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獣人の国へ
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俺たちはあの後、アハハと苦笑いしながら国へと戻った。
あの時は誰もが正気ではなかった気がする。
そして、
「じゃあね! おじいちゃん!」
「少しの間ですがお世話になりました」
「おお。二人とも頑張るん…………いや、頑張らんでも終わらせれるかもしれんな」
祖父はくっきり穴の空いた山を見ながら苦笑いをする。
俺がエリーナなどの上位の魔族と対等に渡り合うために得た【契約憑依】
そして、ランドロフに手を貸すために得た冒険者カード。
そのため、もうこの国にいる必要がなくなったのだ。
正直、こんなにも早く魔族と肉体戦で渡り合う方法が得れるとは思っていなかったため期限は残り十一か月以上もある。
ランドロフ曰くこの戦争を二ヶ月以内で終わらせるそうだ。
「アレン…………まず俺の集落に行ってもいいかな。俺が同胞に説明したら多分数千人は仲間になってくれるはずだよ」
「分かった。じゃあ行こう!」
こうして俺たちは祖父に背中を向け、サウザンドをあとにした。
サウザンドを出てから数時間が経った。
【契約憑依】のおかげでランドロフの全力の飛翔にも合わせれるようになり、数時間でで五百キロを移動するという術を身に着けた。
まぁ最初は空を飛ぶこと自体初めてだったので上手に飛べるようになるには少し時間がかかったが。
あれ? 時間制限はどうなったの? と思う人もいるかもしれない。
やはり時間制限はあった。数分で【契約憑依】は解除されてしまうのだ。
「はぁ…………ほんとに僕はアレンのことを甘く見てたよ」
ランドロフは少しひき気味に俺を見ながら言った。
俺は何かいい方法がないかと考え、最終的に思いついた打開策が何度も切り替えるということだ。
相手に疲労がたまらない程度に連続で【契約憑依】を行使するという荒業である。
おとぎ話のテイマーには配下が三体ほどしかいなかったため、出来ないようだが、俺には二万ほどいる。
なので紫電鳥と何度も【契約憑依】を行使することで空を飛び続けることを可能にした。
「ほら。ついたよ」
「おお~これがランドロフが住んでた集落なんだ!」
集落はそこまで発展していないものの、しっかりとしている集落である。
見たところ、木造建築の藁ぶき屋根の家が五十軒ほどあった。
また、空から何人もの狐のような獣人が見える。
そして野良の狐の獣も。
ちなみに西が人族、東が魔族。獣人が住んでいる場所はどうやら真ん中。境界線がある場所だった。
なので、魔族にも人族にも手がすぐに出せるということだ。
「ここからは僕の手腕にかかってるね」
ランドロフは空中に浮かびながらそう言った。
俺たちはゆっくり地上に降り、俺は【契約憑依】を、そして、ランドロフは魔力で作った翼を解除する。
すると、ランドロフは俺の方に頭を下げてくる。
「まず、アレンはここにいてくれないか。同胞を混乱させたくない」
「分かった。ここで待ってる」
そう言ったランドロフは村の方へと進んでいった。
「暇だなぁ」
ランドロフが村に入ってから一時間が経った。
今も俺は村の外で独り、岩の上に座っている。
正直言って本当に暇です。
先ほど、村の中から罵声や奇声などが聞こえたため色々困難になっているのだろう。
まぁ信じてくれと言って他種族を一瞬で信じるのもそれはそれでどうかと思うが。
そんなことを考えていると、二つの足音が聞こえてきた。
俺はその方向へと振り返ると、
「…………ん?」
「「……………………え?」」
俺と同じように不思議そうに俺のことを見る双子のような子供の獣人がいた。
(え? なんなの? マジで可愛いんですけど? 天使? 天使なのかな?)
