斉藤先生と佐藤くん

鳴神楓

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お泊まり翌朝とその後 1(side:佐藤くん)

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「んー……」

 目を覚まして布団の中で伸びをする。
 カーテンの外はもう明るい。
 初めて泊めてもらう家だったけど、斉藤先生が用意してくれた布団は僕がアパートで使っているのよりも良い布団みたいで、すごく気持ちよく眠れた。
 洗面所を借りて顔を洗い、着替えを済ませて出てくると、斉藤先生が寝室から出てきた。

「おはようございます」
「おはよう。よく眠れた?」
「はい」
「それは良かった。
 今、朝ご飯作るから」
「あ、手伝います」

 そうして斉藤先生が洗顔と着替えを済ませている間に借りていた布団を畳み、2人で朝食を準備した。
 朝食はクロワッサンのオープンサンドとスクランブルエッグとコーヒーだ。
 簡単だけどおしゃれな朝食で、そんなところもさすが斉藤先生だと思う。

「ああ、そうだ、昨夜約束したから、連絡先を交換しないとね。
 って、佐藤くんは約束したの覚えてないかな?」
「え? えーと……」

 全く覚えがなくて僕が一所懸命思い出そうとしていると、斉藤先生はおかしそうに笑った。

「やっぱりな。
 佐藤くん、寝ぼけてるんじゃないかなと思ったよ」
「すいません……。
 あ、でもよかったら連絡先は交換してもらってもいいですか?」
「うん、もちろん。
 気軽に連絡してくれていいからね」
「はい、ありがとうございます」

 そうして斉藤先生と連絡先を交換し、食器を片付けた後、僕は斉藤先生にお礼を言ってマンションを出た。
 すっかりお世話になってしまったので、帰ったらお礼に何か面白い名古屋名物を送ろうと思いながら、僕は秋葉原へと向かった。

 ──────────────

 新人賞を受賞してから数ヶ月経ち、僕は大学4年生になった。

 幸いなことに僕のデビュー作はそれなりに売れ、続刊を出してもらえた。
 投稿サイトで連載中の小説も同じレーベルから書籍化してもらえ、そちらもそれなりに売れたので、連載をがんばりつつ次巻の書籍化作業にかかっている。
 さらには友達のつてでスマホアプリゲームのテキスト部分を書く仕事もやらせてもらった。

 同級生はみな就職活動で忙しいが、僕は卒業後は就職せずに作家活動をメインでやっていくことに決めた。
 ただし、完全に専業作家でやっていけるほどには作家としての収入はないので、何か副業をやる必要はある。
 就職活動はやっていないが、その副業について悩んでいることがあって、今は色々調べたり人に話を聞いたりしているところだ。

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