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第四章
4-76
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R18シーン
「——俺は、こういう事をしたい訳じゃない。ただ雪が居れば良いんだ。雪が居たらそれだけで良い。それなのに、それが伝わらないのがもどかしくて堪らない」
庭での二人の雰囲気は悪くはなかった。
それなのに、ほんの小さな拒絶をされると大きな穴を心に開ける。雪でしか埋められない穴は彼女でしか埋められないように彼女だけが穴を開ける事が出来る。面倒臭い仕組みに自分自身でこんがらがって前が見えなくなる。
「嘘でも——『嫌い』だなんて言わないでくれ。余裕がない時は何をしでかすか分からない」
「すまなかった」と久賀はゆっくりと顔を覆い隠していた両手を退かした。その表情は痛々しく、瞳は悲し気に潤んでいた。
「俺がお前を傷つけようとしたら、いつでも殺してくれて構わないから」
物騒な事を吐いた久賀を雪は涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔で睨み付けた。「そんな事を言うと嫌いになる」と過去に言った事がある。しかしそれを今言うのは得策じゃないと思い雪は口を閉ざした。
久賀は雪の唇に視線をやった。噛み過ぎたようで切れてしまい皮が剝けてしまっている。その血を拭いてあげようと手を伸ばし唇に触れると少女の身体は震えなかった。ただ、唇が拭かれるのを待つかのようにじっとして自分を見下ろす男を見上げていた。
黙ったまま久賀から唇の血を指で拭われて、涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔を手拭いで拭いてもらう。それも黙ってされるがままになって拭いてもらった。
雪の手首を見ると帯の痕がくっきりと残っていて、その痕を指でなぞり「ごめんね」と男は掠れた声で呟いた。
横たわる雪の隣りに腰かけて、髪を指で掬った。それも拒否されず男は人知れず胸を撫で下ろした。
声を押し殺してまで泣いて怖い思いをさせた男の手に黙ってされるがままになっている雪に一抹の不安を覚えてしまうが、その素直さに救われてもいた。
おずおずと、久賀の膝に頭を置いて横になった雪に久賀はもう一度「怖い思いをさせてごめんね」と囁いた。すると雪は小さく頷いてくれた。
何度もさらさらの癖っ気のない髪を指で弄んでいると、雪から
「帯はしなくても良いんですか?」
「帯? ——あぁ……」
自分の着物の帯で雪を縛った為に、その帯は今では畳に放り投げられていて男の胸は開(はだ)けてしまっていた。
「寒くはないから」と開けた着物の襟を手で閉めながら雪の髪を手櫛で梳かす。しかしじっと見られて「どうしたの?」と久賀は訊ねた。
「いつも、脱がないから」
「脱がない?」
「はて」と思って首を傾げたが、「脱がないとは?」と考えたがまとまらず、雪を見下ろすと「閨の時……」とぼそりと囁かれて首を傾げたまま久賀は両目を閉じた。
あまり考えた事はなかったが……確かに雪とまぐわう時一度も脱いだ事はない、な。
「脱ぐのは嫌?」
首を傾けたまま雪を見下ろす。質問の意図を考えていると
「くっつくの嫌?」泣きそうな表情で雪は言った。
「いつも、私ばかりだから」
折角綺麗に拭き取ったのに涙が流れて、久賀は首を元の位置に戻すと雪の涙を袖で拭った。
「そんな事を気にしていたの?」
「そんな事じゃ、ないもん」
ムッとしたように頬を染めて膨らました雪に「ごめん」と謝った。
「雪を脱がすのに精一杯で、俺が脱ぐ時間が惜しかっただけだよ」
「なに、それ」
早く手に入れたくて自分の着物に手が回らなかっただけ——まるで童貞だな
自分で吹き出すと、「裸同士で絡んだ事がなかったね」雪の髪に唇を落として微笑みかけた。
「お許しならば——裸同士で……睦みあいたい」
「いや……」
プイッと顔を背けられてしまう。拒絶ではなく耳が真っ赤だから照れているだけだと分かった。
「さっきの俺を許してくれるなら……しよう?」熱い吐息と共に耳元に囁いた。
「一回しかしないよ。嘘は吐かないから」
「いや……」
「俺の事許してくれる? 俺の事嫌い?」
なんて、ずるいんだろう……雪は横目で久賀を見上げて、睨み付けた。
