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第一部 オーシュー王国編 2章
169.論功行賞
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「それで、私とサニー、グロリアは国内の情勢が落ち着くまではここに留まりバンドーに睨みを効かせようと思います。王都の方は母様とアコードに任せておけば良いでしょう。」
取り敢えずは国内の敵と目されていた勢力は無くなったとは言えセリカの政権奪取からまだ半年も経っていない。まだまだ不安定な情勢なのでセリカとしてはしっかりと足元を踏み固めたいのだろう。
今は堅苦しい晩餐会も終わり、気心知れたメンバーが集まり歓談中だ。
「ふうん?じゃあ即位式みたいなモンも先延ばしか?」
そう、悪く言えばドサクサに紛れて女王になった印象を持つ者もいるだろう。特に国外には。何しろ正式に即位したって言う儀式儀礼などは全くやっていない。
「それよりも国内を安定させる事が先決だと思います。現状、母様の摂政体制でもどうにか回っていますしね。」
「それで、シルビアはカッシに戻るんだろ?アクセル達はどうするんだ?」
この辺りはセリカも思い切った案を出していた。
まず王都直轄領となっていたカッシは独立させて、代官扱いだったシルビアはレパード子爵として領主に昇格させる。シルビアは沿岸部の南下作戦の指揮官として実績も申し分ないのでいいのではないだろうか?
次に国境付近に造っていた砦に関してはアクセル達のパーティ6人丸ごと騎士爵の位を与えてアクセルを砦の守将として配置する。やったな、アクセル達準貴族扱いだよ。確かに沿岸部の戦いではかなりの戦果を挙げたという事だからな。
クノイチ達。これは各地に振り分けて組織を強化するらしい。戦闘に諜報にメイドにと有用すぎるのでもっと人員を増やしてしまえと言う事か。ソアラ、クレスタ、チェイサーは中でも功績が大きいのでセリカ直属の親衛隊になるとの事だ。
ローレルとガイアは王都で何かやるらしい。『何か』って言うとすごくふわっとしているが、やろうとしている事はエルフとドワーフの関係改善や両者の共同作業の斡旋や職人の紹介など。組織を立ち上げるのか個人としての事業でやるのかもまだ決まっていないが寿命の長い彼等の事だ。のんびりやればいいんじゃないのかな。
テルとユキはなんて言うかな。特別枠?かな。ウフロン防衛戦での働きが目覚ましかった2人はインテグラーレ公爵の直臣となるとかギルドの要職に就くとかいろいろ提示されたらしい。もちろんセリカも直臣にと誘ったようだ。しかし2人は返答に関して暫く猶予を貰ったようで、2人でエツリア、テルの生まれ故郷を旅してみたいと言っていた。当然そのままエツリアに居つくのではないかと皆心配したのだがそんなつもりはないらしい。ただ、生まれ変わろうとしている故郷の姿を見てみたいだけの事だそうだ。
あれ?俺とライムだけ宙ぶらりんな感じだな。
「正直、カズトとライムの扱いは決めかねています。王位を譲れと言うなら譲ってもいい位には思っているのですがね。むしろ王になってこの国を導いて欲しいと思っている者も大勢います。ですがそれを望むカズトとライムではないでしょう?」
もちろん王族になれとか丁重にお断りしたい。それにしてもどうすっかなぁ…
「まあ、当面はのんびり過ごしたらいいのでは?衣食住ならこちらで手配しますし。」
ふむ。そういえば一つやる事があった。
「なあ、俺とライムでバンドーに行って来ようと思うんだけど。」
「え!?なぜです?」
「まだ皇帝に謝罪させて無いしな。それに真意も分からない。俺とライムがここから姿を消したらどう動くのか見極めるのがいいと思うんだ。」
「なるほど…」
「まあ、もしかしたらバンドーからなんらかの使者がくるかも知れないし、今すぐ出かけるって訳じゃないよ。」
「そうだね、それに久しぶりにキャロルちゃん達に会いに行ってもいいかも。ね?カズにぃ。」
そうだな…今まで巡った街をゆっくり見てまわるのもいいかもな。
「ところでセリカ。スタリオンの両親を連れて来たいんだが場所の方は目処が付いたのか?」
スタリオンを一緒に旅に連れて行くと行く先々で騒ぎになるからな。せめて両親と一緒にさせてやりたいんだ。
「ええ、それならば。ここから東にダンジョンがあるのですがその一帯は高地が広範囲に広がっています。その高地を『守護竜の聖地』としてみだりに人々を立ち入れさせないように手配を進めていますよ。」
「じゃあセリカ。ライムと一旦王都に戻って来るよ。屋敷にいる5人娘にも話を聞いとかなきゃいけないだろうし。帰りにスタリオンの両親を連れて来るから。」
「わかりました。ダンジョン付近のエリアについてはカズトが戻るまでには。」
「ああ、頼んだ。」
さあて、スタリオンの両親の名前も考えてやらなくちゃな。
取り敢えずは国内の敵と目されていた勢力は無くなったとは言えセリカの政権奪取からまだ半年も経っていない。まだまだ不安定な情勢なのでセリカとしてはしっかりと足元を踏み固めたいのだろう。
今は堅苦しい晩餐会も終わり、気心知れたメンバーが集まり歓談中だ。
「ふうん?じゃあ即位式みたいなモンも先延ばしか?」
そう、悪く言えばドサクサに紛れて女王になった印象を持つ者もいるだろう。特に国外には。何しろ正式に即位したって言う儀式儀礼などは全くやっていない。
「それよりも国内を安定させる事が先決だと思います。現状、母様の摂政体制でもどうにか回っていますしね。」
「それで、シルビアはカッシに戻るんだろ?アクセル達はどうするんだ?」
この辺りはセリカも思い切った案を出していた。
まず王都直轄領となっていたカッシは独立させて、代官扱いだったシルビアはレパード子爵として領主に昇格させる。シルビアは沿岸部の南下作戦の指揮官として実績も申し分ないのでいいのではないだろうか?
