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脱出

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「シ、ショウくん!」

 アンさんが大きな胸を揺らしながら俺に急いで近づいてくる。ああ。疲れた体にはちょうどいい。眼福、だなぁ。
 俺はアンさんが近くにまで来たあたりで異能空間を使った反動か体から力が抜けてアンさんの体に倒れ込む。

「シ、ショウ、くん!」
「だ、大丈夫、だ。ただ、少し、休ませて、くれ」
「わ、わかった。き、急に2人、が、き、消えて、な、何が起きたか、わ、わからなかった、け、けど、シ、ショウ、くん。わ、私をま、守って、く、くれて、ありがとう」
「おやすい、ごよう、さ」

 俺はそのまま意識を失った。
 何分、何十分経ったかわからない頃、俺は意識を取り戻すと目の前には黒い大きな桃があった。

「あ、シ、ショウくん。お、おはよう」
「お、おはよう。アンさん。こ、これはもしかして」
「う、うん。ひ、膝枕。わ、私な、何もできて、な、ないから、す、少しくらいは、や、役に、た、たちたくて。ど、どうでしょうか?」

 アンさんが不安そうに俺に聞く。どうでしょうかだって?最高としか言えないんだが?女の子らしいいい匂いがするしそれにアンさんの膝の感触もとても柔らかくてまだまだ寝ていたくなるくらいだ。
 でもそろそろこの店から出ないと。多分俺が寝ている間にアスカルトのやつは脱出しただろうからな。俺は周囲を見渡すとコンジキの姿は見えなかった。

「アンさん。コンジキはどこへ?」
「シ、ショウくん、が、た、倒した人、な、なら、ふ、ふらふら立ち上が、がって、わ、私達が、き、きたい、入り口のほう、に、あ、歩いて言ったよ」

 アンさんは俺に言うと俺は

「じゃアンさん。俺たちも早いとこ脱出するか。キリさんとモルクも心配だからな」

 俺はアンさんに言うと俺はアンさんと店の出口を目指して歩いた。
 フクシュウと書かれた店からは数分まっすぐ歩いただけで出ることができた。あれ?さっきの広間とかはどこへ?
 俺とアンさんがでたと同時に建物は崩れる。

「な!そ、そんな!モルク!キリさん!」
「安心しな。2人ならここにいる」

 俺が2人の名を叫んだ後に後ろを見るとそこにはゴーグがいて、ゴーグの指差した方を見るとキリさんとモルクが倒れていた。

「キリさん!モルク!」
「安心しろ。気絶してるだけだ。ショウ。お前さんのとこに行く道中で2人はアスカルトと戦ってな。完全にアスカルトに負けてそのまま気絶したっきりだからな」

 ゴーグは2人が倒れている状況のことを俺に説明した。
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