「嘘でも——『嫌い』だなんて言わないでくれ。余裕がない時は何をしでかすか分からない」と言ったばかりの男に「嫌い」だなんて嘘でも言える筈がなかった。「嫌い?」と訊かれれば答えは一つしかない。
「好き……」
自分から「嫌い」と言えても、訊ねられたら本当の「好き」としか言えないに決まっている。
横を向いていた顔を顎を掴まれて上を向かされる。そのまま唇を落とされて、皮が剥けた唇をペロリと舐めた。
下唇を舌で舐めてから口の隙間に舌を滑り込ませて歯並びを舐めて唇を離すと、横になった雪の躰を持ち上げて胡坐を掻いた自分の上に正面を向かせて座らせた。
雪の頬を撫でながら、再び唇を奪う。唇を食みながら久賀は自分の着物を脱いで畳に投げつけてから雪の着物を丁寧に脱がしていった。
唾液の音とシュルシュルと着物の擦れる音が妙に響いた。先程の手と別物のように優しい手の動きは、雪の最後の襦袢を脱がして裸にしてしまったら、細い腰に触れて躰の線をなぞるようにして動く。
その指は雪の背骨を上から下までなぞると、少女の躰を自分の躰と隙間なくくっつけるかのように抱き締めた。
ぷにっと柔らかい感触が久賀の胸に当たる。
着物越しでしか触れた事のなかった男の体温は非常に熱く、熱でもあるのかと思ってしまう。どちらの熱かなんてお互い分からなかった。
「んっ……ふぁっ……ん」
未だに口付だけでいっぱいいっぱいになる少女が可愛くて堪らず口付の合間につい禁句を吐いてしまう。
すると、されるがままだった雪から両手で胸を押されてしまい、久賀は不服そうに顔を顰めた。
「それを言うのは……嫌い……」
それだけは譲れないと雪はぷいっと顔を背けて久賀を見ようとしない。久賀と言えば「本当の事なのに」と折れなかった。
「可愛いしか言わない」
「それしかないでしょう?」
「それ以外あるもん!」
言葉を選び間違えたと気付いたが、どうやら遅かったらしく、膝に乗せた筈の雪はその腕から逃れようと身動きをするが、久賀の股間の上で身動きするせいでつい「動くな」と命令口調で吐いてしまう。素直にピタッと止まった雪の表情は青褪めていた。
「いや、動くと俺の股間に響いて痛いだけだから……怒っているわけじゃないから。ね?」
慰めるようにして髪を撫でて雪を宥めると雪は厭々と首を振って「しない」と言う。それを聞いて、またもやどす黒い感情に支配されそうになるのを久賀は堪えた。こんなに頑なに「可愛い」を拒絶するのは何か理由がある筈である。昔からあんなに「可愛い」と右耳で囁いていた言葉を今になって拒絶されるなんて久賀は思ってもいなかった。何が引っ掛かっているの判明しない限り、一生睦みあう事が難しい気がしてくる。その言葉を吐かずにまぐわう事はできるが、男は雪に言いたいのだ。
「こんなにも可愛いのに。なぜ伝わらないのか……」
「もぉ……次にそれ言ったら本当に絶交します……」
「可愛い」
雪はキッと正面から睨んだ。嫌だと言うのに、わざとに決まっている。しかし、久賀の瞳を見る限り、嘘をついているようには見えなかった。
しかし、薫の言う『好き好き光線』が何なのか雪には分からない。いつも態度に出ていると言うが、抱き潰す事がどうそれに繋がるのか分からなかった。その抱き潰す事が久賀の愛情表現なんぞ夢にも思っていない。
「俺以外の誰にも見せたくないほど、可愛いのに。外に出したくない」
「ち、ちんちくりんだから見せたくないんでしょう?」
心外だと言うように男の目が見開かれた。
薫からもそれはないと言われたが、可愛いが理由で外に出したくないのは可笑しい。可愛いかったら、雪だったら見せびらかしたいと思った。黒ちゃんや雛二羽だって見せびらかしたいし、もし妹の桜が居れば全員に「可愛い妹」だと自慢しながら連れ回したい。
「どうしてそんなに自分に自信がないの?」
髪を撫でていた手を雪の頬に移動して、両手で両頬を挟み込むと「鏡を見よう?」と言った。
長い睫毛に縁取られた瞳も小さな鼻も、薄桃色の唇も何処をとっても、百人に百人が「可愛い」と言う筈だ。それをもし一人でも否定する人間が居るならば、よっぽど目が腐っているか、僻みかである。
「誰にでも言ってる」
「言わないよ。どの女にもない。可愛くないもん」
「可愛い、じゃなくて美人ですもんね……」
