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魔法領域
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「空間の加護のもとに、次元の狭間をここ再構築し…………」
俺は空間系統の魔法を行使するために詠唱を始める。
何故無詠唱も可能なのに詠唱を? と思ったかもしれない。
だが、流石にこの魔法を使うためには詠唱が必要なのだ。
「…………【零次元】!」
「…………ッ!」
ほんとに助かった。神獣が俺のことを舐めていてくれて。
先ほどのドラの炎地獄を塗りつぶすように一瞬で回りが宇宙空間のように真っ暗に染まる。
それはまるで【テレポート】の間接の感覚のように。
この魔法は魔王から伝授してもらった魔法に改良を加えた魔法だ。
アニメを見て面白そうだったから使ってみた。と言っていたが実にこの魔法は効率が良い。
「せやっ!」
「…………なッ!」
俺は神獣の背中に移動して後ろから蹴りを入れる。
脊髄反射のように振り返って反撃をしてくる神獣だが、俺はもうそこにいない。
「ここだよ」
「…………ぐはッ!」
俺は神獣の腕を撫でるように触れた。
すると、そこの次元がえぐれ、腕が元々なかったように錯覚に陥る。
「この領域のせいか!」
神獣は久しぶりに感じる痛覚に悶えながらも俺に向かって吠えてくる。
圧倒的な防御力? 圧倒的な硬度?
そんなもの、次元を抉ればなんの意味も持たない。
この領域では俺の権限が絶対的になる。
魔法を行使しなくても好きなところにテレポートでき、転移もできるのだ。
「【次元空間圧縮砲】【次元空間圧縮砲】【次元空間圧縮砲】!」
俺は何度も究極魔法を行使する。
その巨大な次元を圧縮した砲撃は俺から放たれているわけではない。
「…………はあああああぁぁぁ!?」
俺は【次元空間圧縮砲】と【転移】の魔法を組み合わせて神獣の目の前、四方から直撃させるように放つ。
どれだけ反応が早かろうと避ることは不可能だ。これは領域内だから成功する高等技術なのだから。
だが、
「…………危なすぎだろ」
「ちっ!」
獣化を解いたのだろう。一瞬で身長が半分ぐらいに縮む。
そのため、上半身を飛ばそうと思っていた【次元空間圧縮砲】は全て無の次元をえぐっただけだ。
「ってかこの領域…………しゃらくせぇな」
「…………は?」
パリンッ!
神獣の一殴りで俺が詠唱までして構築した領域を一瞬で破壊した。
領域を壊すなど聞いたことがない。領域はそもそも魔力が尽きるか、その上から更なる魔法で塗りつぶすしか対策方法はないはずだ。
そんな魔法を神獣は一殴りでぶち壊しやがったのだ。
領域が崩れ始め、花庭の光景がまた視界に映り始める。
「ここじゃ戦いにくいな。別の場所に行くぞ」
「…………なッ!」
神獣は俺との距離を一瞬で詰め、俺の首根っこを掴んでくる。
俺がインベントリから短剣を抜く隙も与えないように神獣は俺をさらに北に向かって投げた。
「テレポート! …………あれ?」
俺は急いで【テレポート】で状態を取り直そうとするも、何故か魔法が発動しなかった。
「テレポート! テレポート! テレポート! なんでだ?」
俺は空を一直線に飛びながら焦ったような声を出す。
魔力は流れているはずなのに、何故か魔法は行使することが出来ない。
可能性があるとすれば、先ほど神獣が俺の首を掴んだ時だ。
俺は自分の首をさする。
「なんだこれ?」
自分の首をさすると何か首輪のようなものがついていた。
この鎖は知っている。魔法封鎖の鎖だ。
まさか、あの一瞬で魔法がかけられていたとは。無詠唱にもほどがある。
「今までならこれで死亡だな…………」
今の俺は魔法が使えないただの人間だ。今もこうして時速数十キロで空へ飛ばされているが、山にでもあたれば一瞬で体が崩壊する。
幸い、視線の先には特に障害物はないが、このままでは重力に引き寄せられ地面に落下。そして死亡だ。
「本当に良かった…………」
祖父が生きていてくれなければ俺はあっさり死んでいた。何も出来ないまま世界を勝手に混乱させて死んでいた。
本当に祖父には感謝しきれない。
俺はボソッと祖父への感謝も超えて秘術を行使した。
「…………【契約憑依】」
******************
ここまでこの物語にお付き合いいただいている皆様!
本当にありがとうございます!
百話以上も投稿してるのにも関わらず、読んでくださっているなんて感謝しきれないです!
そんな中、本当に申し訳ないのですが、この一週間、テスト週間になるため、投稿頻度が減る可能性があります。
投稿日が不規則になりますが、これからも是非読んでいただけると嬉しいです!
