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第二章
もう嫌だ
しおりを挟む次に目を開けた時、見慣れた天井が目に入った。
「シュナウザー、大丈夫かい?あまり顔色が良くないね。」
ベッドの縁に座り、優しい笑顔で俺にそう話しかけるアーノルド。
俺は思わず泣きそうになった。
俺に向けられている目は暖かく、優しさに溢れていた。
アーノルドは絶対に俺を傷付けないということが、目を見ているだけで分かった。
「意識が戻らなかったからね、ここまで運んだんだよ。今日はたくさん動いて疲れただろう、少し休むといい。」
アーノルドは俺の眉間に貼ってあるテープをゆっくりと剥がし、傷が無いことを確認すると安心したように微笑んだ。
「また明日、同じ公園で特訓だ。今日と同じ時間でいいね?」
「い、嫌だ!」
「なんだ、もう音を上げるのか?まだ一日目じゃないか。大丈夫シュナウザー、君は本当は強いんだ。少し特訓すればすぐに強くなる。」
「そう言うなら〝特訓〟をしてくれよ!あれじゃあただの殺人未遂だろ!死にかけたんだぞ!」
「何を言う、シュナウザー。君を死なせたりは」
「死にかけたんだよ!俺は!お前の弟に!殺されかけた!」
半泣きになりながら叫ぶ俺をアーノルドは悲しそうな目で見た。
「…すまない…弟は少し無茶をするところがあって…レオの姿になっていても、本当に中身は僕なんだよ。だけど完全には制御できないところがあってね…怖い思いをさせて申し訳ない。謝るよ。」
「…明日からはアーノルドが特訓してくれよ。俺にはレオが殺人鬼にしか見えないんだよ。」
アーノルドは困ったような素振り見せ、うーんと唸った。
「実を言うと僕はシュナウザーより弱いんだ。体力もない。君に特訓なんて、僕には無理なんだよ。恥ずかしい話だが、僕よりも弟の方が断然に強い。だからレオの姿で公園に行ったんだけど…すまない、他の対策を考えるよ。」
そう言いベッドから立ち上がり、部屋から出ていこうとするアーノルド。
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