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「ってことで俺たち…………つ、つ、付き合うことになりました!」
俺はたどたどしくなりながらもランドロフとテールとリールにそのことを伝えた。
隣では頬をリンゴのように紅潮させたリーシャがもじもじしている。
そんな俺たちの反応にランドロフは動揺しながらジト目で言った。
「良かったね。べ、別にうらやましくなんて思っていないよ?」
「「これからもアレをしてくれるのか? です」
そして、幼女二人も少し照れながら聞いてくる。
聞きようによっては少し勘違いしてしまいそうな言葉だ。しかし、リーシャは特に反応はしていなかった。
どうやら自分自身に呆れているようだ。
「私…………こんな愛も知らないような子たちを恐れてたなんてぇ。恥ずかしいわぁ」
リーシャはこの二人をライバルだと思っていたらしい。
流石の俺でも好きという言葉の違いくらい使い分けれるので安心してほしい。
俺はテールとリールに身長を合わせるようにしゃがんで答えた。
「もちろんだよ! もっとおいしいのを今度作ってあげるからね!」
「「やったー! です!」」
二人は喜びを表現するようにその場で手を握りあって喜んでいる。
何百年でも見続けれるような可愛らしい行動だ。
「それで…………次はどうするのぉ?」
リーシャはこれから一緒に行動することにした。
できるだけリーシャに危険を近づけたくないが、それはリーシャも俺に対して思っているようで、無理矢理ついてきたのだ。
まぁリーシャも準魔王級。ランドロフと同じ実力があるため、そこらの獣人には負けはしないだろう。
「まずは狸族の協力を仰がないとね」
俺は視線の遠く先にある霧がかかったようにぼやけた集落を見ながら言った。
四大種族のうちの狸族と弧族を手中に収めれば残りの二種族も仲間になるようなものだ。
ということでまずは狸族を説得しに行かなければならない。
ランドロフは俺と同じようにその狸族の集落へと視線を向けながら言う。
「今、人族を襲っているのはおおよそ狸族の配下の雑種たちだ。狸族は僕たちに対抗しようと自分たちで管理しきれないほど配下を抱えた。これがその結果なんだ」
ランドロフたち、狐族は本当に一人も戦争には加担していなかった。
だから、すぐに俺を受け入れてくれた。というのもあるだろう。
しかし、狸族は別だ。全く人間のことなど考えてもいない。それこそ俺たちテイマーが特に仲間にしたいと思っただけで強制契約をするように、人間も知能の高い猿のような認識なため、傷つけても何も思わないらしい。
なかには、殺そうが特に何も感じない獣人たちもいるらしい。そもそもの人間の認識を改めなければ無理なのだ。
「じゃあ行こうか。まぁ俺が話して無理なら、もしかしたら…………一応、戦闘態勢はすぐに出来るように」
そのランドロフの言葉に善意の表情が一瞬でピリッと真剣になる。
そうだ。狐族は特別に甘かったのだ。別の種族はそう簡単にはいかないはずである。
「…………うん! 俺も気合い入れて頑張るよ!」
「「私たちも頑張るぞ! です!」」
「私も私の持てる力はお貸ししますよぉ?」
俺のその張り切った掛け声に乗るように女性陣の三人も声を出した。
こうして、俺たちは狸族の里めがけて再出発したのだった。
この時の俺は思い込んでいた。敵は獣人だけだと。
しかし俺は知らなかった。いや、気づこうとしていなかった。
パリンッ!
「……………ん?」
「どうしたんだ?」
「いや、なんか変な音が聞こえたような気がして…………まぁ大丈夫かな? うん。なんでもない」
敵は他にもいたということに。
*********************************
今作も第一回ファンタジーカップに参加することにしました!
毎日更新は高校生活に慣れるまで難しいかもしれませんが、できたら三日に一度は更新出来たらなと思います!
こんな百話過ぎでまでお付き合いしてくださってくれる読者様に言うのもなんですが、是非、これからもお付き合いいただけると嬉しいです!
