113 / 142
世界大戦
しおりを挟む
レンたちと行動を共にするようになってから三か月が経った。
そして、今日で俺がディルガイナを出てから五か月目になる。
「本当に良かったの?」
「うん。ってか普通にこれだけいれば十分だと思うぞ」
俺とキール兄は綺麗に整列している獣人たちを見てそんな言葉を漏らした。
この三か月で狸族以外の四大種族を全て俺の傘下に入れた。
多くの獣人がこの日常となった非日常に嫌気がさしていたのだ。
当然、神獣に歯向かうなんてありえないと思う獣人も何百人もいた。
だが、そこはしょうがない。全員が賛同するなんてことありえないのだから、
しかし、今ではそんな獣人たちも俺の配下に入っている。
キールの案だが、俺がにこっと笑みを浮かべて手を差し伸べたら皆、畏まって協力してくれることになったのだ。
「それにしても五十人か………」
「なんか迫力あるよね………」
本当は八万人の獣人が俺の配下に入っている。
しかし、敵は神獣とその幹部たちだけだ。
できるだけ被害を出さないために、各種族から精鋭を募りって準魔王級だけ参加させることにした。
ドラたちは呼ばなかった。
これは俺一人で始めた旅でもあるのだから、魔族の手をあまり借りたくないというのが第一の理由だ。
一応ここで改めて説明しておこう。
準魔王級など世界に数人しかいない精鋭たちのはずなのだ。
一人でもいれば世界の大半を得れれると言われているのだから。
そんな準魔王級を俺の権限で五十人に増やしました!
はい。説明終了です。どれだけ異常な光景かお分かりいただけたと思います。
「それでも少し不安だね」
今回の作戦には勇者のレンも魔王も参戦してくれない。
この世界の均衡は三人の魔王級によって保たれている。俺はそう思っていた。
しかし、実際は違った。
三人とも魔王級なんかじゃない。魔神級だったのだ。
その階級は魔王級までの実力とは世界が違う。
もしかしたら…………と思うとこの人数でも不安は募るばかりである。
「まぁ自信もとう。これが終われば一段落も着く」
「兄ちゃんはシャルさんとラブラブしたいだけでしょ」
「なッ! そ、そ、そんなことない!」
俺がジト目で言い返すと、図星だったのか兄はあたふたと動揺する。
シャルロッテが死んだかもしれないと言われていた時は死んだ魚の目をしていたのに、生きている聞くと、すぐに活性化した。
本当に兄にとってシャルロッテは大事な人なのだろう。
少し弟の俺も焼きもちを焼いてしまいそうになる。
「じゃあ始めよう」
「そうだな」
俺は【念話】の魔法を使って五十人の精鋭たちに呼びかける。
『じゃあ今から作戦通り行動しようと思う。最終目標は神獣の拘束、無理だったら殺害でも構わない』
俺の魔法の言葉に並んでいる獣人たちは深く頷く。
その様子を見て俺はまた口を開いた。
『これは俺からのお願いだ…………絶対に死なないでくれ。どれだけ敵が弱かろうと集中し続けてほしい。結局最後に笑ってる奴が勝ちなんだ。笑えないなんてことには絶対にならないでほしい』
どれだけ嫌いな人であろうと好きな人であろうと死は後味が悪い。
これは俺が一番身に染みていることだ。今だってあまり気持ちの整理はつけることができていない。
『時間だ…………各自作戦通りよろしく。健闘を祈る』
俺はそう言い残して【念話】を遮断した。
ちなみにこのセリフアニメから覚えただろ。みたいな言葉も幾つかあるが、それは事実なのでツッコまないでほしい。
「「「おおおおおおおぉぉぉぉ!」」」
獣人たちは雄たけびをあげながらここから北にある獣人本部へと向かった。
俺たちもぞろぞろとその後ろをついていく。できるだけ体力を温存しておきたいので最初の戦闘は前列の人に任せることにしたのだ。
こうして、歴史に残る世界大戦の最終局面が動き出したのだった。
そして、今日で俺がディルガイナを出てから五か月目になる。
「本当に良かったの?」
「うん。ってか普通にこれだけいれば十分だと思うぞ」
俺とキール兄は綺麗に整列している獣人たちを見てそんな言葉を漏らした。
この三か月で狸族以外の四大種族を全て俺の傘下に入れた。
多くの獣人がこの日常となった非日常に嫌気がさしていたのだ。
当然、神獣に歯向かうなんてありえないと思う獣人も何百人もいた。
だが、そこはしょうがない。全員が賛同するなんてことありえないのだから、
