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対話
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「…………これが俺っちの話は終了だ」
「……………………」
俺はただただ神獣の考え方を座って聞いていただけだが、何も言葉を出すことが出来なかった。
まさか原初のテイマーの獣が神獣だったなんて思うはずもない。
俺の姓を聞いたときのあの反応も納得がいく。
「俺っちはまだ殺戮を止めるつもりはない。お前らに殺されない限りはな」
「「……………………」」
その神獣の言葉にレンと魔王は難しい表情をする。
二人は詳しくは知らないが、あまり戦争に深く関与したくないらしい。
理由はこの世界が好きだから。まるで別世界から来たとでも言いたげな言葉だったが、そこは言及しなかった。魔王が話さないということは話したくないということなのだから。
「俺っちは時限魔法も設置してる。この世界を一瞬で滅ぼすことだって可能なんだ」
「タクミ…………いや、神獣それはやり過ぎなんじゃない?」
勇者は神獣に鋭い視線を送りながら言った。
それに続くように魔王も口を開く。
「そうだ。この世界の人間はNPCじゃない。毎日必死に生きてるんだ。お前が勝手に奪っていい命じゃない」
その魔王の表情は俺にいつも見せてきた父親の表情ではなかった。
この時、本当に魔王が魔王であったと理解した気がする。
この戦争はどう見ても神獣が悪いと俺も思う。
だが、神獣の思いも分からないこともない。
「ちょっといい?」
「「…………ん?」」
このままでは話が進まないと思った俺は三人の会話に口をはさむ。
一気に集まる三人の視線に首が閉まりそうになるが、俺は一度深呼吸してから口を開いた。
「結局さ。神獣は何がしたいの?」
「全てを壊したい。殺したい。消したい」
何の躊躇もなく神獣は俺に言ってきた。
その言葉に嘘偽りは全く感じられない。本気で人類を滅ぼしたいと考えているのだろう。
「…………ねぇ。それ、俺もなんだけど」
「…………は?」
「俺も獣人なんか滅ぼしたいんだけど」
俺はズキズキと胸に刺さる痛みを我慢しながら言った。
神獣は本気で言っているのだ。なら俺も殻の中に閉じこもっていてはいけない。
「俺だって家族を滅ぼされてるんだよ。両親だって弔えないままに」
「なら分かるだろ! 俺っちの気持ちが!」
俺の暗い表情を見て神獣が懇願するように言った。
誰も理解してくれない殺戮の呪縛。全く同じ状況の人間が目の前にいたのだ。盛るのも無理はない。
だが、違う。
俺と神獣では進み方が違った。
俺は運が良かったのだ。仲間に導いてもらえたのだから。
「神獣は…………いや、お前はいつまで幼いままでいるんだ?」
「…………俺が幼い?」
家族が全員死んでいたと知った時の夜は泣いた。
憎悪の感情を吐き出すように何度も壁を殴ったりして八つ当たりした。
だけれど、俺はそこで獣人全体を嫌いになることなんてなかった。
もちろんラン君も最初は嫌いだった。俺を誘拐なんてしたのだから。
「いつまで自分の感情だけでお前は生きるんだ? いつまでだだをこねて大人にならないんだ?」
俺は神獣を煽るように言う。
この世界では今も大切な人を亡くし、悲しんでいる人もたくさんいる。
人間の命は有限であり、脆い。それが人間なのだから。
人間はその苦しみを乗り越えて大人になる。
殺されたからやり返す? そんなことすれば負の連鎖ができる。大人はそれを理解できるはずなのだ。
「ねぇ神獣さん。考えを改めようよ」
誰だって過ちはおかす。
だから俺はどれだけ憎んでいろうが、殺しだけはしない。
殺したらそこで終了なのだから。もう二度とやり直せないのだから。
「過去は変えられない…………でも、未来ならどうにでも変えれるんだよ」