俺はたどたどしくなりながらもランドロフとテールとリールにそのことを伝えた。
隣では頬をリンゴのように紅潮させたリーシャがもじもじしている。
そんな俺たちの反応にランドロフは動揺しながらジト目で言った。
「良かったね。べ、別にうらやましくなんて思っていないよ?」
「「これからもアレをしてくれるのか? です」
そして、幼女二人も少し照れながら聞いてくる。
聞きようによっては少し勘違いしてしまいそうな言葉だ。しかし、リーシャは特に反応はしていなかった。
どうやら自分自身に呆れているようだ。
「私…………こんな愛も知らないような子たちを恐れてたなんてぇ。恥ずかしいわぁ」
リーシャはこの二人をライバルだと思っていたらしい。
流石の俺でも好きという言葉の違いくらい使い分けれるので安心してほしい。
俺はテールとリールに身長を合わせるようにしゃがんで答えた。
「もちろんだよ! もっとおいしいのを今度作ってあげるからね!」
「「やったー! です!」」
二人は喜びを表現するようにその場で手を握りあって喜んでいる。
何百年でも見続けれるような可愛らしい行動だ。
「それで…………次はどうするのぉ?」
リーシャはこれから一緒に行動することにした。
できるだけリーシャに危険を近づけたくないが、それはリーシャも俺に対して思っているようで、無理矢理ついてきたのだ。
まぁリーシャも準魔王級。ランドロフと同じ実力があるため、そこらの獣人には負けはしないだろう。
「まずは狸族の協力を仰がないとね」
俺は視線の遠く先にある霧がかかったようにぼやけた集落を見ながら言った。
四大種族のうちの狸族と弧族を手中に収めれば残りの二種族も仲間になるようなものだ。
ということでまずは狸族を説得しに行かなければならない。
ランドロフは俺と同じようにその狸族の集落へと視線を向けながら言う。
「今、人族を襲っているのはおおよそ狸族の配下の雑種たちだ。狸族は僕たちに対抗しようと自分たちで管理しきれないほど配下を抱えた。これがその結果なんだ」
ランドロフたち、狐族は本当に一人も戦争には加担していなかった。
だから、すぐに俺を受け入れてくれた。というのもあるだろう。
しかし、狸族は別だ。全く人間のことなど考えてもいない。それこそ俺たちテイマーが特に仲間にしたいと思っただけで強制契約をするように、人間も知能の高い猿のような認識なため、傷つけても何も思わないらしい。
なかには、殺そうが特に何も感じない獣人たちもいるらしい。そもそもの人間の認識を改めなければ無理なのだ。
「じゃあ行こうか。まぁ俺が話して無理なら、もしかしたら…………一応、戦闘態勢はすぐに出来るように」
そのランドロフの言葉に善意の表情が一瞬でピリッと真剣になる。
そうだ。狐族は特別に甘かったのだ。別の種族はそう簡単にはいかないはずである。
「…………うん! 俺も気合い入れて頑張るよ!」
「「私たちも頑張るぞ! です!」」
「私も私の持てる力はお貸ししますよぉ?」
俺のその張り切った掛け声に乗るように女性陣の三人も声を出した。
こうして、俺たちは狸族の里めがけて再出発したのだった。
この時の俺は思い込んでいた。敵は獣人だけだと。
しかし俺は知らなかった。いや、気づこうとしていなかった。
パリンッ!
「……………ん?」
「どうしたんだ?」
「いや、なんか変な音が聞こえたような気がして…………まぁ大丈夫かな? うん。なんでもない」
敵は他にもいたということに。
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毎日更新は高校生活に慣れるまで難しいかもしれませんが、できたら三日に一度は更新出来たらなと思います!
こんな百話過ぎでまでお付き合いしてくださってくれる読者様に言うのもなんですが、是非、これからもお付き合いいただけると嬉しいです!
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