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地龍の祠の奥へ

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「あ、の、人間、くそ。こんな、弟、の、仇も、とれず、に」

 遠くから意識を失いそうなキスキル?っぽい声が聞こえる。

「なぁ地龍さん。戦うのはいいけどこの祠の奥から微かに命の反応を感じないか?」
「命の反応?何を言って・・・。たしかにラガーオークが1人この祠にいるな。死にかけておる。少し待っておれ」

 地龍は祠の奥に潜るとキスキルの体を見つけてきて俺たちの前におく。ちなみにアースラの体は顔と腕しか見えず体は祠で丸まっているのかうまい感じにハマっているようだ。

「さて。それでは先程の続きを」
「待て。まずはキスキルの治療からだ」

 キスキルの体は全身に噛まれた痕があって後打撲がすごい腹の傷だけ深くてこのままでは死んでしまう!

「兄様!キスキルのことは私に任せて!」

 ミワはキスキルの近くによると回復呪文を唱える。ミワは3日間魔法の修行で回復魔法を極めていた。その成果として死にかけのものでも傷を残さず体力も回復させるすごい魔法。パーフェクト・ヒールが使えるようになっていた。

「う、うーむ。わ、私はあの魔獣に食われそうになって・・・」

 キスキルは目を覚ました後にぼやくと目の前の地龍を見て驚く。

「ち、地龍アースラ様とお見受けします!」
「いかにも。お主ラガーオークの集落にいた者か?」
「そうでございます。ラガーオークのキスキルと申します。昨年私の弟がここに来られたと思うのですが」
「それに関してはすまぬ。我は結界のある水晶に囚われていて外で誰が贄となったのかわからぬ。すまぬ。この土地を守護する龍として」

 地龍アースラは頭を下げると、キスキルは

「と、とんでもございません!地龍様が関与していないとなればそれは私達ラガーオークが対処せずにいたため。ですから気にしないでください」

 キスキルは地龍に跪いて言った後に地龍は

「我が守護する大地に生きるラガーオークの1人を救ってくれたこと。感謝する。人間の女よ」
「いえ。私にできることをしただけです。それにキスキルさんには助けてもらった恩義がありますから」

 ミワが地龍に言うと地龍は

「お主ら本当に人間か?人間は我々龍族やラガーオークといった亜人にはけっした頭を下げぬのに。ラガーオークを助けてくれたからといって我は主との戦いをやめるわけではないぞ」

 地龍はおれに言うとおれは「ああ」と頷く。

「ここは狭いから祠の奥にこい。そこでなら我は存分に戦えるからな」

 祠の奥?余計狭くなるだけだと思うが?外から見ても入り口は狭い感じだしな。おれとミワキスキルは地龍の後に祠の奥に向かうとそこには空があり見渡す限りの荒野が広がっていた。
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