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ランキング初戦
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六時間後――
「よろしくお願いしますね。『今夜の吸血鬼』さん」
「ああ。よろしく。えっと…………そう。ゴブさんとドラさん!」
「そうだ。よろしく」
Dクラスの担任とXクラスの担任が生徒の前で手を交わした。
しかし、そこは対等な立場ではない。
だが、それは一瞬の話である。
『では、生徒の皆さんは待機室に入場してください』
機械音のようなアナウンスの音が鳴り響き、俺たちの目の前の扉が大胆に開く。
「……先生、本当に頭おかしくなったのか? あんな奴らとやるんだったら新入生だけで十分だろ。毎年俺らはCクラスに向けて温存してたじゃねぇか!」
その横で先ほどゴブくんとドラと手を握り合った吸血鬼の先生に向かって一人の生徒が吠えた。
すると、すぐに先生はその男子生徒の口を閉ざす。
そして、その生徒に耳打ちするように小声で何かを言った。
「……………………分かりました」
するとすぐに男子生徒は落ち着きを取り戻し、生徒の集まりの中へと戻っていった。
まぁ何を言ったのかは大体想像できる。
魔王幹部が先生についたから。とかだろう。
「おい。早くしろよ」
「うん」
もう待機室に入ろうとしていたグレーに呼びかけられ俺も小走りで追いかけた。
「じゃあ皆さん。一試合目は『決闘』です。気合入れていきましょう!」
ゴブくんが張りきりながらそう言い、生徒を鼓舞する。
あの後、俺たちが考えた末に、Xクラスの対戦項目は決闘になった。
決闘とは一対一の何でもありの勝負。
訓練場のリングから落とすか、その場で殺すか、棄権させるか。この三つで勝敗がつく。
ゴブくんが言っていたが、殺したところですぐに回復魔法で蘇生されるので心置きなく決闘をしていいとのことだ。
俺たちXクラスが使う訓練場と同じ魔法陣が行使されているのだろう。
一五分経っても勝敗がつかない場合は引き分けとなる。
まぁいわば俺たちXクラスの得意種目だ。
そして、二試合目。Dクラスが出してきた種目は旗取りだ。
訓練場内の旗を時間内に多く所持していた方が勝ち。という明確で簡単なルールだ。
当然、妨害も攻撃もあり。
訓練場内は大森林や住宅街、山脈など、何がステージになるか分からない。
また、旗の場所も自分たちで見つけださなければならなく、出場者の制限人数がない。
簡単にまとめるとXクラスの負け種目である。
「出場者は先鋒、グレー。中堅、サテラ。大将、アレン。その三人でいく」
ドラが淡々と俺たちを見ながら言う姿を見て俺は驚いてしまう。
それはミーナ以外の先輩、二人も一緒のようだ。
「…………え? なんでミーナ先輩じゃなくて俺?」
「ミーナには二試合目の作戦をゴブと一緒に考えてもらう。ミーナはそれでいいな?」
「了解なの」
ドラがそう聞くとミーナは頷き、ゴブくんの方へと向かっていった。
そして、ドラは俺たちを見てため息をつきながら言う。
「はぁ。お前ら…………分かってるよな?」
「「「分かってます!」」」
俺たち三人は元気よく頷きながら声を出した。
二試合目は負ける可能性が高い。
なら、絶対に一試合目は負けてはならない。ドラが言いたいことはそういうことだろう。
俺は一年生で、経験不足なため迷惑をかけてしまうかもしれないため、全力で戦わなければならない。
俺はこっそり拳を握りしめる。
「本当に分かってるのならいいんだが…………」
ドラは俺たちを疑うような目で見ている。
しかし、このXクラスのみんななら絶対に勝てる気がした。
ドラの考えは杞憂になると俺は思う。
「俺、初めてまともにランキング戦するから緊張してきたぜ」
「そうだね。私たち個人戦も参加できなかったから、ちゃんとしたランキング戦は今日が初めてだね」
ということは全員が初めてのランキング戦になるということだ。
先輩たちと初めてを共有できる。
そう思うと俺は少し頬を緩ませてしまう。
『では、先鋒の生徒は魔法陣の上に立ってください』
「じゃあ行ってくる!」
「頑張ってください!」
「頑張ってね!」
グレーは笑顔でこちらに手を振りながら足を進めた。