由希さんはその部類で、あの甘味処の女性も美人だった。それに二人ともおっぱいが着物の上から分かるほどに大きい。
私と言えばおっぱいは小さい。久賀さんはきっと大きい方が好みに決まっている。
「雪は今は可愛いけど、もう少したてば美人になるよ」
「おっぱい大きくなりますか?」
「それは」
何故美人とおっぱいがどのような関係なのか疑問に思いつつも、チラリと雪の胸に視線を映す。まだ幼いから掌にすっぽり収まるくらいの大きさだった。成長すれば大きくなるかと言われる——何故か、このままの大きさのままのような気がした。成長させる為に揉み続けてはいるが、三カ月前とさほど変わらない。もしやもう少し年月が経てば成長するかもしれない。
しかし、掌に収まるし小振りでも餅のように柔らかくて、久賀は大好きだった。
「胸の話は今関係ないよ」
と久賀は頭を振って話題から逸れた。
「もう少し自信を持って、自覚を持ってよ。男から喋り掛けられるのは下心があるから子供の雪に少しでも近付きたいから。自覚を持たないと隙を見て襲われるよ」
「小動物って思ってますか?」
「小動物って思われてるんだったら下心で男は近づいて来ないよ。男は基本獣だから」
「久賀さんも獣?」
「獣だから雪を食べちゃったんでしょう?」
食べたとは? と考えてみたが、行為そのものだと気付いて雪は頬を染めて俯いてしまった。
目を伏せて長い睫毛で影ができる様を久賀はじっと眺め、
「小動物だなんて……小動物って思っている相手に毎日毎日興奮してぶっ差さないよ」
俯いていた顔を上げて薫と同じ台詞を吐いた久賀をじっと見つめた。どうしてお互い同じ考えがわかるんだろう?
「こんなにも好きで堪らないから毎日まぐわいたいんだよ? 好きじゃなきゃ中出ししないよ俺」
過去の女達には膣(なか)に出す事はなかったし、万が一を考えて俺自ら膣を洗う程で、避妊薬を飲ませるくらいの徹底ぶりだ。それほど自分の子孫を残したくない。だったら、するなって話だが、どうしても人を斬った後は気が昂って己の欲を発散させる為には女を抱いた方がてっとり早い。
しかし、雪は別だ。まだ孕む時期ではなくても、いずれ芽生えて欲しいが為に膣(なか)に出したいし、初牛がまだで、毎日でもまぐわいたい。本音は誰もが目を背けるまでに穢してしまいたいし他人を近寄らせたくはない。頭が沸いたような考えだ。
「——俺は、こういう事をしたい訳じゃない。ただ雪が居れば良いんだ。雪が居たらそれだけで良い。それなのに、それが伝わらないのがもどかしくて堪らない」
庭での二人の雰囲気は悪くはなかった。
それなのに、ほんの小さな拒絶をされると大きな穴を心に開ける。雪でしか埋められない穴は彼女でしか埋められないように彼女だけが穴を開ける事が出来る。面倒臭い仕組みに自分自身でこんがらがって前が見えなくなる。
「嘘でも——『嫌い』だなんて言わないでくれ。余裕がない時は何をしでかすか分からない」
「すまなかった」と久賀はゆっくりと顔を覆い隠していた両手を退かした。その表情は痛々しく、瞳は悲し気に潤んでいた。
「俺がお前を傷つけようとしたら、いつでも殺してくれて構わないから」
物騒な事を吐いた久賀を雪は涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔で睨み付けた。「そんな事を言うと嫌いになる」と過去に言った事がある。しかしそれを今言うのは得策じゃないと思い雪は口を閉ざした。
久賀は雪の唇に視線をやった。噛み過ぎたようで切れてしまい皮が剝けてしまっている。その血を拭いてあげようと手を伸ばし唇に触れると少女の身体は震えなかった。ただ、唇が拭かれるのを待つかのようにじっとして自分を見下ろす男を見上げていた。
黙ったまま久賀から唇の血を指で拭われて、涙と鼻水でくしゃくしゃになった顔を手拭いで拭いてもらう。それも黙ってされるがままになって拭いてもらった。
雪の手首を見ると帯の痕がくっきりと残っていて、その痕を指でなぞり「ごめんね」と男は掠れた声で呟いた。
横たわる雪の隣りに腰かけて、髪を指で掬った。それも拒否されず男は人知れず胸を撫で下ろした。
声を押し殺してまで泣いて怖い思いをさせた男の手に黙ってされるがままになっている雪に一抹の不安を覚えてしまうが、その素直さに救われてもいた。
おずおずと、久賀の膝に頭を置いて横になった雪に久賀はもう一度「怖い思いをさせてごめんね」と囁いた。すると雪は小さく頷いてくれた。
