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番外編
クラフトマーケット 2
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そんなふうにして2人で準備をし、クラフトマーケットの当日を迎えた。
俺とタロ、そして犬のタロの姿になった式神を連れて、一緒に稲荷神社に向かう。
神社についてお参りをすませると、受付をして割り当てられたブースの机に布を敷き、作ってきた小物を並べた。
今年は売るものの種類が多いので、2人であああでもないこうでもないと悩みながら何とかそれっぽいディスプレイをする。
2人で作った小物の他に、タロが「やっぱりご主人様の絵も出さないと!」と言うので、例年通りの色紙とハガキサイズのタロの絵も少し飾っている。
今年はなんだか例年よりも人出が多いようだ。
式神の犬を連れているので俺たちのブースは端っこにしてもらっているが、それでも全体的に人が多いし、式神の看板犬効果でそこそこ売れている。
一番よく売れているのはタロが作った羊毛フェルトのピアスとイヤリングだ。
まんまるのタロの顔が可愛らしいし、値段も手頃なのでよく売れている。
次点は化粧ポーチで、タロが使いやすさにこだわって中に仕切りをつけたもので、俺が布用クレヨンで絵を描いたものも、タロが羊毛フェルトでワンポイント刺繍したものも同じくらい人気がある。
そして、その次に売れていたのは、意外なことに俺が描いた絵だった。
もともと枚数が少なかったとはいえ、色紙は昼までに売り切れてしまい、残りはハガキサイズのものが3枚だけだ。
「うーん……絵は完全におまけのつもりだったのになあ」
「やっぱり学さんの絵は人気があるんですよ!」
「うーん、それはそれでうれしいけど、クラフトマーケットなのになんだかなあ」
毎年クラフトマーケットに絵を出すことに場違いな思いをしていたのに、こうして小物のメインの店にしても、やっぱり絵が売れるというのは何だか納得がいかない。
「どうしようかなあ。
まだ時間早いし、ちょっと描き足すかなあ。
文房具屋に行けば色紙と筆ペンくらいは買えるだろうし」
「あ、それはいいですね。
店番は僕1人でも大丈夫ですから」
「うん、それじゃあ、ちょっと行ってくるよ」
文房具屋に行くと幸いいつも使っている筆ペンがあったので、それの黒と朱、それに色紙と絵手紙ハガキの用紙を買って、通りがけに見かけたタピオカドリンクを2つ買ってブースに戻る。
店番をしてくれているタロの隣に座り、甘いタピオカドリンクを飲みながら絵を描き始めた。
タロの絵は描き慣れているので、下書きもなしにさらさらと描き進めていたが、途中でちょっとわからないところがあったので、参考にしようと式神の犬を見ると、タロが「あっ」と声をあげた。
「ん? どうした?」
「えっ、あっ、その、いえ、なんでもないです」
答えるタロはなんだか焦っている様子だ。
「えー、なんだよー。気になるなあ」
「あの、えっとその……。
モデルなら僕がやりますって言いたかったんですけど、今は無理ですよね。すみません」
そう答えるタロの声はだんだん小さくなっていって、もし尻尾が出ていたらしょんぼりと下がっているのが目に浮かぶようだ。
他の動物を描いている時は何も言わないのに、黒柴のモデルなら式神ではなく自分が、と言い出すタロの嫉妬がかわいくて、俺はちょっとニヤけてしまった。
「いや、ごめん。
俺が無神経だった。
モデルじゃなくてもスマホにタロの写真たくさん入れてあるから、今はそれで描くよ。
モデルはまたうちに帰ってから頼むな」
「……はい! まかせてください!」
俺の言葉に、タロはパッと明るい表情になって元気よく返事をする。
そんなタロを俺はほほえましく眺め、そしてそんな俺たちを式神の犬が「あんたたち何やってんの」とでも言いたげなあきれたような目で見ていた。
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俺とタロ、そして犬のタロの姿になった式神を連れて、一緒に稲荷神社に向かう。
神社についてお参りをすませると、受付をして割り当てられたブースの机に布を敷き、作ってきた小物を並べた。
今年は売るものの種類が多いので、2人であああでもないこうでもないと悩みながら何とかそれっぽいディスプレイをする。
2人で作った小物の他に、タロが「やっぱりご主人様の絵も出さないと!」と言うので、例年通りの色紙とハガキサイズのタロの絵も少し飾っている。
今年はなんだか例年よりも人出が多いようだ。
式神の犬を連れているので俺たちのブースは端っこにしてもらっているが、それでも全体的に人が多いし、式神の看板犬効果でそこそこ売れている。
一番よく売れているのはタロが作った羊毛フェルトのピアスとイヤリングだ。
まんまるのタロの顔が可愛らしいし、値段も手頃なのでよく売れている。
次点は化粧ポーチで、タロが使いやすさにこだわって中に仕切りをつけたもので、俺が布用クレヨンで絵を描いたものも、タロが羊毛フェルトでワンポイント刺繍したものも同じくらい人気がある。
そして、その次に売れていたのは、意外なことに俺が描いた絵だった。
もともと枚数が少なかったとはいえ、色紙は昼までに売り切れてしまい、残りはハガキサイズのものが3枚だけだ。
「うーん……絵は完全におまけのつもりだったのになあ」
「やっぱり学さんの絵は人気があるんですよ!」
「うーん、それはそれでうれしいけど、クラフトマーケットなのになんだかなあ」
毎年クラフトマーケットに絵を出すことに場違いな思いをしていたのに、こうして小物のメインの店にしても、やっぱり絵が売れるというのは何だか納得がいかない。
「どうしようかなあ。
まだ時間早いし、ちょっと描き足すかなあ。
文房具屋に行けば色紙と筆ペンくらいは買えるだろうし」
「あ、それはいいですね。
店番は僕1人でも大丈夫ですから」
「うん、それじゃあ、ちょっと行ってくるよ」
文房具屋に行くと幸いいつも使っている筆ペンがあったので、それの黒と朱、それに色紙と絵手紙ハガキの用紙を買って、通りがけに見かけたタピオカドリンクを2つ買ってブースに戻る。
店番をしてくれているタロの隣に座り、甘いタピオカドリンクを飲みながら絵を描き始めた。
タロの絵は描き慣れているので、下書きもなしにさらさらと描き進めていたが、途中でちょっとわからないところがあったので、参考にしようと式神の犬を見ると、タロが「あっ」と声をあげた。
「ん? どうした?」
「えっ、あっ、その、いえ、なんでもないです」
答えるタロはなんだか焦っている様子だ。
「えー、なんだよー。気になるなあ」
「あの、えっとその……。
モデルなら僕がやりますって言いたかったんですけど、今は無理ですよね。すみません」
そう答えるタロの声はだんだん小さくなっていって、もし尻尾が出ていたらしょんぼりと下がっているのが目に浮かぶようだ。
他の動物を描いている時は何も言わないのに、黒柴のモデルなら式神ではなく自分が、と言い出すタロの嫉妬がかわいくて、俺はちょっとニヤけてしまった。
「いや、ごめん。
俺が無神経だった。
モデルじゃなくてもスマホにタロの写真たくさん入れてあるから、今はそれで描くよ。
モデルはまたうちに帰ってから頼むな」
「……はい! まかせてください!」
俺の言葉に、タロはパッと明るい表情になって元気よく返事をする。
そんなタロを俺はほほえましく眺め、そしてそんな俺たちを式神の犬が「あんたたち何やってんの」とでも言いたげなあきれたような目で見ていた。
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