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ガチで?

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「まさか、そんなにも警戒されているとは…………」

 ラークは頭をかき苦笑いをしながらそう口にする。
 しかし、魔王はそんな状態のラークはただただ睨みつけていた。
 
「当たり前だろ! お前らはいつも魔族を殺すことしか能にない輩だ! しかもそれはお前ら八魔獣が仕向けてるんだろうが!」

 これは本当の殺気。マオウの奥底に眠っていた本性という方が正しいだろうか。
 暖かい赤色の目は今や血の色になっており、もし俺がその殺気を受けていたのならば今にでも逃げだすだろう。
 しかし、ラークは魔王に向かって深々と頭を下げた。

「昔の私はそうでした。いや、今日の朝までですね。でも今は違います。本心でアレン様の力になりたいと考えております」
「嘘をつくな! 神魔獣に進化したからといって早速喧嘩売りに来たんだろうが!」

 ラークはどうしようかと、試行錯誤しながら頭を抱えているが、魔王は今にでもすぐに戦闘が出来る用意をしている。
 そこまで劣悪な関係だとは思っていなかったため俺はどうしていいか分からなくなってしまい、ただ棒立ちしてみていることしか出来なかった。

 するとラークが腹をくくったような表情で口を開く。

「……もし、私が反旗を起こそうと思ったとしても、私はアレン様の拘束力で行動することは出来ません」
「そんな言い訳聞き……………………は? 何でアレンが関係するんだよ」
「それは主従契約を交わしているからです」

 淡々と事実を口にしたラークを見て魔王は鼻で笑った。

「そんな目に見えた嘘をつくなんぞ、八魔獣も落ちぶれ――」
「父さん。本当だよ」

 勘違いをしている魔王の言葉を遮り俺はそう言った。
 すると魔王は同情の目を俺に向けてくる。

「アレンはまだ若い。騙されることだってあるということを学べ」

 少し自分に言い聞かせているような気もするが魔王はうんうんと一人で頷いていた。
 ラークはラークで俺の方を見て助けを求めるような視線を送ってくる。
 俺は【インベントリ】を開き、先ほどラークからもらったものを魔王に見せながら言う。

「これがその証のようなものらしいよ」
「そんな石ころ………………………………ガチで?」

 最初は笑ってみていたものの魔王は二度見してラークに聞く。
 ラークは少しホッとして口にする。

「マジです」

 そして魔王室に何やら重い空気が漂う。
 それは何か溜めているようにも思えて…………

「はああああああああぁぁぁぁ⁉」

 俺の予想通りだったようだ。
 魔王は今までで一番大きい声を出して叫んだ。

「おい紫電…………今は神電鳥デックスか。なんでこんなものをアレンに預けた?」
「ねぇ父さん。よく分からないけど。それってそんなに凄いものなの?」

 すると表情を強張らせたまま魔王は頷く。

「これがあれば魔獣の一角。何万もの鳥類がアレンの手下ってことになる」
「アハハ。冗談を」

 俺が棒読みをしながら笑うと二人が真剣な表情を俺に向けて言った。

「ガチだ」
「ガチです」
「……………………」

 今日は驚いて叫ぶ人をよく見る気がする。
 今から俺もその一人になるのだが。

「ええええええぇぇ⁉」

 はい。最弱テイマーの俺は仲間が一万人以上増えたのでした。
 めでたし、めでたし。
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