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神々の戦い
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「オラアアァァァ!」
「……………………ちッ!」
グレードはラークと一緒に押さえていたランドロフの剣を声をあげながら押し上げる。
そして、ランドロフの態勢が崩れたところにグレードは声を荒げながら鍵爪でを振りかざした。
しかし、安易にランドロフは長剣でその鍵爪を振り払う。
「お前らのせいで俺たちは!」
そして、ランドロフは顔に血管を浮き上がらせながら鬼のような気迫で長剣をグレードの首元に向かって吸い寄せつける。
グレードはその攻撃を両腕で勢いをそらした。
しかし、
「…………なッ!」
ランドロフは左腕で握っている隠していた短剣をグレードの横腹に刺そうとした。
その行動への転換の速さが早すぎるため、グレードでも間に合いそうにない。
そして、その短剣はグレードの横腹に…………
「雷の加護のもとに焼き尽くしてください! 【紫電】!」
「ちッ! どいつもこいつも!」
金色の翼をはためかせて空を飛んでいるラークが短剣めがけて魔法杖から紫の雷を落とした。
当然、それは魔王級の魔法であるため、短剣を一瞬で砕き、地面に巨大な穴が開く。
ランドロフは表情を険しくしながら一躍で後退し、二人との間に距離を置いた。
ランドロフが魔王級であろうとも、流石に魔王級二人を相手するのは難しいか。
「ちッ! 魔王級になりたての魔獣のくせに調子乗りやがって!」
ランドロフはそう吠えながらもう一度、二人に向かって疾走した。
しかし、神魔獣の二人はそのランドロフを見て、少し余裕の表情を見せている。
そして、二人は…………
「神の名のもとに大いなる雷を顕現してください! 【神雷】!」
「神の名のもとに大いなる風を顕現しろ! 【神風】!」
二人は同時に詠唱魔法を行使した。
遠く離れている場所で見ている俺でも分かる。
膨大な魔力が二人の間に溢れかえっていることを。
「……………………なんだと!」
ラークがランドロフの右側から白色の神々しい雷を、グレードが左側から白色に見える台風をランドロフを挟み撃ちするように放つ。
それは、まるで風神雷神を見ているかのような光景だ。
ランドロフも流石にここまでは想像していなかったようで焦っているような表情をしている。
当然、俺もここまで強くなっているとは思っていなかった。
こんな光景を見せられたら種族名に神がつくのも納得がいく。
「…………終わりかな」
俺はそう一人で呟く。
先ほど四万の魔族と魔獣の拘束を済ませたと魔獣たちから報告があった。
俺ができるだけ殺すのは禁止だと言っていたためわざわざ一人一人拘束してくれたようだ。
だが、流石に狂戦士《バーサーカー》たちは殺すしかなかったようで、拘束していた者も自害したらしい。
「【全体消滅】」
俺は遠く離れたところで待機している魔獣たちをもとの場所へ帰した。
また、今度お礼をしなければと思う。流石にここで感謝をしないテイマーはテイマーではない。
そして、目の前で繰り広げられている神たちの戦いも、もう終わりそうだ。
あれほどの雷と台風をまともに食らえば跡形も残らないだろう。
雷は地面を焼き、台風は地面を浮かせようとしているほどの威力だ。
そう考えているうちに二人の魔法はランドロフの目の前まで迫っている。
俺たちの勝ちだ。
しかし、俺がそう確信し、にんまりと口角を上げた瞬間、
「…………しょうがないか…………【抹消】!」
「「「……………………は?」」」
俺とラーク、グレードの三人はその光景に啞然としてしまった。
いや、唖然とせざるをえなかった。
あの神の雷が、あの神の風が、ランドロフの一言によって夢であったかのように雲散したのだ。
「はぁ。今日で【強奪】も【抹消】も使っちゃったじゃないか。また三ヶ月は出来るだけ慎重に行動しないと…………」
どうやら、ランドロフの制限魔法のようだ。
なので、今、ランドロフの言った通りこの戦いでは、もう使われることはない。
しかし、
「「はぁ。はぁ。はぁ」」
先ほどの魔法を使ったためだろう。
二人の全身が少し青白くなっていた。魔力切れの証拠である。
二人とも先ほどの魔法でけりをつけるつもりだったのだ。
「これも邪魔だな」
それをよそに、そう口にしたランドロフはまるで壁が見えているかのように自分の周りをぺたぺたと触り始める。
そして、ランドロフは目的のものに気づいた。
パリンッ!