俺はその様子を見てそんなことを思ってしまう。
金色になびく毛並みに可愛らしい丸みを帯びた容姿。
そして、くりんと丸い目に、つい触りたくなるような獣耳。
……………………最高です。
まぁそれは俺の感想なので、この二人から見た俺はただの他種族の不審者になるのかもしれない。
しかし、二人は俺を見て口を合わせるように言った
「「…………中に入るのか? です」」
「…………え?」
俺はその言葉に驚いてしまう。
皆さんわかっていると思いますが、今のえ? は中に入らないの。という言葉ではなく、最後にですと付けたことに驚いたのです。
「…………じ、じゃあ入ろっかな」
今の俺には人間が獣人の村の中に入ったらどうなるかなんて関係ない。
なんて可愛い生き物がこの世にはいるんだ。ということしか考えれていなかった。
ごめんなさい。サルバディさん。
貴女より断然、この双子のほうが誘惑するのが上手です。
あの時は誰もが正気ではなかった気がする。
そして、
「じゃあね! おじいちゃん!」
「少しの間ですがお世話になりました」
「おお。二人とも頑張るん…………いや、頑張らんでも終わらせれるかもしれんな」
祖父はくっきり穴の空いた山を見ながら苦笑いをする。
俺がエリーナなどの上位の魔族と対等に渡り合うために得た【契約憑依】
そして、ランドロフに手を貸すために得た冒険者カード。
そのため、もうこの国にいる必要がなくなったのだ。
正直、こんなにも早く魔族と肉体戦で渡り合う方法が得れるとは思っていなかったため期限は残り十一か月以上もある。
ランドロフ曰くこの戦争を二ヶ月以内で終わらせるそうだ。
「アレン…………まず俺の集落に行ってもいいかな。俺が同胞に説明したら多分数千人は仲間になってくれるはずだよ」
「分かった。じゃあ行こう!」
こうして俺たちは祖父に背中を向け、サウザンドをあとにした。
サウザンドを出てから数時間が経った。
【契約憑依】のおかげでランドロフの全力の飛翔にも合わせれるようになり、数時間でで五百キロを移動するという術を身に着けた。
まぁ最初は空を飛ぶこと自体初めてだったので上手に飛べるようになるには少し時間がかかったが。
あれ? 時間制限はどうなったの? と思う人もいるかもしれない。
やはり時間制限はあった。数分で【契約憑依】は解除されてしまうのだ。
「はぁ…………ほんとに僕はアレンのことを甘く見てたよ」
ランドロフは少しひき気味に俺を見ながら言った。
俺は何かいい方法がないかと考え、最終的に思いついた打開策が何度も切り替えるということだ。
相手に疲労がたまらない程度に連続で【契約憑依】を行使するという荒業である。
おとぎ話のテイマーには配下が三体ほどしかいなかったため、出来ないようだが、俺には二万ほどいる。
なので紫電鳥と何度も【契約憑依】を行使することで空を飛び続けることを可能にした。
「ほら。ついたよ」
「おお~これがランドロフが住んでた集落なんだ!」
集落はそこまで発展していないものの、しっかりとしている集落である。
見たところ、木造建築の藁ぶき屋根の家が五十軒ほどあった。
また、空から何人もの狐のような獣人が見える。
そして野良の狐の獣も。
ちなみに西が人族、東が魔族。獣人が住んでいる場所はどうやら真ん中。境界線がある場所だった。
なので、魔族にも人族にも手がすぐに出せるということだ。
「ここからは僕の手腕にかかってるね」
ランドロフは空中に浮かびながらそう言った。
俺たちはゆっくり地上に降り、俺は【契約憑依】を、そして、ランドロフは魔力で作った翼を解除する。
すると、ランドロフは俺の方に頭を下げてくる。
「まず、アレンはここにいてくれないか。同胞を混乱させたくない」
「分かった。ここで待ってる」
そう言ったランドロフは村の方へと進んでいった。
「暇だなぁ」
ランドロフが村に入ってから一時間が経った。
今も俺は村の外で独り、岩の上に座っている。
正直言って本当に暇です。
先ほど、村の中から罵声や奇声などが聞こえたため色々困難になっているのだろう。
まぁ信じてくれと言って他種族を一瞬で信じるのもそれはそれでどうかと思うが。
そんなことを考えていると、二つの足音が聞こえてきた。
俺はその方向へと振り返ると、
「…………ん?」
「「……………………え?」」
俺と同じように不思議そうに俺のことを見る双子のような子供の獣人がいた。
(え? なんなの? マジで可愛いんですけど? 天使? 天使なのかな?)
俺はその様子を見てそんなことを思ってしまう。
金色になびく毛並みに可愛らしい丸みを帯びた容姿。
そして、くりんと丸い目に、つい触りたくなるような獣耳。
……………………最高です。
まぁそれは俺の感想なので、この二人から見た俺はただの他種族の不審者になるのかもしれない。
しかし、二人は俺を見て口を合わせるように言った
「「…………中に入るのか? です」」
「…………え?」
俺はその言葉に驚いてしまう。
皆さんわかっていると思いますが、今のえ? は中に入らないの。という言葉ではなく、最後にですと付けたことに驚いたのです。
「…………じ、じゃあ入ろっかな」
今の俺には人間が獣人の村の中に入ったらどうなるかなんて関係ない。
なんて可愛い生き物がこの世にはいるんだ。ということしか考えれていなかった。
ごめんなさい。サルバディさん。
貴女より断然、この双子のほうが誘惑するのが上手です。
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