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南北戦争の核心
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『さぁ。みんなの力を見してくれ』
俺はこめかみに手を当て【念話】でそう伝えたのだった。
ドガンッ!
ビリビリビリビリ
ビューーーーー!
雷やら台風やらいろいろなものが四万の魔族を襲っている。
普通に異常現象並みの光景に俺も唖然としてしまいそうになった。
「死ねえええぇぇ!」
「イヤアアアアァァァ!」
「アレン様の敵は俺たちの敵だァ!」
「ギャアアアアアア!」
「アレン様を敵にまわしたことを一生悔やませてやるぜ!」
「ウワアアアアアアァァァ!」
しかし、なんというか。
何故、いつも俺が召喚するときはこんなにガラが悪くなるのだろうか。
嬉しい気もするのだが、少し俺の印象が悪くならないか?
「……………………あ、あなた何者なんですか?」
「幻術に決まってんだろ! ババアは黙ってろ!」
ランドロフはその光景を現実だとは思っていないのだろう。
いまだに歪な笑みを浮かべている。
しかし、地面にへたり込んでいるサルバディは別だ。
しっかりと現実と夢の見分けがついているらしく、少し怯えながら聞いてきた。
「こいつらの親みたいなものですよ……………………女王様。あなた自分がしたことを理解してるつもりですか?」
俺は自分の説明を適当に済ませ、改めてサルバディにそう聞く。
すると、サルバディは首を縦に振った。
「ええ。自分の心を満たすためにこんなことを…………」
「凄いですね。この数は…………それほど魔王にご執心だったんですね」
今も地ならしをし続けている反乱軍とそれを蹂躙している魔獣たちを見てそう口にした。
まるで天変地異のような光景に俺は少し苦笑いしながらサルバディを見る。
すると、サルバディは涙を流し、唾をまき散らしながらそう口にする。
「私は何でもするわ! 死ねと言われるなら魔王の顔面を一発殴ってから死ぬ! だから! ディルガイナの国民だけは守ってあげて! お願いします!」
俺の服の裾を握りながら懇願するように、あの冷徹無欠と言い伝えられていた女王がすがるように言ってきた。
魔王の顔面を殴ってから、というフレーズは置いておこう。
しかし、国民を守ってと言った言葉は本心だったように聞こえる。
そもそも、夫婦げんかでここまで大ごとになるものなのか?
まぁ俺も先ほど女性は怖いと身をもって知ったばかりなので少しは理解できるが。
「分かりました。では、あなたは一度、あの人を殴ってきてやってください…………【転送】」
俺はサルバディの綺麗な黒髪の上に手を置き、魔力を込める。
空間魔法の上級魔法である【転送】を使い、俺はサルバディを魔王の部屋へ転送させた。
ここからは大人の問題だろう。
そんなことを考えていると、隣から急に罵声が飛んできた。
そろそろ現実を見始めたのだろう。
「おいガキ! どういうことだこれは! こんなことして生きて帰れると思ってるのか?」
「あ、はい。あなたこそ現実見てくれませんかね?」
俺はそう口にして、もうほぼ決着のついている光景を指さした。
流石に狂戦士は一筋縄ではいかないようだが、五人一組で協力して各個撃破しているようだ。
「ちッ! それもお前を殺せば終わるだろ!」
ランドロフはそう口にしながら二本の鉄の長剣を取り出した。
ランドロフは俺が死ねばこの魔獣たちが消滅するとでも考えているのだろう。
しかし、俺が死んだところでこの光景が激しくなるだけなんですけどね。
とは、怖くて言えないので開けかけた口を閉じる。
だが……………………誰も口にしないがこいつは誰なのだろうか。
みんなはこいつのことを魔王の元息子やら元王子やら言っていたが絶対に違うと俺は直感で理解する。
魔王は悪魔族の上位互換的な種族だと俺は推測している。
そして、先ほどのサルバディに関しては蠅神族であろう。
まぁ普通に蠅の種族とは思えないほどの美貌を持っていたが、その種族もサルバディにとってはコンプレックスかもしれないので口にしないでおこう。
しかし、ランドロフとなると別だ。
何か、まるで俺のトラウマでもある獣のような雰囲気がしてならない。
俺と同じように黒の角と尾が生えているので魔族であるはずなのに。
そんなことを考えていると…………
「クソガアアアアァァ!」
ランドロフは目に怒りの感情を宿らせながら一瞬で遠くはなていてた距離を詰め、長剣を振りかざそうとしてきた。
俺はその様子を見て少し苦笑いしながら口を開く。
「あ、俺、戦闘職じゃないんで戦いませんよ? …………ってことで二人ともよろしく」
ガギンッ!
「ちゃんと私に合わせてくださいよ?」
「は? 俺に合わせろよ! お前が援護だろうが!」
綺麗な金髪と銀髪をなびかせたラークとグレードが俺の目の前に降り立ち、ランドロフの騎士剣をラークは魔法杖でグレードは鍵爪で防ぐ。
そして、頼もしい背中を俺に見せながら二人は同時に口にした。
「ここはお任せください!!」
「ここは任せろ!!」
俺はこめかみに手を当て【念話】でそう伝えたのだった。
ドガンッ!