しかし、今ではそんな獣人たちも俺の配下に入っている。
キールの案だが、俺がにこっと笑みを浮かべて手を差し伸べたら皆、畏まって協力してくれることになったのだ。
「それにしても五十人か………」
「なんか迫力あるよね………」
本当は八万人の獣人が俺の配下に入っている。
しかし、敵は神獣とその幹部たちだけだ。
できるだけ被害を出さないために、各種族から精鋭を募りって準魔王級だけ参加させることにした。
ドラたちは呼ばなかった。
これは俺一人で始めた旅でもあるのだから、魔族の手をあまり借りたくないというのが第一の理由だ。
一応ここで改めて説明しておこう。
準魔王級など世界に数人しかいない精鋭たちのはずなのだ。
一人でもいれば世界の大半を得れれると言われているのだから。
そんな準魔王級を俺の権限で五十人に増やしました!
はい。説明終了です。どれだけ異常な光景かお分かりいただけたと思います。
「それでも少し不安だね」
今回の作戦には勇者のレンも魔王も参戦してくれない。
この世界の均衡は三人の魔王級によって保たれている。俺はそう思っていた。
しかし、実際は違った。
三人とも魔王級なんかじゃない。魔神級だったのだ。
その階級は魔王級までの実力とは世界が違う。
もしかしたら…………と思うとこの人数でも不安は募るばかりである。
「まぁ自信もとう。これが終われば一段落も着く」
「兄ちゃんはシャルさんとラブラブしたいだけでしょ」
「なッ! そ、そ、そんなことない!」
俺がジト目で言い返すと、図星だったのか兄はあたふたと動揺する。
シャルロッテが死んだかもしれないと言われていた時は死んだ魚の目をしていたのに、生きている聞くと、すぐに活性化した。
本当に兄にとってシャルロッテは大事な人なのだろう。
少し弟の俺も焼きもちを焼いてしまいそうになる。
「じゃあ始めよう」
「そうだな」
俺は【念話】の魔法を使って五十人の精鋭たちに呼びかける。
『じゃあ今から作戦通り行動しようと思う。最終目標は神獣の拘束、無理だったら殺害でも構わない』
俺の魔法の言葉に並んでいる獣人たちは深く頷く。
その様子を見て俺はまた口を開いた。
『これは俺からのお願いだ…………絶対に死なないでくれ。どれだけ敵が弱かろうと集中し続けてほしい。結局最後に笑ってる奴が勝ちなんだ。笑えないなんてことには絶対にならないでほしい』
どれだけ嫌いな人であろうと好きな人であろうと死は後味が悪い。
これは俺が一番身に染みていることだ。今だってあまり気持ちの整理はつけることができていない。
『時間だ…………各自作戦通りよろしく。健闘を祈る』
俺はそう言い残して【念話】を遮断した。
ちなみにこのセリフアニメから覚えただろ。みたいな言葉も幾つかあるが、それは事実なのでツッコまないでほしい。
「「「おおおおおおおぉぉぉぉ!」」」
獣人たちは雄たけびをあげながらここから北にある獣人本部へと向かった。
俺たちもぞろぞろとその後ろをついていく。できるだけ体力を温存しておきたいので最初の戦闘は前列の人に任せることにしたのだ。
こうして、歴史に残る世界大戦の最終局面が動き出したのだった。
11
お気に入りに追加
2,426
あなたにおすすめの小説
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する
こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」
そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。
だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。
「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」
窮地に追い込まれたフォーレスト。
だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。
こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。
これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる