PITTO

ナツメユウマ

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出会い

最悪な高校生活

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高校生活は最悪だった。

俺が人一倍努力して入学した高校は、
下から数えた方が早いほどに偏差値が低かった。

授業中にきちんと席に座っている人数の方が
圧倒的に少なく、それを注意する先生もいなかった。


俺はいじめられた。


きっかけなんて無かった。
気付けば校内で最も目立っている男グループのパシリになっていて、彼らの気まぐれで殴られたりもした。

中学の時も友達がいなかったので、
一人でいる事には慣れていた。

しかし人に暴力をふるわれた経験は無かったので
最初に頬を拳で殴られた時は涙が出た。


「お前の顔見てると腹立つんだよ。
   その反抗的な目が許せねぇ。」


主犯格の稲葉は、いつも俺の目が
気に食わないと言い俺を殴った。

俺からしてみれば、稲葉の俺に対する目つきの方が気に食わなかった。

悪意とは何処か違う、気味の悪い雰囲気をいつも稲葉から感じていた。


そんな最悪な高校生活の中でも、癒しはあった。


「やだウケる、またボコられたの?可哀想な古田土。」


斎藤かなえの大きい黒目が俺に向けられる度に、自分の心拍数が上がるのが分かった。


「なんでやり返さないの?
   ムカつかないの?弱虫だねー。」


斎藤は誰かによって態度を変えるということをしなかった。誰にでも、同級生だろうか先生だろうが、その時に自分が思った事を言う。

黒目がちの大きい丸い目や、スリムな身体に不釣り合いな程の大きい胸なども斎藤の魅力であったが、自分をさらけ出し誰とも隔てなく接する態度は、俺の目にはとても格好良く写った。


「別にいい。やり返すとか、幼稚なことしたくない。」


斎藤に話しかけられて内心とても嬉しかったが、喜んでいるとバレたくなくて出来る限り素っ気なく言った。


「嫌な事ちゃんと嫌だって言えない方が幼稚だよ?
   古田土はね、自分の思ってることを
   言葉に出来ない子供と一緒だよ。
   稲葉達も古田土も、だっさいよね、ほんと。」


意味も無く殴ってくる連中と俺を一緒にされたのはかなりショックだった。

俺は被害者で、稲葉達は加害者だ。

しかし、斎藤の目にはどちらも一緒くらい愚かに見えていると言うのだ。

俺はそれ以上ショックで、何も言い返せなかった。

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