ランドロフは何もない場所で正拳突きをし、魔法障壁を破ったのだ。
「まさか、気づかれていたなんて」
俺が戦闘開始時に展開させていた、【転移防止障壁】。
見えないよう、魔王に透明化魔法を付与してもらっていたのだ。
この魔法は展開までに時間がかかるため、もう一度すぐに展開させることは出来ない。
それは、【全体召喚】も同じで、もう一度行使するには少し時間をかけなければならない。
すると、ランドロフは歪な笑みを再び浮かべて魔法を行使した。
「反撃開始と行こうかな…………【限界解除】!」
その瞬間、ランドロフの気力が何倍にも膨れ上がる。
そして、悪魔族のような容姿から少し魔獣のように毛が長くなった。
「これは少し危ないですね……」
「おいおい! なんでこんなに魔力が膨れ上がんだよ」
二人ともランドロフを見てそんな言葉を漏らす。
そう、そこには圧倒的な実力差があった。
「あッはッは! 這いつくばって許しを請うなら命だけはとらないぞ?」
ランドロフは仁王立ちのまま地面から足を放し、空中に移動する。
その雰囲気は一瞬、魔王と錯覚してしまいそうなほど圧倒的な力の権化であった。
ってか、こんなに簡単に空を飛べるものなのだろうか。
先ほどラークも翼を生やして飛んでいた。
少し常識からかけ離れていて俺は頭を押さえたくなる。
(仕方ない…………アレを使ってみようか……………………)
疲れをあらわにしている二人をよそに、俺はもしものために隠していた秘策を使う準備を始めた。
「……………………ちッ!」
グレードはラークと一緒に押さえていたランドロフの剣を声をあげながら押し上げる。
そして、ランドロフの態勢が崩れたところにグレードは声を荒げながら鍵爪でを振りかざした。
しかし、安易にランドロフは長剣でその鍵爪を振り払う。
「お前らのせいで俺たちは!」
そして、ランドロフは顔に血管を浮き上がらせながら鬼のような気迫で長剣をグレードの首元に向かって吸い寄せつける。
グレードはその攻撃を両腕で勢いをそらした。
しかし、
「…………なッ!」
ランドロフは左腕で握っている隠していた短剣をグレードの横腹に刺そうとした。
その行動への転換の速さが早すぎるため、グレードでも間に合いそうにない。
そして、その短剣はグレードの横腹に…………
「雷の加護のもとに焼き尽くしてください! 【紫電】!」
「ちッ! どいつもこいつも!」
金色の翼をはためかせて空を飛んでいるラークが短剣めがけて魔法杖から紫の雷を落とした。
当然、それは魔王級の魔法であるため、短剣を一瞬で砕き、地面に巨大な穴が開く。
ランドロフは表情を険しくしながら一躍で後退し、二人との間に距離を置いた。
ランドロフが魔王級であろうとも、流石に魔王級二人を相手するのは難しいか。
「ちッ! 魔王級になりたての魔獣のくせに調子乗りやがって!」
ランドロフはそう吠えながらもう一度、二人に向かって疾走した。
しかし、神魔獣の二人はそのランドロフを見て、少し余裕の表情を見せている。
そして、二人は…………
「神の名のもとに大いなる雷を顕現してください! 【神雷】!」
「神の名のもとに大いなる風を顕現しろ! 【神風】!」
二人は同時に詠唱魔法を行使した。
遠く離れている場所で見ている俺でも分かる。
膨大な魔力が二人の間に溢れかえっていることを。
「……………………なんだと!」
ラークがランドロフの右側から白色の神々しい雷を、グレードが左側から白色に見える台風をランドロフを挟み撃ちするように放つ。
それは、まるで風神雷神を見ているかのような光景だ。
ランドロフも流石にここまでは想像していなかったようで焦っているような表情をしている。
当然、俺もここまで強くなっているとは思っていなかった。