昨日の死にかけの顔とは大違いだ。
今までまともに出来なかった学園生活のイベントが今年からまともに出来る。とても嬉しいのだろう。
それは二試合目が毎度、負け確の種目でもだ。
そして、グレーが立っている魔法陣が光始め、グレーが転移した。
ちなみにグレーの試合はこの待合室のモニターにリアルタイムで映る。
まるでテレビようだ。
「…………転送されましたか。ドラ。ちゃんと忠告したんでしょうね」
向こうでミーナと話し合いをしていたゴブくんがこちらに戻ってきてそう言った。
ドラはその問いにしっかりと頷く。
「ああ。もちろんだ。ちゃんと言ったぞ」
「ならいいんですが…………」
俺たちは待合室のソファに腰をかけ、モニターに視線を移した。
ゴブくんは勝てると信じているようですぐに作戦を考えに戻っていく。
そうこうしているうちに、モニターに大きな円形のステージとその端と端に立つ二人の生徒が映し出された。
『ハッ! お前、グレーじゃねぇか。覚えてるぜ! 入学式の日に魔力測定で過去最低の値を出した奴だったよな』
最初からグレーの気分を煽るようにDクラスの生徒は口を開く。
蟷螂族だろう。緑色の肌に日本の腕が鋭い鎌になっている。
あれをまともに食らえば首など軽々と飛びそうだ。
何を思ったのかグレーは一瞬頭を抱えた。
そして、顔の前で両手を合わせて、全く申し訳なさそうに言う。
『すまん。俺はお前を知らんわ』
『……………………なッ!』
自分より格下だと思っている敵にそんなこと言われたら腹立たしいにもほどがあるだろう。
蟷螂族はモニター腰でも分かるほど怒りをあらわにしている。
これは決闘だ。Dクラスの中でも精鋭を出してきただろう。
だが、グレーも個人ランキングなら百番台に位置している。
初めてなため分からないが、意外と簡単にグレーが勝てたりしないものなのだろうか。
俺はそんなことを思いながらモニターを見つめる。
『では、先鋒戦を始めます。レディー…………ファイト!』
『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!』
『オラオラオラオラオラ!』
こうして、今年も、いや、今年は今までのカーストを一変させる怒涛のランキング戦が開幕した。
「よろしくお願いしますね。『今夜の吸血鬼』さん」
「ああ。よろしく。えっと…………そう。ゴブさんとドラさん!」
「そうだ。よろしく」
Dクラスの担任とXクラスの担任が生徒の前で手を交わした。
しかし、そこは対等な立場ではない。
だが、それは一瞬の話である。
『では、生徒の皆さんは待機室に入場してください』
機械音のようなアナウンスの音が鳴り響き、俺たちの目の前の扉が大胆に開く。
「……先生、本当に頭おかしくなったのか? あんな奴らとやるんだったら新入生だけで十分だろ。毎年俺らはCクラスに向けて温存してたじゃねぇか!」
その横で先ほどゴブくんとドラと手を握り合った吸血鬼の先生に向かって一人の生徒が吠えた。
すると、すぐに先生はその男子生徒の口を閉ざす。
そして、その生徒に耳打ちするように小声で何かを言った。
「……………………分かりました」
するとすぐに男子生徒は落ち着きを取り戻し、生徒の集まりの中へと戻っていった。
まぁ何を言ったのかは大体想像できる。
魔王幹部が先生についたから。とかだろう。
「おい。早くしろよ」
「うん」
もう待機室に入ろうとしていたグレーに呼びかけられ俺も小走りで追いかけた。
「じゃあ皆さん。一試合目は『決闘』です。気合入れていきましょう!」
ゴブくんが張りきりながらそう言い、生徒を鼓舞する。
あの後、俺たちが考えた末に、Xクラスの対戦項目は決闘になった。
決闘とは一対一の何でもありの勝負。
訓練場のリングから落とすか、その場で殺すか、棄権させるか。この三つで勝敗がつく。
ゴブくんが言っていたが、殺したところですぐに回復魔法で蘇生されるので心置きなく決闘をしていいとのことだ。
俺たちXクラスが使う訓練場と同じ魔法陣が行使されているのだろう。
一五分経っても勝敗がつかない場合は引き分けとなる。
まぁいわば俺たちXクラスの得意種目だ。
そして、二試合目。Dクラスが出してきた種目は旗取りだ。