次に国境付近に造っていた砦に関してはアクセル達のパーティ6人丸ごと騎士爵の位を与えてアクセルを砦の守将として配置する。やったな、アクセル達準貴族扱いだよ。確かに沿岸部の戦いではかなりの戦果を挙げたという事だからな。
クノイチ達。これは各地に振り分けて組織を強化するらしい。戦闘に諜報にメイドにと有用すぎるのでもっと人員を増やしてしまえと言う事か。ソアラ、クレスタ、チェイサーは中でも功績が大きいのでセリカ直属の親衛隊になるとの事だ。
ローレルとガイアは王都で何かやるらしい。『何か』って言うとすごくふわっとしているが、やろうとしている事はエルフとドワーフの関係改善や両者の共同作業の斡旋や職人の紹介など。組織を立ち上げるのか個人としての事業でやるのかもまだ決まっていないが寿命の長い彼等の事だ。のんびりやればいいんじゃないのかな。
テルとユキはなんて言うかな。特別枠?かな。ウフロン防衛戦での働きが目覚ましかった2人はインテグラーレ公爵の直臣となるとかギルドの要職に就くとかいろいろ提示されたらしい。もちろんセリカも直臣にと誘ったようだ。しかし2人は返答に関して暫く猶予を貰ったようで、2人でエツリア、テルの生まれ故郷を旅してみたいと言っていた。当然そのままエツリアに居つくのではないかと皆心配したのだがそんなつもりはないらしい。ただ、生まれ変わろうとしている故郷の姿を見てみたいだけの事だそうだ。
あれ?俺とライムだけ宙ぶらりんな感じだな。
「正直、カズトとライムの扱いは決めかねています。王位を譲れと言うなら譲ってもいい位には思っているのですがね。むしろ王になってこの国を導いて欲しいと思っている者も大勢います。ですがそれを望むカズトとライムではないでしょう?」
もちろん王族になれとか丁重にお断りしたい。それにしてもどうすっかなぁ…
「まあ、当面はのんびり過ごしたらいいのでは?衣食住ならこちらで手配しますし。」
ふむ。そういえば一つやる事があった。
「なあ、俺とライムでバンドーに行って来ようと思うんだけど。」
「え!?なぜです?」
「まだ皇帝に謝罪させて無いしな。それに真意も分からない。俺とライムがここから姿を消したらどう動くのか見極めるのがいいと思うんだ。」
「なるほど…」
「まあ、もしかしたらバンドーからなんらかの使者がくるかも知れないし、今すぐ出かけるって訳じゃないよ。」
「そうだね、それに久しぶりにキャロルちゃん達に会いに行ってもいいかも。ね?カズにぃ。」
そうだな…今まで巡った街をゆっくり見てまわるのもいいかもな。
「ところでセリカ。スタリオンの両親を連れて来たいんだが場所の方は目処が付いたのか?」
スタリオンを一緒に旅に連れて行くと行く先々で騒ぎになるからな。せめて両親と一緒にさせてやりたいんだ。
「ええ、それならば。ここから東にダンジョンがあるのですがその一帯は高地が広範囲に広がっています。その高地を『守護竜の聖地』としてみだりに人々を立ち入れさせないように手配を進めていますよ。」
「じゃあセリカ。ライムと一旦王都に戻って来るよ。屋敷にいる5人娘にも話を聞いとかなきゃいけないだろうし。帰りにスタリオンの両親を連れて来るから。」
「わかりました。ダンジョン付近のエリアについてはカズトが戻るまでには。」
「ああ、頼んだ。」
さあて、スタリオンの両親の名前も考えてやらなくちゃな。
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