【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方

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世界大戦

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 レンたちと行動を共にするようになってから三か月が経った。
 そして、今日で俺がディルガイナを出てから五か月目になる。

「本当に良かったの?」
「うん。ってか普通にこれだけいれば十分だと思うぞ」

 俺とキール兄は綺麗に整列している獣人たちを見てそんな言葉を漏らした。

 この三か月で狸族以外の四大種族を全て俺の傘下に入れた。
 多くの獣人がこの日常となった非日常に嫌気がさしていたのだ。

 当然、神獣に歯向かうなんてありえないと思う獣人も何百人もいた。
 だが、そこはしょうがない。全員が賛同するなんてことありえないのだから、

 しかし、今ではそんな獣人たちも俺の配下に入っている。
 キールの案だが、俺がにこっと笑みを浮かべて手を差し伸べたら皆、畏まって協力してくれることになったのだ。

「それにしても五十人か………」
「なんか迫力あるよね………」

 本当は八万人の獣人が俺の配下に入っている。
 しかし、敵は神獣とその幹部たちだけだ。
 できるだけ被害を出さないために、各種族から精鋭を募りって準魔王級だけ参加させることにした。

 ドラたちは呼ばなかった。
 これは俺一人で始めた旅でもあるのだから、魔族の手をあまり借りたくないというのが第一の理由だ。

 一応ここで改めて説明しておこう。
 準魔王級など世界に数人しかいない精鋭たちのはずなのだ。
 一人でもいれば世界の大半を得れれると言われているのだから。

 そんな準魔王級を俺の権限で五十人に増やしました!
 はい。説明終了です。どれだけ異常な光景かお分かりいただけたと思います。

「それでも少し不安だね」

 今回の作戦には勇者のレンも魔王も参戦してくれない。

 この世界の均衡は三人の魔王級によって保たれている。俺はそう思っていた。
 しかし、実際は違った。
 三人とも魔王級なんかじゃない。魔神級だったのだ。

 その階級は魔王級までの実力とは世界が違う。
 もしかしたら…………と思うとこの人数でも不安は募るばかりである。

「まぁ自信もとう。これが終われば一段落も着く」
「兄ちゃんはシャルさんとラブラブしたいだけでしょ」
「なッ! そ、そ、そんなことない!」

 俺がジト目で言い返すと、図星だったのか兄はあたふたと動揺する。
 シャルロッテが死んだかもしれないと言われていた時は死んだ魚の目をしていたのに、生きている聞くと、すぐに活性化した。
 本当に兄にとってシャルロッテは大事な人なのだろう。
 少し弟の俺も焼きもちを焼いてしまいそうになる。

「じゃあ始めよう」
「そうだな」

 俺は【念話リークス】の魔法を使って五十人の精鋭たちに呼びかける。

『じゃあ今から作戦通り行動しようと思う。最終目標は神獣の拘束、無理だったら殺害でも構わない』

 俺の魔法の言葉に並んでいる獣人たちは深く頷く。
 その様子を見て俺はまた口を開いた。

『これは俺からのお願いだ…………絶対に死なないでくれ。どれだけ敵が弱かろうと集中し続けてほしい。結局最後に笑ってる奴が勝ちなんだ。笑えないなんてことには絶対にならないでほしい』

 どれだけ嫌いな人であろうと好きな人であろうと死は後味が悪い。
 これは俺が一番身に染みていることだ。今だってあまり気持ちの整理はつけることができていない。

『時間だ…………各自作戦通りよろしく。健闘を祈る』

 俺はそう言い残して【念話リークス】を遮断した。
 ちなみにこのセリフアニメから覚えただろ。みたいな言葉も幾つかあるが、それは事実なのでツッコまないでほしい。

「「「おおおおおおおぉぉぉぉ!」」」

 獣人たちは雄たけびをあげながらここから北にある獣人本部へと向かった。
 俺たちもぞろぞろとその後ろをついていく。できるだけ体力を温存しておきたいので最初の戦闘は前列の人に任せることにしたのだ。

 こうして、歴史に残る世界大戦の最終局面が動き出したのだった。
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