ビリビリビリビリ
ビューーーーー!
雷やら台風やらいろいろなものが四万の魔族を襲っている。
普通に異常現象並みの光景に俺も唖然としてしまいそうになった。
「死ねえええぇぇ!」
「イヤアアアアァァァ!」
「アレン様の敵は俺たちの敵だァ!」
「ギャアアアアアア!」
「アレン様を敵にまわしたことを一生悔やませてやるぜ!」
「ウワアアアアアアァァァ!」
しかし、なんというか。
何故、いつも俺が召喚するときはこんなにガラが悪くなるのだろうか。
嬉しい気もするのだが、少し俺の印象が悪くならないか?
「……………………あ、あなた何者なんですか?」
「幻術に決まってんだろ! ババアは黙ってろ!」
ランドロフはその光景を現実だとは思っていないのだろう。
いまだに歪な笑みを浮かべている。
しかし、地面にへたり込んでいるサルバディは別だ。
しっかりと現実と夢の見分けがついているらしく、少し怯えながら聞いてきた。
「こいつらの親みたいなものですよ……………………女王様。あなた自分がしたことを理解してるつもりですか?」
俺は自分の説明を適当に済ませ、改めてサルバディにそう聞く。
すると、サルバディは首を縦に振った。
「ええ。自分の心を満たすためにこんなことを…………」
「凄いですね。この数は…………それほど魔王にご執心だったんですね」
今も地ならしをし続けている反乱軍とそれを蹂躙している魔獣たちを見てそう口にした。
まるで天変地異のような光景に俺は少し苦笑いしながらサルバディを見る。
すると、サルバディは涙を流し、唾をまき散らしながらそう口にする。
「私は何でもするわ! 死ねと言われるなら魔王の顔面を一発殴ってから死ぬ! だから! ディルガイナの国民だけは守ってあげて! お願いします!」
俺の服の裾を握りながら懇願するように、あの冷徹無欠と言い伝えられていた女王がすがるように言ってきた。
魔王の顔面を殴ってから、というフレーズは置いておこう。
しかし、国民を守ってと言った言葉は本心だったように聞こえる。
そもそも、夫婦げんかでここまで大ごとになるものなのか?
まぁ俺も先ほど女性は怖いと身をもって知ったばかりなので少しは理解できるが。
「分かりました。では、あなたは一度、あの人を殴ってきてやってください…………【転送】」
俺はサルバディの綺麗な黒髪の上に手を置き、魔力を込める。
空間魔法の上級魔法である【転送】を使い、俺はサルバディを魔王の部屋へ転送させた。
ここからは大人の問題だろう。
そんなことを考えていると、隣から急に罵声が飛んできた。
そろそろ現実を見始めたのだろう。
「おいガキ! どういうことだこれは! こんなことして生きて帰れると思ってるのか?」
「あ、はい。あなたこそ現実見てくれませんかね?」
俺はそう口にして、もうほぼ決着のついている光景を指さした。
流石に狂戦士は一筋縄ではいかないようだが、五人一組で協力して各個撃破しているようだ。
「ちッ! それもお前を殺せば終わるだろ!」
ランドロフはそう口にしながら二本の鉄の長剣を取り出した。
ランドロフは俺が死ねばこの魔獣たちが消滅するとでも考えているのだろう。
しかし、俺が死んだところでこの光景が激しくなるだけなんですけどね。
とは、怖くて言えないので開けかけた口を閉じる。
だが……………………誰も口にしないがこいつは誰なのだろうか。
みんなはこいつのことを魔王の元息子やら元王子やら言っていたが絶対に違うと俺は直感で理解する。
魔王は悪魔族の上位互換的な種族だと俺は推測している。
そして、先ほどのサルバディに関しては蠅神族であろう。
まぁ普通に蠅の種族とは思えないほどの美貌を持っていたが、その種族もサルバディにとってはコンプレックスかもしれないので口にしないでおこう。
しかし、ランドロフとなると別だ。
何か、まるで俺のトラウマでもある獣のような雰囲気がしてならない。
俺と同じように黒の角と尾が生えているので魔族であるはずなのに。
そんなことを考えていると…………
「クソガアアアアァァ!」
ランドロフは目に怒りの感情を宿らせながら一瞬で遠くはなていてた距離を詰め、長剣を振りかざそうとしてきた。
俺はその様子を見て少し苦笑いしながら口を開く。
「あ、俺、戦闘職じゃないんで戦いませんよ? …………ってことで二人ともよろしく」
ガギンッ!
「ちゃんと私に合わせてくださいよ?」
「は? 俺に合わせろよ! お前が援護だろうが!」
綺麗な金髪と銀髪をなびかせたラークとグレードが俺の目の前に降り立ち、ランドロフの騎士剣をラークは魔法杖でグレードは鍵爪で防ぐ。
そして、頼もしい背中を俺に見せながら二人は同時に口にした。
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「ここは任せろ!!」
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