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秘密裏の計画
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「暇だなぁ…………」
俺は街中を一人歩きながらそう口にする。
俺が餓狼族もとい、喰狼族の長になってから一ヶ月が過ぎようとしていた。
はい。正直言って平和過ぎてつまらないです。
いやぁ分かってるんですよ? 平和は一番だってことくらい。
でも、この二年間、毎日が非日常過ぎてね? 何か物足りないって思っちゃうんですよ。
ランキング戦も今のところ-Aクラスとまでは戦ったが全勝。
ここ最近は俺が召喚魔法を使わなくてもグレーがやる気を出していて、ほぼすべてを一人で終わらしてしまうのだ。
「なんか起きないかなぁ…………」
と俺が一人で意味の分からない苦悩に陥っている時……………………
*************************************
「よし! そろそろ実行しましょうか!」
魔王の元息子である『ランドロフ』と魔王の元妻である『サルバディ』は北に位置する偽りの魔王城にて最後の作戦会議をしていた。
「ふッふッふッ! 流石に魔王もこれで終わりだわ!」
「母上を苦しめた奴なんて僕が殺してやります」
ランドロフとサルバディはにやにやと歪な笑みを浮かべながら机に置かれている巨大な地図を見て言った。
そこには魔大陸の全土の勢力図が書かれている。
そこに視線を置いたままサルバディは自分の後ろにいる魔獣に言った。
「あの残虐の魔王でも、この作戦では絶対に負けるわね。ねぇ? お二人さん」
「「はい。勝利は確実です」」
その言葉を聞くとより一層、サルバディの口角は上がった。
その様子を見て苦笑いしならがらランドロフは口を開く。
「アハハ。母上も酷いお方ですね。まさか…………『毒蛇族』と『土蜥蜴族』を引き込むなんて」
サルバディの後ろには八魔獣である『邪蛇族』と『土竜族』いる。
その目は光を失い、まるで死んでいるかのように見えた。
すると、サルバディは自分の舌で唇を舐めながらにんまりと笑う。
「私の魔法【誘惑】にかかれば余裕よ。あの魔王でも一度は落とせたのだから」
「本当に恐ろしい魔法ですよね。絶対に敵には回したくないです。まぁ母上が僕に敵対することは絶対にないでしょうが」
アハハとランドロフとサルバディは顔を見合わせながら笑う。
サルバディにとってこの作戦は二十年かけた集大成なのだ。
魔王にばれないように秘密裏に計画を立てて、絶対中立とまで言われた魔獣のうち二割を仲間にした。
そう。魔獣だけで二万もの戦力なのだ。
それに対してあの魔王軍は一千といったところだ。
幹部クラスはそれなりに強いとしても、八魔獣の敵ではない。
そして、こちらには全盛期の魔王にも及ぶほど力をつけたランドロフがいる。
負ける要素など、どこにあるのだろうか。
そんなことを考え、ニマニマと笑う二人は、ゆっくりと歩き、バルコニーに出た。
すると、
「「「「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!」」」」
魔王城の下で整列していた二万の魔獣と五万の魔族が二人を見て声を上げた。
その声は大地を揺らし、もしかしたらディルガイナにまで届いてしまうのでは、と思うほどの声量である。
この光景を見て、誰があの魔王を恐れるのだろうか、誰が、あの魔王に負けると考えるのだろうか。
サルバディは片腕を上げ、拡声魔法を使って、自分のもとに集まった同志たちに声をかける。
「とうとう今日がやってきました。あの厄災を討つ日です…………だから! 貴方たちの力を今こそ集結するのです! 魔獣と魔族? そんな境界は関係ありません! 只々あの魔王を討つためという同じ目標をもとに集まった同志として!」
そして、サルバディの弱弱しい声から一変、急に声質が変わり、まるで体の底から力が出るような感覚に陥る。
そのため、ランドロフは耳を閉じた。
これは、【誘惑】の効果だろう。
「貴方たちの勇士が! 貴方たちの行動が! あの厄災を滅ぼしたと歴史に残るのです!」
言い終えたサルバディはにんまりと笑って、南の方、ディルガイナがある方へと指さして、魔法をべっとりと込めた声で吠えた。
「さぁ! 出撃です!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」」」」
こうして、歴史に残るだとか、勇士だとかなんかサルバディは言っていたが、一切、歴史には残らない南北戦争が幕を開けた。
********************
補足説明
魔獣と獣人は魔族でいう準魔王級にならなければ容姿が変わることはないです。
一族はおおよそ一万で構成。
魔獣は十八歳で二段階になります。
獣人は獣の零段階からスタートなので全く関係ないです。
なのでアレンは一万八千の二段階到達者を飛び級させて準魔王級にしたということです。
ちなみに、魔王軍の準魔王級はドラとリーシャだけ。
幹部が三段階で、他の兵は二段階。
そうです。アレンは化け物たちを生み出してしまったのです。
ラークとグレードは魔王と同じ段階ですが、その中でもまた、色々あるのでそれは随時、物語の内容で説明していこうと思います。
まぁ簡単に言えば、
紫電鳥が百体もいればディルガイナの全国民、五十万人を滅ぼすことが出来るということです。
さて、魔王は何か考えているようですが、どうこの状況を打開するのでしょうか?