俺は空間系統の魔法を行使するために詠唱を始める。
何故無詠唱も可能なのに詠唱を? と思ったかもしれない。
だが、流石にこの魔法を使うためには詠唱が必要なのだ。
「…………【零次元】!」
「…………ッ!」
ほんとに助かった。神獣が俺のことを舐めていてくれて。
先ほどのドラの炎地獄を塗りつぶすように一瞬で回りが宇宙空間のように真っ暗に染まる。
それはまるで【テレポート】の間接の感覚のように。
この魔法は魔王から伝授してもらった魔法に改良を加えた魔法だ。
アニメを見て面白そうだったから使ってみた。と言っていたが実にこの魔法は効率が良い。
「せやっ!」
「…………なッ!」
俺は神獣の背中に移動して後ろから蹴りを入れる。
脊髄反射のように振り返って反撃をしてくる神獣だが、俺はもうそこにいない。
「ここだよ」
「…………ぐはッ!」
俺は神獣の腕を撫でるように触れた。
すると、そこの次元がえぐれ、腕が元々なかったように錯覚に陥る。
「この領域のせいか!」
神獣は久しぶりに感じる痛覚に悶えながらも俺に向かって吠えてくる。
圧倒的な防御力? 圧倒的な硬度?
そんなもの、次元を抉ればなんの意味も持たない。
この領域では俺の権限が絶対的になる。
魔法を行使しなくても好きなところにテレポートでき、転移もできるのだ。
「【次元空間圧縮砲】【次元空間圧縮砲】【次元空間圧縮砲】!」
俺は何度も究極魔法を行使する。
その巨大な次元を圧縮した砲撃は俺から放たれているわけではない。
「…………はあああああぁぁぁ!?」
俺は【次元空間圧縮砲】と【転移】の魔法を組み合わせて神獣の目の前、四方から直撃させるように放つ。
どれだけ反応が早かろうと避ることは不可能だ。これは領域内だから成功する高等技術なのだから。
だが、
「…………危なすぎだろ」
「ちっ!」
獣化を解いたのだろう。一瞬で身長が半分ぐらいに縮む。
そのため、上半身を飛ばそうと思っていた【次元空間圧縮砲】は全て無の次元をえぐっただけだ。
「ってかこの領域…………しゃらくせぇな」
「…………は?」
パリンッ!
神獣の一殴りで俺が詠唱までして構築した領域を一瞬で破壊した。
領域を壊すなど聞いたことがない。領域はそもそも魔力が尽きるか、その上から更なる魔法で塗りつぶすしか対策方法はないはずだ。
そんな魔法を神獣は一殴りでぶち壊しやがったのだ。
領域が崩れ始め、花庭の光景がまた視界に映り始める。
「ここじゃ戦いにくいな。別の場所に行くぞ」
「…………なッ!」
神獣は俺との距離を一瞬で詰め、俺の首根っこを掴んでくる。
俺がインベントリから短剣を抜く隙も与えないように神獣は俺をさらに北に向かって投げた。
「テレポート! …………あれ?」
俺は急いで【テレポート】で状態を取り直そうとするも、何故か魔法が発動しなかった。
「テレポート! テレポート! テレポート! なんでだ?」
俺は空を一直線に飛びながら焦ったような声を出す。
魔力は流れているはずなのに、何故か魔法は行使することが出来ない。
可能性があるとすれば、先ほど神獣が俺の首を掴んだ時だ。
俺は自分の首をさする。
「なんだこれ?」
自分の首をさすると何か首輪のようなものがついていた。
この鎖は知っている。魔法封鎖の鎖だ。
まさか、あの一瞬で魔法がかけられていたとは。無詠唱にもほどがある。
「今までならこれで死亡だな…………」
今の俺は魔法が使えないただの人間だ。今もこうして時速数十キロで空へ飛ばされているが、山にでもあたれば一瞬で体が崩壊する。
幸い、視線の先には特に障害物はないが、このままでは重力に引き寄せられ地面に落下。そして死亡だ。
「本当に良かった…………」
祖父が生きていてくれなければ俺はあっさり死んでいた。何も出来ないまま世界を勝手に混乱させて死んでいた。
本当に祖父には感謝しきれない。
俺はボソッと祖父への感謝も超えて秘術を行使した。
「…………【契約憑依】」
******************
ここまでこの物語にお付き合いいただいている皆様!
本当にありがとうございます!
百話以上も投稿してるのにも関わらず、読んでくださっているなんて感謝しきれないです!
そんな中、本当に申し訳ないのですが、この一週間、テスト週間になるため、投稿頻度が減る可能性があります。
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