俺とタロと小さな家

鳴神楓

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番外編

一緒にお風呂☆

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「タロー、お風呂入るぞー」

ご主人様がさらっと言ったその言葉に、僕はどきっとする。

「あ、ご主人様お先にどうぞ」
「いや、今日は一緒に入ろうぜ。
 昨日温泉で、うちの風呂で頭洗ってやるって約束しただろ?」
「えっと、そうなんですけど……」

確かに、この前ご主人様と一緒に温泉に行った時、僕の方から頭はうちで洗って欲しいとお願いはした。
ご主人様と交尾をするようになってからは、あの狭い風呂場で2人きりでお風呂に入るのが恥ずかしくなってしまって、ご主人様に誘われてもずっと断り続けていたけれど、やっぱりご主人様とお風呂に入るのは好きなので、何かきっかけがあったらまた一緒に入りたいと思っていたので、ちょうどいい機会だと思ったからだ。
けれども、やっぱりいざとなると恥ずかしくて躊躇(ちゅうちょ)してしまう。

「いいから、いいから」

僕が迷っているうちに、ご主人様は僕の背中を押して風呂場に連れてきてしまった。
ご主人様がなんだかうきうきした様子でぱっぱと服を脱いでいくので、僕の方も自分の服を脱ぐことにする。
最後に靴下を脱ぐと、先に脱ぎ終えていたご主人様に「早く早く」と急かされながら風呂場に入った。



「さあ、頭洗うぞ!」

やる気満々のご主人様が風呂イスを用意してくれたので、おとなしく座る。

「頭濡らすから耳押さえろよー」

言われた通りに犬耳にお湯が入らないようにぺたんと押さえると、ご主人様が頭にざばざばとお湯をかけてくれる。
お湯が止まったので耳を押さえていた手をはずすと、ご主人様はシャンプーで僕の頭を洗い始めた。

ご主人様に頭を洗ってもらうのは、自分で洗うのよりもずっと気持ちが良くて、僕はうっとりしてしまう。

ご主人様、頭洗うの上手だなー。
そう言えばブラッシングも上手だもんね。

柴犬の毛は短いので、抜け毛の時期以外はたまにしかブラッシングしてもらわないけど、ご主人様のブラッシングはものすごく気持ちがよくて、ついうとうとしてしまうくらいなのだ。
正直、ブラッシングの時だけは自分が長毛種だったら毎日ブラッシングしてもらえるのにと、残念に思ってしまう。

「……くふん」

そんなことを考えていると、ご主人様の手が僕の耳に伸びてきて、無意識のうちに鼻を鳴らしてしまい、僕は慌てて両手で鼻を押さえる。

「くすぐったかったか?」
「あ、いえ」
「ふーん。
 それじゃあ……変な感じがしたのか?」

後ろから僕に話しかけるご主人様の声が、少しだけいじわるな感じに変わる。
ご主人様が交尾の時にだけ聞かせてくれる、あの声に。

「あ……えっと……はい」

僕が迷いつつも素直に答えると、ご主人様は機嫌よさそうな声で「そっかー」と言った。

「くすぐったいんじゃなくて、変な感じだったら、このまま洗ってもいいよな?」
「あ……はい…」

僕が小さくうなずくと、ご主人様は僕の耳をやさしくやさしく洗い始めた。
洗ってもらっているだけなのに、自然と鼻がなってしまって、僕は恥ずかしくて、必死に鼻を押さえているしかない。


ご主人様が最初の交尾の時に教えてくれた。
交尾の時、変な感じがするというのは、気持ちがいいということなのだと。

その時まで僕はそんなことは全く知らなかったのだけれど、その直後に僕はご主人様が言ったことが本当なのだと、自分の身をもって体験してしまった。
変な感じがするところは、気持ちがいいところなのだと。
変な感じがするところは、感じるところなのだと。


思い出してみれば、僕はご主人様と交尾をするよりずっと前の、まだ子犬だった時から、お風呂でご主人様に耳を洗ってもらうたびになんか変な感じがして鼻を鳴らしていた。
あの頃からもう、僕はご主人様に耳を洗ってもらって気持ちよくなっていたのかと思うと、恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。


あの頃はまだ子犬だったから、気持ちよくなっても別に何も起こらなかった。
けれども成犬になった今では、気持ちよくなれば自然と体が反応する。

うう、おちんちん、たっちゃってる……。

耳を洗ってもらっているだけでそんなになってしまったのが恥ずかしくて、僕は両手で顔を隠してしまう。
ご主人様は僕のおちんちんがたっているのを気付いているはずなのに、何も言わずに僕の耳を洗い続けている。



結局、僕はその後、耳だけじゃなく、お乳やわき腹といった変な感じがするところを片っ端からご主人様に洗われ、ついでにお尻の穴の中まで洗われて、ふらふらになったところを、裸のままご主人様に抱き上げられて二階に上がったのだった。

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