
「ふ、ふふふ。楽しくなってきたわ。ね、ビート?」
【私には楽しむ余裕なんてありませんわ。ライム、あなた本当に人間ですの?】
【2人共そこまでじゃな。どうやらこの山の主がこちらに向かっておるようじゃ。】
アクア様がなにか感じたようね。確かに凄いプレッシャー。
「あんた達、やれる?無理なら下がってて。」
「姐さん、俺達もやるっすよ!」
上等!
「ビートも大丈夫?」
【無論ですわ!以前地竜相手に臆した恥辱は忘れていませんの!】
そして現れたのは巨大な狼。
「フェンリルね。相手にとって不足なぁーし!」
左腕にガイア謹製スパイクシールドを装備して本気モード。フェンリルが引き連れている眷属の狼たちはレベリング組に任せちゃおう。
フェンリルが咆哮を上げる。レベリング組は…大丈夫、アクア様が障壁を張ってくれている。ビートも大丈夫みたいだ。なかなかのプレッシャーだけどリクオウさんのに比べればまだまだ!
【我が咆哮に耐えるとは。小娘。貴様何者だ?そっちの黒い女はケットシーか。ケットシーのような上位の妖精族が何故に人間の小娘などと共におる?】
「質問ばっかりね。いいわ。答えてあげる。でもその前に聞かせてくれるかな?私達が倒した魔物はあなたの手下とかかしら?」
【ふん、この山に我が眷属以外に仲間などおらん。他の魔物は全て餌よ。】
「それなら私達も餌になっちゃうのかしら?」
【それは貴様ら次第だな。我らから逃げ延びられれば餌にはならんよ。】
フェンリルから殺気が放たれる。やるしかないって訳ね?
「逃げる?なぜ私より弱いヤツから逃げる必要があるのかしら。」
その一言が引き金になったのか、眷属の内の2匹が襲い掛かってきた。けど遅い遅い。
【な!?】
無詠唱で落雷を食らわせた。足元に落ちる黒焦げの眷属。
「悪いわね。これでも私地竜が腹を晒してくる位は強いよ?」
【地竜だと?北の山脈の地竜の番か…】
「あら、リクオウさん達を知ってるの?今は子供もいて3頭家族仲良く暮らしてるけど。」
【リクオウ?まさか名前があると言う事は貴様の眷属になったというのか!?】
「残念ながら私の眷属ではないわね。私の最愛の人の眷属になってるよ。」
【…貴様らがこの山に来た理由は何だ?我らの討伐か?】
「理由?来るべき戦いの為に強くなりたい。それが理由かな。別にあなた達を討伐する為に来たんじゃないよ?」
あからさまにフェンリルの顔色が悪い…ような感じがする。いや、狼の顔色とか分からないけどさ。
「まあ、襲って来るなら討伐対象になるわね?」
今度は私から殺気を放つ。あ、みんな尻尾を股にはさんじゃった。
【て、敵対はしない。見逃してはくれぬだろうか…?】
うーん…どうしようかぁ…
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