訓練場内の旗を時間内に多く所持していた方が勝ち。という明確で簡単なルールだ。
当然、妨害も攻撃もあり。
訓練場内は大森林や住宅街、山脈など、何がステージになるか分からない。
また、旗の場所も自分たちで見つけださなければならなく、出場者の制限人数がない。
簡単にまとめるとXクラスの負け種目である。
「出場者は先鋒、グレー。中堅、サテラ。大将、アレン。その三人でいく」
ドラが淡々と俺たちを見ながら言う姿を見て俺は驚いてしまう。
それはミーナ以外の先輩、二人も一緒のようだ。
「…………え? なんでミーナ先輩じゃなくて俺?」
「ミーナには二試合目の作戦をゴブと一緒に考えてもらう。ミーナはそれでいいな?」
「了解なの」
ドラがそう聞くとミーナは頷き、ゴブくんの方へと向かっていった。
そして、ドラは俺たちを見てため息をつきながら言う。
「はぁ。お前ら…………分かってるよな?」
「「「分かってます!」」」
俺たち三人は元気よく頷きながら声を出した。
二試合目は負ける可能性が高い。
なら、絶対に一試合目は負けてはならない。ドラが言いたいことはそういうことだろう。
俺は一年生で、経験不足なため迷惑をかけてしまうかもしれないため、全力で戦わなければならない。
俺はこっそり拳を握りしめる。
「本当に分かってるのならいいんだが…………」
ドラは俺たちを疑うような目で見ている。
しかし、このXクラスのみんななら絶対に勝てる気がした。
ドラの考えは杞憂になると俺は思う。
「俺、初めてまともにランキング戦するから緊張してきたぜ」
「そうだね。私たち個人戦も参加できなかったから、ちゃんとしたランキング戦は今日が初めてだね」
ということは全員が初めてのランキング戦になるということだ。
先輩たちと初めてを共有できる。
そう思うと俺は少し頬を緩ませてしまう。
『では、先鋒の生徒は魔法陣の上に立ってください』
「じゃあ行ってくる!」
「頑張ってください!」
「頑張ってね!」
グレーは笑顔でこちらに手を振りながら足を進めた。
昨日の死にかけの顔とは大違いだ。
今までまともに出来なかった学園生活のイベントが今年からまともに出来る。とても嬉しいのだろう。
それは二試合目が毎度、負け確の種目でもだ。
そして、グレーが立っている魔法陣が光始め、グレーが転移した。
ちなみにグレーの試合はこの待合室のモニターにリアルタイムで映る。
まるでテレビようだ。
「…………転送されましたか。ドラ。ちゃんと忠告したんでしょうね」
向こうでミーナと話し合いをしていたゴブくんがこちらに戻ってきてそう言った。
ドラはその問いにしっかりと頷く。
「ああ。もちろんだ。ちゃんと言ったぞ」
「ならいいんですが…………」
俺たちは待合室のソファに腰をかけ、モニターに視線を移した。
ゴブくんは勝てると信じているようですぐに作戦を考えに戻っていく。
そうこうしているうちに、モニターに大きな円形のステージとその端と端に立つ二人の生徒が映し出された。
『ハッ! お前、グレーじゃねぇか。覚えてるぜ! 入学式の日に魔力測定で過去最低の値を出した奴だったよな』
最初からグレーの気分を煽るようにDクラスの生徒は口を開く。
蟷螂族だろう。緑色の肌に日本の腕が鋭い鎌になっている。
あれをまともに食らえば首など軽々と飛びそうだ。
何を思ったのかグレーは一瞬頭を抱えた。
そして、顔の前で両手を合わせて、全く申し訳なさそうに言う。
『すまん。俺はお前を知らんわ』
『……………………なッ!』
自分より格下だと思っている敵にそんなこと言われたら腹立たしいにもほどがあるだろう。
蟷螂族はモニター腰でも分かるほど怒りをあらわにしている。
これは決闘だ。Dクラスの中でも精鋭を出してきただろう。
だが、グレーも個人ランキングなら百番台に位置している。
初めてなため分からないが、意外と簡単にグレーが勝てたりしないものなのだろうか。
俺はそんなことを思いながらモニターを見つめる。
『では、先鋒戦を始めます。レディー…………ファイト!』
『おおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!』
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