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因果応報
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「な、なんで逃げたのよ!」
「母上。あれは…………僕が少し本気を出して同レベルの相手です。あそこで戦えば母上に被害が及びます」
ランドロフは絶対に負けることはないと確証している。
しかし、準魔王級であるサルバディに被害が及ぶことは絶対に許されない。
そう考え、一度、偽魔王城に避難してきたのだ。
「しかし、あの魔法は制限型の魔法でしょう。数十分して、戻ってみればもう竜神族は疲労で行動できていないはずです」
この時のランドロフはドラの先程の魔法を【限界解除】だと考えていた。
それはそうだろう。
最初から魔族全体に一段階も弱くする規制がかかっているなんて信じれるはずもなく、その考えにいたるはずもない。
「…………ま、まぁ少しは予定が狂いそうだけど一応大丈夫。本当にあの魔王の顔が恐怖に染まる瞬間が楽しみでしょうがないわ!」
サルバディは歪な口角を上げながらそう言った。
ランドロフもその表情につられてにんまりを口角を上げる。
そして、その二人を祝福するように鋭い三日月が偽魔王城を照らしている。
しかし、そんな、まがい物の運命を否定するような少し高めの声が魔王城に響き渡った。
「まぁその魔王が来ることはないんですけどね」
「「……………………ッ!!」」
ゆったりと玉座に座っていたサルバディとその隣で立って話をしていたランドロフの二人は一瞬にして戦闘態勢に入る。
そこは、流石、準魔王級と魔王級といったところか。
そして、その声の主とは別の声が偽魔王城に響く。
パリンッ!
「なんだぁ? 主の化け物魔力が感じられないぞ? 誘拐されたんじゃなかったのか?」
高そうな彫刻がされたガラス窓を突き破り、低音の声の主が入ってきた。
そして、先ほどの高い声の魔獣の隣に立つ。
そして、金髪の魔獣と銀髪の魔獣が二人、怒りの眼差しを宿しながら言った。
「私はあまり戦闘は好まないんですよ」
「いやぁ。主が誘拐なんぞされたら黙ってみてるわけにもいかねぇんだわ」
その光景に二人は唖然としてしまう。
あの天下の魔王城に侵入者。それも、二人とも人型の魔獣という見たこともない種族であった。
しかし、二人はそんな元女王と元王子を放って声を合わせるようにして言う。
「「主の場所はどこだ」」
「………………ひっ!」
サルバディはその威圧により、腰を抜かしてしまい、玉座にもたれ掛かるように座った。
(どこで!? どこで私は間違えたのかしら!? 絶対に成功する二十年かけた作戦だったのに! なんで!? なんで!?)
サルバディは一人、心の内で今までの行動を見直そうとするも、自分たちの非が見当たらない。
二人はディルガイナの軍政調査も何度も行い、シュミレーションも何度も繰り返し、試行錯誤した。
その一心は魔王の怯えた表情を見るために。
しかし、その作戦が一昨年、ディルガイナに訪れた一人の人間の少年によってすべて覆されるなど誰が想像できるだろうか。
出来るとしたら…………全知なる神だけだ。
「………………さっきからさァ! なんなのまじでェ! ふざけるのもたいがいにしろよ!」
「…………ら、ランドロフ?」
その雰囲気の変わりようにサルバディは驚いたような声を出す。
ランドロフは優しく、サルバディに従順な性格だったが、今はかけ離れている。
バンッ!
