【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方

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ランキングとは

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「おはようございます」

 俺は魔王城からそのまま学校の教室に【テレポート】した。
 もう、学校に来ていた三人の先輩に挨拶をする。

「「…………おはよう」」
「…………おはようなの」

 三人とも少し憂鬱な表情で返してきた。
 昨日とは全く違うこの空気に俺は少し戸惑ってしまう。
 
 そういえば昨日の魔王城見学は三人とも満足できたようで、日が落ちる前にゴブくんが家に帰したらしい。
 なのでそれとは関係がないだろう。

「…………どうしたんですか?」

 俺が恐る恐る聞いてみるとグレーが机に顔をつけてだらだらしながら口を開けた。

「…………今年もクラス対抗戦が始まるんだよ」

 それはそれはあの脳筋…………おっと失礼。
 あの元気にふるまっているグレーの言葉とは思えないほど弱弱しかった。
 
 女性陣に関してはグレーの言葉が聞こえないように耳まで押さえるほどの始末だ。

 その先輩たちの様子とは裏腹に俺は頬が緩みそうになる。

 だってクラス対抗戦だよ? なんか楽しそうじゃん。

 俺は心の中でそんなことを思いながら空いているグレーの隣の席に座りグレーに質問する。

「なんでそんな嫌そうな表情してるんですか?」

 するとグレーではなく、サテラとミーナからその答えが返ってきた。

「このクラスはね、ほら、人数少ないでしょ? だからいっつもぼこぼこにやられるのよ」
「そうなの。個人が強くでも何百人と束になって来られたら無理なの」

 まぁあの時ホールにいた新入生は山ほどいた。
 それに比べてこのXクラスの生徒は俺を合わせて四人。
 今までまともな戦いにならなかったのだろう。

「あ、そういえばまだアレンにはこの行事の説明してなかったな。まぁ簡単に言うと…………」

 普通ならクラスの担当の教師が入学初日に教えるらしいのだが、Xクラスにかんしては教師さえいないため、俺は今日初めてその存在を知った。


 グレーの話をまとめると、

 四月から二月の十一か月間、クラス対抗戦が行われるらしい。
 まぁ年によって違うため日程については詳しいことは知らされていないが、何十回も他クラスと戦うことになるらしい。

 また、その対抗戦の結果を含めこの学校、いや学園では二つランキング付けされる。

 一つ目は個人ランキング。

 先ほど先輩たちのランキングを見させてもらった。
 グレーが一二五位。サテラが三二一位。ミーナが七〇八位だった。
 ちなみに俺はだいたい二万位。
 新入生だからしょうがないにしても先輩たちとの差に泣きそうになるね。

 そして二つ目はクラスのランキング。

 この学園にはSからGまでのクラスと、異端クラスのXクラスを含めた八クラスで構成されている。
 また、その中でもCクラスやDクラスなどは人数も多いためクラス内でもクラス分けされている。

 当然Xクラスはその十を超えるクラスの中でもランキングはいつもビリらしい。

 だから三人とも憂鬱になっていたのだ。

「じゃあ今日から特訓しましょうよ!」

 俺は気分転換させるように三人に言う。
 しかし、三人とも去年までのひどい経験があるのか、反応が薄い。

「まぁやるだけやってみるか」
「個人ランキングも維持したいしね」
「努力あるのみなの」

 それでも三人とも死んだ顔から少しだけまともな表情になった。
 なので俺は追い打ちをかけるように叫んだ。

「目指せクラスランキング一位!」
「調子に乗るな」
「…………痛っ」

 グレーが俺の頭を軽く叩いてくる。
 そしてグレーはそのまま教室を出ていった。

「私たちはテレポートで行くわよ」
「…………あ、はい」

 急に手を握ってくるサテラに俺は少し動揺しながらも頷く。

 なんか俺、お姉さんタイプと接すること多くない? すごいドキドキするんですけど?
 まぁ健全な男の子ならしょうがないよね。

 しかし、この時の俺は気づいていなかった。
 俺は異常なほど他の生徒と比べ年下であることを。
 そして、俺より年下がいるはずもないということに。

 そんなこと一切思っていないであろうサテラがミーナの手も握り魔法を行使した。

「【テレポート】!」

 その声が発せられた瞬間、目に映っていた教室が歪む。
 少しゴブくんにドライすぎたかな、などと反省しながら俺は目をつむる。
 そして視界が真っ黒に染まり光を失った。

 あ、そういえば朝ご飯食いそびれてるわ。
 うん。自業自得だね。
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