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モルクの入学理由

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「私の家、イルス家は名門貴族でアクロバート街では有名な家なんですの。父様が優秀で私の上に2人兄がいるのですがその兄2人もいい職についていて私を過保護に育てたんですの。私は小中はアクロバート街にある女子校に通っていましたの。そこそこのですけど。理由は私をあまり目立たなくするためらしいですわ父様いわく」

 目立たなくする?アクロバート街でイルス家の名がすごいならそこそこの女子校にいっても騒がれるだけだと思うんだが。

「理由ですけれどまずそこそこなら成績が酷くても良いこと。父様は私がなんでもできるとお思いですが、イルス家は有名、そして兄の2人も有名となれば私も必然的に兄のようにふるまうとおもわれる。父様は私が兄達のようにできなかった場合のためにそこそこの女子校に入れてあえて私が酷い成績だとしてもこんな学校に来てるから当たり前ですよねと思わせたんですわ」

 それは本当になんでもできると思っているのか?モルクのことを。信頼してなくね?モルクの父さん。

「そして中学校を卒業した後に聞いてしまったのです。父様は私を家に監禁して家庭教師を部屋につかわせて高校には行かせず私を嫁に出すまでは家に監禁しようとしたのですわ!もちろん私は嫌だと言いましたわ!私は父様の人形じゃありませんから。ですが父様は私の肩を掴んで、これはお前のためでもある。外は怖いものだらけだ。だから家にいなさいと。来るべき時が来るまでは父さんに従いなさいと。私は猛反対しましたわ。しかし父様もおれなかったので私は決意したのですわ。この学園で私が優秀な成績をおさめていい職業について父様や兄達を見返してやろうと」

 なるほど確かに過保護すぎるな。まさかの中学卒業してから監禁とは。どんだけ娘のこと好きなんだよモルクの父さんは。ヤバすぎだろ。

「私は秘密裏にこの学園の試験を受けて合格し、秘密裏に家から脱出して今ここにいる感じですわ。ちなみに私学費はもう前払いで三年生の分まで払っていますの。おかげでもやし生活なんですけれどね」

 もやしの袋を握りながらモルクは言う。いやまずその前にそのもやしはどこで買ってきたんだ。

「もやしくらいなら外の購買に売っていますわよ。小さいですけど。1年の購買を使ってる人は余程の貧乏な人か昼ごはんを安く済ませている人くらいですわよ」

 そ、そうだったのか。明日からは外の購買で買おうかな。

「ちなみに外の購買は修羅場ですから行くのはおすすめしませんわね」

 モルクが言うと俺はゆっくり地面に両手を押しつけていた。痺れてるからゆっくりしかできないんだよ!
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