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世界三柱

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「え…………ここは?」

 俺は目の前の真っ白な世界に唖然としてしまう。
 先ほどまで神獣と平原で戦っていたはずなのだが、この地形、この風土は初見であった。
 というより、ここは地形もくそもない。何もないのだ

「…………痛っ!」
「ここは俺の領域だ。流石にあれはやりすぎ」

 俺はゆっくりと後ろを振り返るとそこには世界最強の男がいた。
 ここまで実力の高い敵と戦ってきたからわかる。魔王に敵う者はそういないと。
 十三の頃にゴブくんとこの男の目の間に堂々と現れたと考えると今では寒気がしそうだ。

「あの魔法が行使されてたらこの星は半壊してたぞ。普通にやり過ぎ」

 魔王は苦笑いしながら俺に言った。
 どうやらあの魔法を俺が行使する直前に魔王が俺を連れてどこかへ転移したようだ。

「流石にあそこまでやられちゃ修正効かないからね~」
「え? レン様?」

 その魔王の隣には人間側の本陣営にいたはずの勇者レンがいた。
 確か戦争にはかかわれないと言っていたはずなのだが…………

「急に魔王に呼び出された時はまじでビビったけどまさか、『ソウタ』だったとはね」
「アレンの前でその名前は止めろよな。レン」
「まぁテレビが普及されてるのも納得がいくよ」

 まるで魔王と勇者は旧知の仲のように親し気に話している。
 魔王と勇者の双方が関係をとっていたとは聞いたことがなかったので少し驚いてしまう。

「まぁ俺たちの話はあとにしようか」
「あとか……………あったらいいな」

 そして、まるで本命に入るように真剣な表情に戻った二人は口を合わせるように言った。

「「それで…………お前はどうすんだ?」」

 その親権の眼差しには殺気が含まれている。  
 関係のない俺でも少し足がすくみそうなぐらいに。

「うっせぇんだよ! あぁ? お前らは英雄気取りして調子乗ってんのかもしれねぇがな! 俺は最初から負け組だったんだよ! その気持ちが分かんのか?」

 魔王と勇者による拘束魔法で座標に身動きできないように固定されている神獣は憤りをあらわす。
 そんな神獣を見て魔王は呆れるように言う。

「俺だって最初は魔物からスタートだ。お前と変わらんだろ。それこそ…………ペトラだっけ?」
「な!? なんでその名前を!?」

 そのペトラという言葉に神獣は過剰に反応した。
 どうやら、そのペトラという女性がこの戦争の根本的な原因のようだ。

 そのことを確信した魔王はドスっとその場に座る。
 何もない場所に座るという違和感はあるが俺も勇者と魔王と同じように座った。

「まぁ、ゆっくり話そうや。最近は言うだろ? 武力じゃなくて言論の世界だって」
「……………………分かった」

 拘束されている神獣には拒否権などない。ましてや無理矢理拘束を解いたところで勇者と魔王。二人に勝てるはずもない。
 神獣は不満ありそうにゆっくりと頷いたのだった。
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