【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方

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この2年間

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 俺たちは路地裏から宿屋へと場所を変えて話をした。
 そして、祖父は何時間もかけてこのオースガイアの二年間の話を語り終える。

「これがこの二年間のオースガイアじゃよ」
「……………………そこまで同胞が暴れていたとは」

 ランドロフは顔をしかめながら言った。

 祖父の話によると、この襲撃は半年前に始まったらしい。
 ランドロフ曰く、幹部クラスが二、三人で襲撃が行わられる予定だった。
 しかし、幹部クラスは一人も襲撃に参加していなかったのだ。
 その代わりに、

「二段階越えが……………………十万人も」

 そう。二段階を超えた十万の獣人がこのオースガイアの人間を一掃している。
 ランドロフの記憶ではそこまで獣人の規模は大きくなかったそうだ。
 だが、この数、

「わしたちの一族が滅ぼされたのが一番の原因じゃの」

 世界一のエリートテイマー一族が滅ぼされた。そのことは世界中に驚愕と恐怖を与えた。
 そして、テイマーを辞める冒険者が増えたのだ。

 ということはお分かりだろうか。
 そう。野良の獣が異常に増えることになる。
 だが、そこまで増えた痕跡が見られなかった。

「神獣がやったのでしょうね」

 神獣は獣たちの神に君臨し、獣人のたちの長である。
 これはランドロフの予測に過ぎないが、神獣は俺のような能力を持っている可能性が高い。
 そう。名づけの際に進化させることが出来るかもしれないのだ。
 そうでなければ、この現状の証明が出来ない。

「キール兄ちゃんは行方不明に、あのリンク兄ちゃんがテイマー協会の長とはね」
「キールとは今も連絡はとっておる。だが、何をしているのかは不明じゃ」

 キール兄ちゃんは一族が全員死んだのにもかかわらず、一人生き延びたらしい。
 流石キール兄ちゃんだ。まぁ祖父も独りで【テレポート】を使って逃げてきているのだが。

 まぁ昔から優しくした人にはする。しない人には冷たくする。というのが祖父のモットーだ。
 祖父はその性格から嫌われていたため、同じ境遇の俺と皆に優しいキール兄ちゃんだけ接してくれる。

「リンクは頑張っておるわい。テイマー一族の汚名を晴らそうとな」

 今この世界ではテイマーは悪。そんな印象付けがされているらしい。
 それを晴らすためにリンクは世界各国のテイマーを統率し、滅亡阻止しているらしいのだ。

 俺は悪い奴かもしれない。そんなリンクの行動が信じられないのだから。
 だが、実際周りの人に聞いても祖父と同じことを言うのでそれが事実なのだろうが。

「まぁ今日は二人とも早めに寝なさい。二人ともクマが出来ておる」

 それはそうだ。実際、魔大陸からここまで一睡もせず走ってきたのだ。
 本当に今も睡魔が俺の意識を刈り取ろうとしてきている。

「じゃあお言葉に甘えて先に風呂を借りようかな」

 俺は腰かけていたベットから立ち上がり、風呂場へと向かった。




 そしてその後、

「ランドロフ君。少し外の空気を吸わないかい?」
「……………………分かりました」

 ランドロフはアレンの祖父の神妙な面持ちに少し動揺するも了承した。
 そして二人は風呂に入っているアレンを残して宿屋を出る。



「すまないね。特に話をすることはないんだよ」
「……………………は?」

 宿屋の外で唐突に言われた言葉にランドロフは驚いたような声を出した。
 すると、アレンの祖父は苦笑いをしながら夜空を眺める。

「アレンは強い奴なんじゃよ。魔大陸で二年以上暮らしていたんだから……………………だからその分脆い・・
「……………………そういうことですか」

 ランドロフは納得したのか祖父の隣で同じように夜空を眺める。
 アレンの祖父はその様子を見てにかっと笑った。

「やっぱり君はこちら側の人間じゃな……………………頼むぞ。アレンを」
「……………………それはあいつが僕の期待を裏切らなければの話です。まぁ僕もアレンの期待を裏切らないように努力しますが」
「ああ。それでいい」

 二人は悲しい風が吹く夜に悪者のような笑みを浮かべたのだった。
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