何度もさらさらの癖っ気のない髪を指で弄んでいると、雪から
「帯はしなくても良いんですか?」
「帯? ——あぁ……」
自分の着物の帯で雪を縛った為に、その帯は今では畳に放り投げられていて男の胸は開(はだ)けてしまっていた。
「寒くはないから」と開けた着物の襟を手で閉めながら雪の髪を手櫛で梳かす。しかしじっと見られて「どうしたの?」と久賀は訊ねた。
「いつも、脱がないから」
「脱がない?」
「はて」と思って首を傾げたが、「脱がないとは?」と考えたがまとまらず、雪を見下ろすと「閨の時……」とぼそりと囁かれて首を傾げたまま久賀は両目を閉じた。
あまり考えた事はなかったが……確かに雪とまぐわう時一度も脱いだ事はない、な。
「脱ぐのは嫌?」
首を傾けたまま雪を見下ろす。質問の意図を考えていると
「くっつくの嫌?」泣きそうな表情で雪は言った。
「いつも、私ばかりだから」
折角綺麗に拭き取ったのに涙が流れて、久賀は首を元の位置に戻すと雪の涙を袖で拭った。
「そんな事を気にしていたの?」
「そんな事じゃ、ないもん」
ムッとしたように頬を染めて膨らました雪に「ごめん」と謝った。
「雪を脱がすのに精一杯で、俺が脱ぐ時間が惜しかっただけだよ」
「なに、それ」
早く手に入れたくて自分の着物に手が回らなかっただけ——まるで童貞だな
自分で吹き出すと、「裸同士で絡んだ事がなかったね」雪の髪に唇を落として微笑みかけた。
「お許しならば——裸同士で……睦みあいたい」
「いや……」
プイッと顔を背けられてしまう。拒絶ではなく耳が真っ赤だから照れているだけだと分かった。
「さっきの俺を許してくれるなら……しよう?」熱い吐息と共に耳元に囁いた。
「一回しかしないよ。嘘は吐かないから」
「いや……」
「俺の事許してくれる? 俺の事嫌い?」
なんて、ずるいんだろう……雪は横目で久賀を見上げて、睨み付けた。
「嘘でも——『嫌い』だなんて言わないでくれ。余裕がない時は何をしでかすか分からない」と言ったばかりの男に「嫌い」だなんて嘘でも言える筈がなかった。「嫌い?」と訊かれれば答えは一つしかない。
「好き……」
自分から「嫌い」と言えても、訊ねられたら本当の「好き」としか言えないに決まっている。
横を向いていた顔を顎を掴まれて上を向かされる。そのまま唇を落とされて、皮が剥けた唇をペロリと舐めた。
下唇を舌で舐めてから口の隙間に舌を滑り込ませて歯並びを舐めて唇を離すと、横になった雪の躰を持ち上げて胡坐を掻いた自分の上に正面を向かせて座らせた。
雪の頬を撫でながら、再び唇を奪う。唇を食みながら久賀は自分の着物を脱いで畳に投げつけてから雪の着物を丁寧に脱がしていった。
唾液の音とシュルシュルと着物の擦れる音が妙に響いた。先程の手と別物のように優しい手の動きは、雪の最後の襦袢を脱がして裸にしてしまったら、細い腰に触れて躰の線をなぞるようにして動く。
その指は雪の背骨を上から下までなぞると、少女の躰を自分の躰と隙間なくくっつけるかのように抱き締めた。
ぷにっと柔らかい感触が久賀の胸に当たる。
着物越しでしか触れた事のなかった男の体温は非常に熱く、熱でもあるのかと思ってしまう。どちらの熱かなんてお互い分からなかった。
「んっ……ふぁっ……ん」
未だに口付だけでいっぱいいっぱいになる少女が可愛くて堪らず口付の合間につい禁句を吐いてしまう。
すると、されるがままだった雪から両手で胸を押されてしまい、久賀は不服そうに顔を顰めた。
「それを言うのは……嫌い……」
それだけは譲れないと雪はぷいっと顔を背けて久賀を見ようとしない。久賀と言えば「本当の事なのに」と折れなかった。
「可愛いしか言わない」
「それしかないでしょう?」
「それ以外あるもん!」
言葉を選び間違えたと気付いたが、どうやら遅かったらしく、膝に乗せた筈の雪はその腕から逃れようと身動きをするが、久賀の股間の上で身動きするせいでつい「動くな」と命令口調で吐いてしまう。素直にピタッと止まった雪の表情は青褪めていた。
「いや、動くと俺の股間に響いて痛いだけだから……怒っているわけじゃないから。ね?」
