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話し合い
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「まぁそんな感じだね。あの戦いは勝手にこの人が勘違いしてふっかけてきただけだから」
「…………………」
勇者が話す事実は実に残酷だった。
勇者パーティーは俺と同じように戦争を終結させるために秘密裏に行動していたらしい。
このままでは人間が滅ぶ可能性が高いからだ。
そのため、勇者パーティーは近辺の獣人の里をまわることにしたらしい。
しかし、少し行動するのが遅かった。
勇者パーティーが狐族の里に辿り着いた時には、
「…………ああああぁぁ!」
会議室の隣では父親であったはずの亡骸にランドロフは縋り付きながら泣いている。
その叫び声が聞こえる度に俺たちの心は締めつけられるのだ。
今の会議室には俺とリーシャ、リールとテール、勇者パーティーの五人、それと狐族の代表者二名がいる。
その狐族の代表者の一人が苛立ちを露にするように言った。
「くそッ! なんで……なんであんなクソみたいなやつらを許さなきゃならないんだよ!」
「貴様ら! 口を慎め!」
「ですが…………」
その男は上司らしき男性に叱責されて少し不満があるような表情をするものの席に座る。
狸族の里を襲撃した次男率いるテイマー一族とその一派は狐族にも襲撃した。
たが、狐族は俺と契約したため、全て階級が一段階上がっているのだ。
そこらの人間など赤子に過ぎない。一瞬で冥土へ送ることが出来るだろう。
だが、タイミングが悪かった。
「ごめん。俺のせいだ…………」
「いえ、アレン様に非はありません」
俺が狐族の二人に向かって頭を下げる。
しかし、男性は先程とは違って少し優しげな声で俺の頭を上げさせた。
上司の男性もその意見に賛成するように首を縦に振る。
ランドロフの父はもしかしたら話し合いで解決できるのではないかと、俺の兄であるリンクと話をしようとしたらしい。
しかし、リンクはのこのことやってきたランドロフの父の首を一閃した。
「あのクソバカが…………」
キールは机をドンと叩く。
今回は獣も人間も狐族の相手にならなかったため、一人以外を拘束して牢屋に閉じ込めてある。
よく憎しみに駆られて殺さなかったものだ。俺と契約した影響がやはり大きいのだろう。
「やっぱりさー。俺の予想当たってんじゃね? そういうのアニメとかのあるあるだし」
レンはだらぁっとしながら言った。
レンの予想はリンクが神獣側に寝返っているという話だ。
なら何故獣人を狙ったのか。
それは、負の連鎖を産むためだ。
親の仇、汚名を着せられた復讐など、その他諸々の負の感情を引き出すためである。
そのためであれば、仲間を少し失ったところで問題はないと考えているのだろう。
「リンクには絶対に後ろ盾がいる」
キールがそれは確定しているという風に言った。
ちなみに、一人だけ拘束できていないというのはリンクのことだ。
「そいつさえ捕まえてれば」
男性の獣人は憎悪で溢れた表情で口にする。
リンクは【テレポート】でこの戦場を脱出したらしい。
キール曰く、リンクには圧倒的に魔法の才がなかった。その分、剣術に優れていたようだが。
そのため、キールが空間魔法系統の最上級である【テレポート】が使えるはずがないのだ。
そもそも、人類でも数人しか使えない魔法でもあるのだから。
レンはこんな状況に唸りながら言う。
「んー。アニメだったらさっさと敵を絶滅させてやればOKなんだけどな~」
「そんなアニメ後味悪すぎでしょ」
俺はそんなレンの言葉にツッコミを入れる。別に特に意味はない。まぁ脊髄反射というやつだ。
すると、レンは唖然とした表情を俺に向けてきた。
そして、まるで俺を見定めるかのようにレンは聞いてくる。
「ん…………ゼロセガの主人公は?」
「……え? レイ・ロランド」
俺は唐突の質問に戸惑いながらも答えた。
ゼロセカは魔王に勧められて見たアニメだ。
あまりキャラの名前を覚えれない俺だが、このアニメだけは強く記憶に刻まれるほど面白かったのを覚えている。
『ねぇ。今日の夜、この里の外で少し顔を貸してよ』
『…………分かった』
急にレンからかけられた【念話】に少しドキリとするものの皆にはバレないように返事をした。
バレたくないから【念話】にしたのだろうから。
「これからのことについては明日話そうと思う。各自、明日までに自分の気持ちに整理をつけておいてね」
