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南北戦争、終結

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「………………ん、あれ?」

 俺はゆっくりと閉じていた瞼を開けた。
 そして、見え始めたその光景に俺は呆けた面になってしまう。

「……………………いやぁ私は知りませんからね」
「……………………主に殺されるどこだったぜ」

 俺の隣には必死な形相を浮かべた二人がいた。
 二人は真顔のまま自分たちの目の前に広がっている光景に目を合わせようとしない。

 まぁ俺も合わせたくないのだが。

「これって俺のせいじゃないよね?」

 ほら。俺だって現実逃避しそうになっている。
 しかし、二人とも現実を見ていないくせに、

「いえ、アレン様のせいです」
「ああ。そうだな。主のせいだ」
「え!? なんか俺の対応酷くない!?」

 俺はけめはめ波は上手く成功させることが出来ました。
 そのため、今の俺たちの目の前には何もありません。
 そうです。何もないんです。

 ランドロフに向かって直線状は大地もえぐれ、障害物である岩や向こうに見えていた小さな山も跡形もなくなっていた。
 あそこに山なんてありましたっけ? というレベルである。

「うん。一度帰ろっか。二人とも治療してもらうから俺の手を握って」
「承知しました」
「分かったぜ」

 二人とも待ってましたと言わんばかりの勢いで俺が差し出した手を握った。
 そして、俺はため息をつきながら魔法を行使する。

「はぁ。【テレポート】!」

 その瞬間、視界から色が失われ、真っ暗に染まった。


***********************

「あ、お帰りなさぁい」

 俺たち三人は魔王城に転移するとそこには天井に留まったままのリーシャがいた。
 なので俺は軽く頭を下げながら言う。

「ただいまリーシャ。すぐで悪いんだけどこの二人を頼める?」
「…………いいですよぉ。でも、さっきの続きをしてくれるならですけどねぇ」
「……………………カンガエトクヨ」

 小悪魔的な表情を浮かべているリーシャはそう口にして、二人を抱きかかえ自分の部屋に帰っていった。
 ちなみにリーシャは回復魔法のエキスパートである。
 リーシャに任せておけばどんな傷でも、そして死んでいても蘇生させることが出来るのだ。

「出てきていいですよ」

 俺はリーシャたちが出ていったことを確認した俺は一人そう口にした。
 すると、

「やっぱりあなた、ただものじゃないわね」
「普通のにん…………魔族なんですけどね」

 俺はカーテンの後ろに隠れていたサルバディが苦笑いしながら出てきた。
 その表情からはしっかりと区切りがついていたことが垣間見える。

 なので、俺は少し安心した表情で口を開いてサルバディに話しかける。

「父さんは何処に行ったんですか?」
「……………………あなたのお父様はここで働いてらっしゃるの?」
「……………………え?」

 どうやらやらかしてしまったようです。

 まさか、魔王がそのことを先に言ってなかったとは思わず、俺は少し動揺してしまう。

(さて、どう説明したらいいものか…………)

 しかし、俺が心の中で一生懸命考えているとサルバディはフッフと手を顔に当てながら笑い始めた。
 
「フッフッフ。冗談よ。そのことは魔王から聞いてるわ…………ってことは私の息子になるのかしら?」
「その位置はランドロフさんがいるでしょう? 多少刑罰を受けることになりますが、流石の父さんでも殺さないとは思いますよ」

 俺がそう苦笑いしながら言うとサルバディはポカンとした呆けた表情になる。
 そして、

「ランドロフさん? それって誰なのかしら? アレン君の知り合い?」
「アハハ。サルバディさんも御冗談を言うんです……………………本気で言ってます?」

 俺はそのサルバディの言葉を冗談としてとらえた。
 だって、少し前に魔王のこともからかっただろう?

 しかし、全くふざけている様子がサルバディから感じられず俺は本気で戸惑ってしまう。
 しかし、そんな俺を放ってサルバディは笑い始めた。

「大丈夫よ。そんなに話を逸らそうとしなくても魔王とはもう仲直りできたから…………あ、でもあなたみたいな子供が結婚してるなんてことは驚いたわね」
「……………………結婚? ちょっと話の中身がよく見えないんですが」

 俺は本気で脳内がパンクしそうになる。

 ランドロフのことを忘れてる? しかも俺が結婚?

 俺は考えに考え込んだ内の一つの言葉を振り絞るように言った。

「あの……………………俺は誰と結婚したのでしょうか?」

 すると、サルバディも少し唖然としたが苦笑いしながら口を開く。

「リーシャちゃんと結婚したのでしょう? 私は魔王がリーシャちゃんに取られたと思って嫉妬しちゃって、こんなこと…………だから魔王と復縁するのにはいい出来事だったわ」
「……………………」
「…………え? どうしたの?」

 俺はその瞬間、心の中の何かの枷が外れた気がした。
 そして、一度うずくまった俺を心配するようにサルバディが声をかけてくれる。

 すみません。サルバディさん。ちょっとうるさくなります。

「おい! リーシャあああああああああぁぁぁぁぁぁ!」

 俺は魔王城全体に響き渡る声でそう叫んだのだった。
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