愛する妻が置き手紙一つ置いて家出をしました。~旦那様は幼な妻を溺愛したい~

猫原

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第一章

初夜⑩ ※

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「んあっ、あ~~~~~~うっ、あっ!」
 陸に上がった魚のように跳ね上がるオリヴィアの最奥に一滴も残さないとでも言うように放出した。
「うっ……っ、っぅ」
 獣のように唸り、奥歯を噛み締める。腰をブルルッと揺らして一滴もだし溢しがないように奥へ注ぎ込んだ。
「おなか、熱いっ……」
 最奥に熱を感じる。子宮内にある熱は胎内が火傷するように熱くて――違和感を感じるほどだった。
 その熱さにハーハーと荒い呼吸を繰り返す。額に汗の粒が浮かび、グルグルと子宮内を渦巻くに、いよいよ感じ過ぎでおかしくなったのかと思うも、フッと熱が子宮内から消えた。
「んっ……」
 ズルリと、身体の中にあった異物が抜けて、そちらに気をやってしまって腹に感じた熱の事は忘れてしまった。
「どこも痛くないか?」
 そう訊ねられて太股を擦り合わせたら、ドロリとした物が溢れてきてオリヴィアはギュッと内股を締めた。
 乱れた銀髪を耳の裏にかけて、こめかみにキスをするイアンに、
「……少し、ヒリヒリする」
「すまない……」
 申し訳なさそうに謝罪され、オリヴィアはクルリと回転した。金色の目が驚きに目が見開のを見て、イタズラ心がムクムクと起き上がってしまう。
「えいっ」
 自分より鼻が高い男の鼻にがぶっと噛み付いた。突然の事で避けきれなかったイアンはニシシっと笑うオリヴィアを唖然と見つめる。
「これでおあいこね」
 オリヴィアはギュッとイアンを抱き締める。やっぱり、クマのぬいぐるみを抱きしめているようで「フフッ」と笑った。
「……あまり、可愛いことをされると……」
「困る?」
 ガブっと顎に噛み付くとイアンはリンゴのように顔が赤くなった。
「もうイタズラしないわ」
 と不満そうに唇を尖らしたオリヴィアを見て取り敢えずホッと胸を撫で下ろす。それから可愛らしく尖った唇へイアンはチュッと唇を当てた。フフッ、と笑うオリヴィアが可愛くて、イアンも彼女をギュッと抱き締めた。
 自分が思った以上に細いオリヴィアをこれから、もっと太らせないと……と使命感が湧く。
(胸の大きさに反して腰が細い気が……)
「本を読ませてね」
 唐突に言われイアンは片眉を上げた。
「本に書いてあるんでしょ? ここを触ったらいいとか、こうするとか。私も読んで勉強したい」
 ギュッギュッと抱き締められて、澄んだ目で言われた。あまりにも澄み切っていたから「ダメ」という言葉を飲み込んでしまって頷いてしまう。おまけにニパッ、と笑われて駄目だと言えなくなってしまった。
「読んだのは子供の時以来だから……勉強になるかな……」
 アハハ、と笑って取り敢えずは誤魔化した。
「結婚記念日の朝、私の告白を楽しみにしていてね」
 腕の中のオリヴィアはそう言ってイアンの胸に頬擦りをした。甘える仕草に悶えて、下半身が再び主張し出すのを頬の裏をガリッと噛んで、痛みで抑える。……今までやってきた「目の前のオリヴィアを襲わない為の方法」の一つだ。
「本当は今言って欲しいが……」
 チラッと本音を溢すと、睨まれてしまう。それから、またもや鼻をガブッと噛まれてしまった。
「私が結婚記念日と言えば結婚記念日なの。分かった?」
「はい……お姫様……」
「よろしい、許しましょう」 
 フフン、と笑って噛んだ鼻を今度はチュッとキスをする。有無を言わさない言葉からの許しの流れはイアンをキュンとさせた。彼はメロメロだった。
「はぁ……好き……」
 うっとりして彼女の額にキスを落とすと擽ったそうに笑うオリヴィア。
「私の告白、楽しみ?」
「とても……」
「明日の晩もする……?」
「する」
 自分で言っておきながら。
 即答しておきながら。
 二人は顔を見合わせて赤面した。
「でも、今日の夜もしちゃったらイアンはジョギングへ行ける?」
「体力だけは自信がある……」
「あ」と閃いたようでイアンは声を上げる。不思議そうにオリヴィアは首を傾げた。
「せっかくだ。早朝一緒に出掛けよう」
「二人でジョギング?」
「散歩をしよう」
「行くわ!」
 キラキラした目で見つめられて「フッ」とイアンは微笑んだ。二人で黒い仔犬を受け取りに行けば良い。そこでオリヴィアへプレゼントをして喜ぶ顔を見れば良いんだ──オリヴィアから早朝告白されて、その場で押し倒さないという自信は揺らいではいるが……何年も待ったんだ。我慢できないわけがない。
「イアン」
 目の前のオリヴィアに名前を呼ばれる。
 返事の代わりに鼻同士をくっ付けると、穏やかに目を細めてオリヴィアは笑った。
「結婚4年目って、花婚式っていう名前なんですって」
「花婚式?」
「お花が咲き、実がなりますように、ってお祝いするの。お花なんて、私たちにぴったしなお祝いじゃない?」
 邸内には常に花が飾られていて、グェイン公爵家の庭園は色とりどりの花が年中咲き誇っている。結婚記念日に大量のジャスミンの白い花が邸内を占領し、常に花の香りがあった。
 フフッと幸福そうに笑う彼女が六歳の頃に出会った少女と重なって、イアンも目を細め、愛しくてたまらない、というようにオリヴィアを瞳に映した。この数年間、オリヴィアにあの頃と変わらない笑顔を取り戻せた事が何よりも嬉しい。
「……ねぇ、イ、イアン……」
 微笑んでいたオリヴィアが急に耳まで真っ赤になって、しどろもどろになった。そんな姿に「どうした?」と心配して声を掛けると――。
「お、お腹に、その……」
「お腹痛いか?」
「ち、違うの。その……」
「あ、当たってるの……」とカァと赤くなって腕の中で俯いたオリヴィアをキョトンとして見下ろした。
 彼女の腹に当たっている……あぁ~~~~ナニが……。
 幸福で下半身が硬くなることをイアンは初めて知った。
「す……まない、その……」
 謝って、自分でどうにかするから、と言うつもりだった。しかし、
「あ、あといっかい……する……?」
 と、上目遣いで、モジモジしながら腰を揺らされたら答える返事はただ一つで。
「する」
 である。
 横たわったまま、腕の中にいるオリヴィアの蜜口に当てるとイアンが放出した精液のお陰ですんなりと入り、二回戦が始まった。


 二度目の睦言でも子宮奥に放たれた精液の熱さにオリヴィアは見悶え、汗が大量に出るもそれは一瞬の事ですぐにおさまった。
(好きな人のだったら、こうなるのね……きっと)
 そんなことを思いながら、オリヴィアは睡魔に襲われてイアンの腕の中で、ゆっくりと意識を手放した。
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