こんな光景を見せられたら種族名に神がつくのも納得がいく。
「…………終わりかな」
俺はそう一人で呟く。
先ほど四万の魔族と魔獣の拘束を済ませたと魔獣たちから報告があった。
俺ができるだけ殺すのは禁止だと言っていたためわざわざ一人一人拘束してくれたようだ。
だが、流石に狂戦士《バーサーカー》たちは殺すしかなかったようで、拘束していた者も自害したらしい。
「【全体消滅】」
俺は遠く離れたところで待機している魔獣たちをもとの場所へ帰した。
また、今度お礼をしなければと思う。流石にここで感謝をしないテイマーはテイマーではない。
そして、目の前で繰り広げられている神たちの戦いも、もう終わりそうだ。
あれほどの雷と台風をまともに食らえば跡形も残らないだろう。
雷は地面を焼き、台風は地面を浮かせようとしているほどの威力だ。
そう考えているうちに二人の魔法はランドロフの目の前まで迫っている。
俺たちの勝ちだ。
しかし、俺がそう確信し、にんまりと口角を上げた瞬間、
「…………しょうがないか…………【抹消】!」
「「「……………………は?」」」
俺とラーク、グレードの三人はその光景に啞然としてしまった。
いや、唖然とせざるをえなかった。
あの神の雷が、あの神の風が、ランドロフの一言によって夢であったかのように雲散したのだ。
「はぁ。今日で【強奪】も【抹消】も使っちゃったじゃないか。また三ヶ月は出来るだけ慎重に行動しないと…………」
どうやら、ランドロフの制限魔法のようだ。
なので、今、ランドロフの言った通りこの戦いでは、もう使われることはない。
しかし、
「「はぁ。はぁ。はぁ」」
先ほどの魔法を使ったためだろう。
二人の全身が少し青白くなっていた。魔力切れの証拠である。
二人とも先ほどの魔法でけりをつけるつもりだったのだ。
「これも邪魔だな」
それをよそに、そう口にしたランドロフはまるで壁が見えているかのように自分の周りをぺたぺたと触り始める。
そして、ランドロフは目的のものに気づいた。
パリンッ!
ランドロフは何もない場所で正拳突きをし、魔法障壁を破ったのだ。
「まさか、気づかれていたなんて」
俺が戦闘開始時に展開させていた、【転移防止障壁】。
見えないよう、魔王に透明化魔法を付与してもらっていたのだ。
この魔法は展開までに時間がかかるため、もう一度すぐに展開させることは出来ない。
それは、【全体召喚】も同じで、もう一度行使するには少し時間をかけなければならない。
すると、ランドロフは歪な笑みを再び浮かべて魔法を行使した。
「反撃開始と行こうかな…………【限界解除】!」
その瞬間、ランドロフの気力が何倍にも膨れ上がる。
そして、悪魔族のような容姿から少し魔獣のように毛が長くなった。
「これは少し危ないですね……」
「おいおい! なんでこんなに魔力が膨れ上がんだよ」
二人ともランドロフを見てそんな言葉を漏らす。
そう、そこには圧倒的な実力差があった。
「あッはッは! 這いつくばって許しを請うなら命だけはとらないぞ?」
ランドロフは仁王立ちのまま地面から足を放し、空中に移動する。
その雰囲気は一瞬、魔王と錯覚してしまいそうなほど圧倒的な力の権化であった。
ってか、こんなに簡単に空を飛べるものなのだろうか。
先ほどラークも翼を生やして飛んでいた。
少し常識からかけ離れていて俺は頭を押さえたくなる。
(仕方ない…………アレを使ってみようか……………………)
疲れをあらわにしている二人をよそに、俺はもしものために隠していた秘策を使う準備を始めた。
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