「「王子。お下がりを」」
何か違和感を感じたのだろう。
下の階層から二つの物影が急いで上がってきた。
そう。元女王の奴隷人形となった八魔獣の邪蛇族と土竜族がランドロフの前に立ちはだかる。
すると、少しは落ち着きを取り戻したのか、ランドロフは頭を抱えながら了承した。
「ああ。頼む。俺は…………いや、僕はディルガイナを滅ぼしに行く」
「………………え?」
その、ランドロフの真意のこもった態度に流石のサルバディも驚いた。
しかし、ランドロフはその様子に逆にキレる。
「何を驚いてるんですか母上! 最初からこうしておけばよかった! あんな奴らさっさと殺しておけばよかったんだ!」
そう言うとランドロフはサルバディの腕を強引にとる。
サルバディが現状を理解できないままにランドロフは魔法を行使した。
「【テレポート】!」
こうして、二人は魔王城から消え去った。
「母上。あれは…………僕が少し本気を出して同レベルの相手です。あそこで戦えば母上に被害が及びます」
ランドロフは絶対に負けることはないと確証している。
しかし、準魔王級であるサルバディに被害が及ぶことは絶対に許されない。
そう考え、一度、偽魔王城に避難してきたのだ。
「しかし、あの魔法は制限型の魔法でしょう。数十分して、戻ってみればもう竜神族は疲労で行動できていないはずです」
この時のランドロフはドラの先程の魔法を【限界解除】だと考えていた。
それはそうだろう。
最初から魔族全体に一段階も弱くする規制がかかっているなんて信じれるはずもなく、その考えにいたるはずもない。
「…………ま、まぁ少しは予定が狂いそうだけど一応大丈夫。本当にあの魔王の顔が恐怖に染まる瞬間が楽しみでしょうがないわ!」
サルバディは歪な口角を上げながらそう言った。
ランドロフもその表情につられてにんまりを口角を上げる。
そして、その二人を祝福するように鋭い三日月が偽魔王城を照らしている。
しかし、そんな、まがい物の運命を否定するような少し高めの声が魔王城に響き渡った。
「まぁその魔王が来ることはないんですけどね」
「「……………………ッ!!」」
ゆったりと玉座に座っていたサルバディとその隣で立って話をしていたランドロフの二人は一瞬にして戦闘態勢に入る。
そこは、流石、準魔王級と魔王級といったところか。
そして、その声の主とは別の声が偽魔王城に響く。
パリンッ!
「なんだぁ? 主の化け物魔力が感じられないぞ? 誘拐されたんじゃなかったのか?」
高そうな彫刻がされたガラス窓を突き破り、低音の声の主が入ってきた。
そして、先ほどの高い声の魔獣の隣に立つ。
そして、金髪の魔獣と銀髪の魔獣が二人、怒りの眼差しを宿しながら言った。
「私はあまり戦闘は好まないんですよ」
「いやぁ。主が誘拐なんぞされたら黙ってみてるわけにもいかねぇんだわ」
その光景に二人は唖然としてしまう。
あの天下の魔王城に侵入者。それも、二人とも人型の魔獣という見たこともない種族であった。
しかし、二人はそんな元女王と元王子を放って声を合わせるようにして言う。
「「主の場所はどこだ」」
「………………ひっ!」
サルバディはその威圧により、腰を抜かしてしまい、玉座にもたれ掛かるように座った。
(どこで!? どこで私は間違えたのかしら!? 絶対に成功する二十年かけた作戦だったのに! なんで!? なんで!?)
サルバディは一人、心の内で今までの行動を見直そうとするも、自分たちの非が見当たらない。
二人はディルガイナの軍政調査も何度も行い、シュミレーションも何度も繰り返し、試行錯誤した。
その一心は魔王の怯えた表情を見るために。
しかし、その作戦が一昨年、ディルガイナに訪れた一人の人間の少年によってすべて覆されるなど誰が想像できるだろうか。
出来るとしたら…………全知なる神だけだ。
「………………さっきからさァ! なんなのまじでェ! ふざけるのもたいがいにしろよ!」
「…………ら、ランドロフ?」
その雰囲気の変わりようにサルバディは驚いたような声を出す。
ランドロフは優しく、サルバディに従順な性格だったが、今はかけ離れている。
バンッ!
「「王子。お下がりを」」
何か違和感を感じたのだろう。
下の階層から二つの物影が急いで上がってきた。
そう。元女王の奴隷人形となった八魔獣の邪蛇族と土竜族がランドロフの前に立ちはだかる。
すると、少しは落ち着きを取り戻したのか、ランドロフは頭を抱えながら了承した。
「ああ。頼む。俺は…………いや、僕はディルガイナを滅ぼしに行く」
「………………え?」
その、ランドロフの真意のこもった態度に流石のサルバディも驚いた。
しかし、ランドロフはその様子に逆にキレる。
「何を驚いてるんですか母上! 最初からこうしておけばよかった! あんな奴らさっさと殺しておけばよかったんだ!」
そう言うとランドロフはサルバディの腕を強引にとる。
サルバディが現状を理解できないままにランドロフは魔法を行使した。
「【テレポート】!」
こうして、二人は魔王城から消え去った。
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