俺は幼いままでいる神獣に向かって手を差し伸べたのだった。
「……………………」
俺はただただ神獣の考え方を座って聞いていただけだが、何も言葉を出すことが出来なかった。
まさか原初のテイマーの獣が神獣だったなんて思うはずもない。
俺の姓を聞いたときのあの反応も納得がいく。
「俺っちはまだ殺戮を止めるつもりはない。お前らに殺されない限りはな」
「「……………………」」
その神獣の言葉にレンと魔王は難しい表情をする。
二人は詳しくは知らないが、あまり戦争に深く関与したくないらしい。
理由はこの世界が好きだから。まるで別世界から来たとでも言いたげな言葉だったが、そこは言及しなかった。魔王が話さないということは話したくないということなのだから。
「俺っちは時限魔法も設置してる。この世界を一瞬で滅ぼすことだって可能なんだ」
「タクミ…………いや、神獣それはやり過ぎなんじゃない?」
勇者は神獣に鋭い視線を送りながら言った。
それに続くように魔王も口を開く。
「そうだ。この世界の人間はNPCじゃない。毎日必死に生きてるんだ。お前が勝手に奪っていい命じゃない」
その魔王の表情は俺にいつも見せてきた父親の表情ではなかった。
この時、本当に魔王が魔王であったと理解した気がする。
この戦争はどう見ても神獣が悪いと俺も思う。
だが、神獣の思いも分からないこともない。
「ちょっといい?」
「「…………ん?」」
このままでは話が進まないと思った俺は三人の会話に口をはさむ。
一気に集まる三人の視線に首が閉まりそうになるが、俺は一度深呼吸してから口を開いた。
「結局さ。神獣は何がしたいの?」
「全てを壊したい。殺したい。消したい」
何の躊躇もなく神獣は俺に言ってきた。
その言葉に嘘偽りは全く感じられない。本気で人類を滅ぼしたいと考えているのだろう。
「…………ねぇ。それ、俺もなんだけど」
「…………は?」
「俺も獣人なんか滅ぼしたいんだけど」
俺はズキズキと胸に刺さる痛みを我慢しながら言った。
神獣は本気で言っているのだ。なら俺も殻の中に閉じこもっていてはいけない。
「俺だって家族を滅ぼされてるんだよ。両親だって弔えないままに」
「なら分かるだろ! 俺っちの気持ちが!」
俺の暗い表情を見て神獣が懇願するように言った。
誰も理解してくれない殺戮の呪縛。全く同じ状況の人間が目の前にいたのだ。盛るのも無理はない。
だが、違う。
俺と神獣では進み方が違った。
俺は運が良かったのだ。仲間に導いてもらえたのだから。
「神獣は…………いや、お前はいつまで幼いままでいるんだ?」
「…………俺が幼い?」
家族が全員死んでいたと知った時の夜は泣いた。
憎悪の感情を吐き出すように何度も壁を殴ったりして八つ当たりした。
だけれど、俺はそこで獣人全体を嫌いになることなんてなかった。
もちろんラン君も最初は嫌いだった。俺を誘拐なんてしたのだから。
「いつまで自分の感情だけでお前は生きるんだ? いつまでだだをこねて大人にならないんだ?」
俺は神獣を煽るように言う。
この世界では今も大切な人を亡くし、悲しんでいる人もたくさんいる。
人間の命は有限であり、脆い。それが人間なのだから。
人間はその苦しみを乗り越えて大人になる。
殺されたからやり返す? そんなことすれば負の連鎖ができる。大人はそれを理解できるはずなのだ。
「ねぇ神獣さん。考えを改めようよ」
誰だって過ちはおかす。
だから俺はどれだけ憎んでいろうが、殺しだけはしない。
殺したらそこで終了なのだから。もう二度とやり直せないのだから。
「過去は変えられない…………でも、未来ならどうにでも変えれるんだよ」
俺は幼いままでいる神獣に向かって手を差し伸べたのだった。
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