まぁ結論を言うと、
アレンは本当にやらかしまくっている、ということです。
俺は街中を一人歩きながらそう口にする。
俺が餓狼族もとい、喰狼族の長になってから一ヶ月が過ぎようとしていた。
はい。正直言って平和過ぎてつまらないです。
いやぁ分かってるんですよ? 平和は一番だってことくらい。
でも、この二年間、毎日が非日常過ぎてね? 何か物足りないって思っちゃうんですよ。
ランキング戦も今のところ-Aクラスとまでは戦ったが全勝。
ここ最近は俺が召喚魔法を使わなくてもグレーがやる気を出していて、ほぼすべてを一人で終わらしてしまうのだ。
「なんか起きないかなぁ…………」
と俺が一人で意味の分からない苦悩に陥っている時……………………
*************************************
「よし! そろそろ実行しましょうか!」
魔王の元息子である『ランドロフ』と魔王の元妻である『サルバディ』は北に位置する偽りの魔王城にて最後の作戦会議をしていた。
「ふッふッふッ! 流石に魔王もこれで終わりだわ!」
「母上を苦しめた奴なんて僕が殺してやります」
ランドロフとサルバディはにやにやと歪な笑みを浮かべながら机に置かれている巨大な地図を見て言った。
そこには魔大陸の全土の勢力図が書かれている。
そこに視線を置いたままサルバディは自分の後ろにいる魔獣に言った。
「あの残虐の魔王でも、この作戦では絶対に負けるわね。ねぇ? お二人さん」
「「はい。勝利は確実です」」
その言葉を聞くとより一層、サルバディの口角は上がった。
その様子を見て苦笑いしならがらランドロフは口を開く。
「アハハ。母上も酷いお方ですね。まさか…………『毒蛇族』と『土蜥蜴族』を引き込むなんて」
サルバディの後ろには八魔獣である『邪蛇族』と『土竜族』いる。
その目は光を失い、まるで死んでいるかのように見えた。
すると、サルバディは自分の舌で唇を舐めながらにんまりと笑う。
「私の魔法【誘惑】にかかれば余裕よ。あの魔王でも一度は落とせたのだから」
「本当に恐ろしい魔法ですよね。絶対に敵には回したくないです。まぁ母上が僕に敵対することは絶対にないでしょうが」
アハハとランドロフとサルバディは顔を見合わせながら笑う。
サルバディにとってこの作戦は二十年かけた集大成なのだ。
魔王にばれないように秘密裏に計画を立てて、絶対中立とまで言われた魔獣のうち二割を仲間にした。
そう。魔獣だけで二万もの戦力なのだ。
それに対してあの魔王軍は一千といったところだ。
幹部クラスはそれなりに強いとしても、八魔獣の敵ではない。
そして、こちらには全盛期の魔王にも及ぶほど力をつけたランドロフがいる。
負ける要素など、どこにあるのだろうか。
そんなことを考え、ニマニマと笑う二人は、ゆっくりと歩き、バルコニーに出た。
すると、
「「「「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!」」」」
魔王城の下で整列していた二万の魔獣と五万の魔族が二人を見て声を上げた。
その声は大地を揺らし、もしかしたらディルガイナにまで届いてしまうのでは、と思うほどの声量である。
この光景を見て、誰があの魔王を恐れるのだろうか、誰が、あの魔王に負けると考えるのだろうか。
サルバディは片腕を上げ、拡声魔法を使って、自分のもとに集まった同志たちに声をかける。
「とうとう今日がやってきました。あの厄災を討つ日です…………だから! 貴方たちの力を今こそ集結するのです! 魔獣と魔族? そんな境界は関係ありません! 只々あの魔王を討つためという同じ目標をもとに集まった同志として!」
そして、サルバディの弱弱しい声から一変、急に声質が変わり、まるで体の底から力が出るような感覚に陥る。
そのため、ランドロフは耳を閉じた。
これは、【誘惑】の効果だろう。
「貴方たちの勇士が! 貴方たちの行動が! あの厄災を滅ぼしたと歴史に残るのです!」
言い終えたサルバディはにんまりと笑って、南の方、ディルガイナがある方へと指さして、魔法をべっとりと込めた声で吠えた。
「さぁ! 出撃です!」
「「「「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉ!!」」」」
こうして、歴史に残るだとか、勇士だとかなんかサルバディは言っていたが、一切、歴史には残らない南北戦争が幕を開けた。
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補足説明
魔獣と獣人は魔族でいう準魔王級にならなければ容姿が変わることはないです。
一族はおおよそ一万で構成。
魔獣は十八歳で二段階になります。
獣人は獣の零段階からスタートなので全く関係ないです。
なのでアレンは一万八千の二段階到達者を飛び級させて準魔王級にしたということです。
ちなみに、魔王軍の準魔王級はドラとリーシャだけ。
幹部が三段階で、他の兵は二段階。
そうです。アレンは化け物たちを生み出してしまったのです。
ラークとグレードは魔王と同じ段階ですが、その中でもまた、色々あるのでそれは随時、物語の内容で説明していこうと思います。
まぁ簡単に言えば、
紫電鳥が百体もいればディルガイナの全国民、五十万人を滅ぼすことが出来るということです。
さて、魔王は何か考えているようですが、どうこの状況を打開するのでしょうか?
まぁ結論を言うと、
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