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新たなる冒険へ

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最近、同じ話を2話投稿してしまっているバクが起きてます。
本当に申し訳ございません。
以後、更新後は確認しようと思います

***********************

「ではアレン様。ご帰りをお待ちしております」

 ドラはそう言いながら頭を下げ、転移魔法を行使してこの場から去った。
 そしてこの場には俺と魔王、そして先ほどからこちらに無表情の冷たい視線を送ってきている獣のような人の三人だけになる。

「じゃあ本題に入るか。アレン。別に俺はお前を止めやしない。だが、二つだけ要求を出す」

 魔王はそう口にすると魔王の隣で立っていた獣を自分の前に立たせた。
 そして、その人を指さしながら一つ目の要求を言う。

「こいつはランドロフ…………アレンも知ってるだろ?」
「…………う、うん…………でもすごい変わりようだね」

 一瞬、俺は本当にランドロフなのか信じられず、驚いてしまった。 

 ランドロフといえば南北戦争の核心にいた人物であり、魔王が地下に幽閉していた人物でもある。
 あの、俺が放った地形をも変える魔法を食らって死んでいなかったと聞いたときはどれほど驚いたものか。

 しかし、俺はランドロフといえば俺と同じように悪魔族《デーモン》であったはずだ。
 だが、今俺の目の前にいる人物は狐の容姿をした獣の人型である。

 俺が反応に困っているのを見てランドロフは俺に向かって深々と頭を下げた。

「あの時はご無礼を申し訳ございませんでした。あの時の僕は僕じゃなかったというか…………」

 その言葉に付け足すように魔王は口をはさむ。

「あの時のこいつは【人形操作マリオネーション】にかけられてたんだよ。意外と術者がしぶとかったから二ヶ月ほどかかってしまったんだ」

 【人形操作マリオネーション】とはその名の通り遠隔から人を思いのままに操作することだ。
 その術者は圧倒的な実力差でないといけないため、解除が難しい。
 殺しても魔法にかかったまま、なんてことも聞いたことがある。
 まぁ簡単に言えば禁呪だ。

「あれでも微妙に意識があったんですから。本音を言うとほんの少し優しくしてほしかったです」
「もう予防もしといたから二回目はない。安心してもいいぞ?」
「そうですね。あんな思い二度としたくないです…………」

 ランドロフは本当に表情を青ざめながらそう口にした。
 この表情なら何十回も殺されていたのだろう。

「分かってると思うが――」
「分かってますよ。一応これでも幹部だったんですから。僕が正します・・・・
「それならいい」
 
 魔王の言葉を遮るようにランドロフはそう口にした。
 その表情からは全てを捨ててまでもやりきるという覚悟が見える。

 そして、魔王は今度は俺の方を見て口を開く。

「…………これからの一年でアレンは苦しい思いをするだろう」
「……………………」

 魔王のそれは時々する大事な時にしかしない表情であった。
 まるで未来を知っているかのような表情で言う魔王に俺は息をのむ。

「それを乗り越えなければお前が望む段階にはなれない。所詮…………人間のままってことだ。当然俺は手助けをするつもりもないし、お前のために条件も課す」

 魔王はそう言って、俺の頭の上に手を置き…………

「【魔法凍結フェージング】…………これで何があろうとアレンは召喚魔法を一年は行使できない」
「…………分かった」

 そもそもこれは俺自身の修行なのだ。
 配下たちに頼っていれば本末転倒である。

 すると、魔王は少し気まずい空気に頭をかき、苦笑いをしながら言った。

「じゃあ俺はこの辺で帰るわ……………………頑張れよ。アレン」
「うん、ありがとう。父さん」

 魔王は背中を向けたまま手を振り、【テレポート】を行使して、この荒野から去る。
 そして、この荒れ地に俺とランドロフの二人だけが残った。

「アレン。僕は魔王様には忠誠を誓っているが君には誓ってない。だから対等でいかせてもらうよ? 敬語はどうしても慣れなくてね」
「分かったよ。俺もそっちの方が助かる」

 一年間、行動を共にする仲間として間に微妙な溝があっては後々苦しくなるだけだ。
 それならいっそ対等の相手と割り切って話したほうが楽である。
 相手が今まで何をしたのであれ、魔王が許した。それなら俺が何も言う理由にはならない。

「じゃあ行こっか。ラン君」
「ラン君? ……………………うん。行こうかアレン」

 まだまだ、ちぐはぐな二人であるが、これから一年の冒険へと足を進めた。

 二人とも何が待ち受けているのか、どう苦悩して成長するのかは神のみぞ知る。
 だが、全てをかける覚悟で挑む冒険だ。

 そんな二人の熱を冷ますように夜風はそよぐ。
 そして、アレンとゴブくんを祝福していたあの頃の月とは違い、三日月は二人のこれからの試練を嘲笑うかのように二人を照らしていたのだった。


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 本当に今までアレンたちの物語にお付き合いいただきありがとうございます!
 皆さんの1PVが心の支えになってます!

 これから少し鬱展開が多くなるかもしれませんが、物語は残りの3分の1ぐらいになってます!
 是非、最後までアレン達の物語にお付き合いいただけたら嬉しいです。
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