レイは相殺後に言い残して足早に会議室を出た。
こうして呆気なく話し合いは終了したのだった。
「…………………」
勇者が話す事実は実に残酷だった。
勇者パーティーは俺と同じように戦争を終結させるために秘密裏に行動していたらしい。
このままでは人間が滅ぶ可能性が高いからだ。
そのため、勇者パーティーは近辺の獣人の里をまわることにしたらしい。
しかし、少し行動するのが遅かった。
勇者パーティーが狐族の里に辿り着いた時には、
「…………ああああぁぁ!」
会議室の隣では父親であったはずの亡骸にランドロフは縋り付きながら泣いている。
その叫び声が聞こえる度に俺たちの心は締めつけられるのだ。
今の会議室には俺とリーシャ、リールとテール、勇者パーティーの五人、それと狐族の代表者二名がいる。
その狐族の代表者の一人が苛立ちを露にするように言った。
「くそッ! なんで……なんであんなクソみたいなやつらを許さなきゃならないんだよ!」
「貴様ら! 口を慎め!」
「ですが…………」
その男は上司らしき男性に叱責されて少し不満があるような表情をするものの席に座る。
狸族の里を襲撃した次男率いるテイマー一族とその一派は狐族にも襲撃した。
たが、狐族は俺と契約したため、全て階級が一段階上がっているのだ。
そこらの人間など赤子に過ぎない。一瞬で冥土へ送ることが出来るだろう。
だが、タイミングが悪かった。
「ごめん。俺のせいだ…………」
「いえ、アレン様に非はありません」
俺が狐族の二人に向かって頭を下げる。
しかし、男性は先程とは違って少し優しげな声で俺の頭を上げさせた。
上司の男性もその意見に賛成するように首を縦に振る。
ランドロフの父はもしかしたら話し合いで解決できるのではないかと、俺の兄であるリンクと話をしようとしたらしい。
しかし、リンクはのこのことやってきたランドロフの父の首を一閃した。
「あのクソバカが…………」
キールは机をドンと叩く。
今回は獣も人間も狐族の相手にならなかったため、一人以外を拘束して牢屋に閉じ込めてある。
よく憎しみに駆られて殺さなかったものだ。俺と契約した影響がやはり大きいのだろう。
「やっぱりさー。俺の予想当たってんじゃね? そういうのアニメとかのあるあるだし」
レンはだらぁっとしながら言った。
レンの予想はリンクが神獣側に寝返っているという話だ。
なら何故獣人を狙ったのか。
それは、負の連鎖を産むためだ。
親の仇、汚名を着せられた復讐など、その他諸々の負の感情を引き出すためである。
そのためであれば、仲間を少し失ったところで問題はないと考えているのだろう。
「リンクには絶対に後ろ盾がいる」
キールがそれは確定しているという風に言った。
ちなみに、一人だけ拘束できていないというのはリンクのことだ。
「そいつさえ捕まえてれば」
男性の獣人は憎悪で溢れた表情で口にする。
リンクは【テレポート】でこの戦場を脱出したらしい。
キール曰く、リンクには圧倒的に魔法の才がなかった。その分、剣術に優れていたようだが。
そのため、キールが空間魔法系統の最上級である【テレポート】が使えるはずがないのだ。
そもそも、人類でも数人しか使えない魔法でもあるのだから。
レンはこんな状況に唸りながら言う。
「んー。アニメだったらさっさと敵を絶滅させてやればOKなんだけどな~」
「そんなアニメ後味悪すぎでしょ」
俺はそんなレンの言葉にツッコミを入れる。別に特に意味はない。まぁ脊髄反射というやつだ。
すると、レンは唖然とした表情を俺に向けてきた。
そして、まるで俺を見定めるかのようにレンは聞いてくる。
「ん…………ゼロセガの主人公は?」
「……え? レイ・ロランド」
俺は唐突の質問に戸惑いながらも答えた。
ゼロセカは魔王に勧められて見たアニメだ。
あまりキャラの名前を覚えれない俺だが、このアニメだけは強く記憶に刻まれるほど面白かったのを覚えている。
『ねぇ。今日の夜、この里の外で少し顔を貸してよ』
『…………分かった』
急にレンからかけられた【念話】に少しドキリとするものの皆にはバレないように返事をした。
バレたくないから【念話】にしたのだろうから。
「これからのことについては明日話そうと思う。各自、明日までに自分の気持ちに整理をつけておいてね」
レイは相殺後に言い残して足早に会議室を出た。
こうして呆気なく話し合いは終了したのだった。
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