慰めるようにして髪を撫でて雪を宥めると雪は厭々と首を振って「しない」と言う。それを聞いて、またもやどす黒い感情に支配されそうになるのを久賀は堪えた。こんなに頑なに「可愛い」を拒絶するのは何か理由がある筈である。昔からあんなに「可愛い」と右耳で囁いていた言葉を今になって拒絶されるなんて久賀は思ってもいなかった。何が引っ掛かっているの判明しない限り、一生睦みあう事が難しい気がしてくる。その言葉を吐かずにまぐわう事はできるが、男は雪に言いたいのだ。
「こんなにも可愛いのに。なぜ伝わらないのか……」
「もぉ……次にそれ言ったら本当に絶交します……」
「可愛い」
雪はキッと正面から睨んだ。嫌だと言うのに、わざとに決まっている。しかし、久賀の瞳を見る限り、嘘をついているようには見えなかった。
しかし、薫の言う『好き好き光線』が何なのか雪には分からない。いつも態度に出ていると言うが、抱き潰す事がどうそれに繋がるのか分からなかった。その抱き潰す事が久賀の愛情表現なんぞ夢にも思っていない。
「俺以外の誰にも見せたくないほど、可愛いのに。外に出したくない」
「ち、ちんちくりんだから見せたくないんでしょう?」
心外だと言うように男の目が見開かれた。
薫からもそれはないと言われたが、可愛いが理由で外に出したくないのは可笑しい。可愛いかったら、雪だったら見せびらかしたいと思った。黒ちゃんや雛二羽だって見せびらかしたいし、もし妹の桜が居れば全員に「可愛い妹」だと自慢しながら連れ回したい。
「どうしてそんなに自分に自信がないの?」
髪を撫でていた手を雪の頬に移動して、両手で両頬を挟み込むと「鏡を見よう?」と言った。
長い睫毛に縁取られた瞳も小さな鼻も、薄桃色の唇も何処をとっても、百人に百人が「可愛い」と言う筈だ。それをもし一人でも否定する人間が居るならば、よっぽど目が腐っているか、僻みかである。
「誰にでも言ってる」
「言わないよ。どの女にもない。可愛くないもん」
「可愛い、じゃなくて美人ですもんね……」
由希さんはその部類で、あの甘味処の女性も美人だった。それに二人ともおっぱいが着物の上から分かるほどに大きい。
私と言えばおっぱいは小さい。久賀さんはきっと大きい方が好みに決まっている。
「雪は今は可愛いけど、もう少したてば美人になるよ」
「おっぱい大きくなりますか?」
「それは」
何故美人とおっぱいがどのような関係なのか疑問に思いつつも、チラリと雪の胸に視線を映す。まだ幼いから掌にすっぽり収まるくらいの大きさだった。成長すれば大きくなるかと言われる——何故か、このままの大きさのままのような気がした。成長させる為に揉み続けてはいるが、三カ月前とさほど変わらない。もしやもう少し年月が経てば成長するかもしれない。
しかし、掌に収まるし小振りでも餅のように柔らかくて、久賀は大好きだった。
「胸の話は今関係ないよ」
と久賀は頭を振って話題から逸れた。
「もう少し自信を持って、自覚を持ってよ。男から喋り掛けられるのは下心があるから子供の雪に少しでも近付きたいから。自覚を持たないと隙を見て襲われるよ」
「小動物って思ってますか?」
「小動物って思われてるんだったら下心で男は近づいて来ないよ。男は基本獣だから」
「久賀さんも獣?」
「獣だから雪を食べちゃったんでしょう?」
食べたとは? と考えてみたが、行為そのものだと気付いて雪は頬を染めて俯いてしまった。
目を伏せて長い睫毛で影ができる様を久賀はじっと眺め、
「小動物だなんて……小動物って思っている相手に毎日毎日興奮してぶっ差さないよ」
俯いていた顔を上げて薫と同じ台詞を吐いた久賀をじっと見つめた。どうしてお互い同じ考えがわかるんだろう?
「こんなにも好きで堪らないから毎日まぐわいたいんだよ? 好きじゃなきゃ中出ししないよ俺」
過去の女達には膣(なか)に出す事はなかったし、万が一を考えて俺自ら膣を洗う程で、避妊薬を飲ませるくらいの徹底ぶりだ。それほど自分の子孫を残したくない。だったら、するなって話だが、どうしても人を斬った後は気が昂って己の欲を発散させる為には女を抱いた方がてっとり早い。
しかし、雪は別だ。まだ孕む時期ではなくても、いずれ芽生えて欲しいが為に膣(なか)に出したいし、初牛がまだで、毎日でもまぐわいたい。本音は誰もが目を背けるまでに穢してしまいたいし他人を近寄らせたくはない。頭が沸いたような考えだ。
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