23 / 142
二三話 災難続きの初日
しおりを挟む
「では、アレン様。またいつか」
軽く頭を下げたラークは紫電鳥の群れと共にこの訓練場から去っていた。
そして、後ろを振り返ると元の姿に戻っていたグレーとサテラ、ミーナが怯えるように俺を見ている。
「私…………人より何千倍も才能あったから自惚れてたかも」
「俺もだ。化け物の上にも化け物っているんだ」
「やっぱり…………私は最初から規格外なのが来たって気づいてたの」
少し何かこそばゆい気持ちになる。
そんなことを考えていると、
「…………何事だ!」
大声を上げながら俺たちの前に大柄な男が転移してきた。
特徴的な金髪に少し強面でこの身長。
一度だけしか会ったことはないが記憶に残っている。
この男は魔王城の護衛長。『カルロス・サーデン』だ。
ちなみに俺が人間であるということを知っているが、人間だからといって態度を変えない、まぁ魔王の息子というのもあるかもしれないが俺を魔族として認識してくれている方だ。
カルロスは転移した後、俺に気づかず、先輩たちの方を確認した。
そして顔を押さえながらため息を漏らす。
「はぁ。またお前らか。何度魔力を押さえろと言ったら分かるんだ。しかも今日は今までで一番危なかったぞ」
どうも、カルロスと先輩たちは顔見知りのようだ。
カルロスはそう怒り交じりに言い捨てた。
グレーたちは頭をかきながら弁解する。
「今回はマジで俺じゃないっす」
「私があれほどの魔力を出す馬鹿だとでも?」
「私は一度、注意されれば二度としないの」
しかし、カルロスはその言葉に聞く耳を一切持たない。
「お前らの言い訳は聞き飽きた。正直なことを言ったらげんこつ百発で済ませやろう」
「百発とか普通に多いわ!」」
ボケだと思ったのだろう。
グレーが笑いながらカルロスにツッコミをいれたが、カルロスの方は不機嫌そうな表情を浮かべ、口を開ける。
「私は本気で言ったつもりなのだが? それと今の発言。大人をなめているな? 普通ならげんこつ千発でもおかしくない状況だが、私はとても優しい。九九九発にしておいてやろう」
「「「…………」」」
先輩たちは俺のあの状況を見た時よりも怯えながら後ろに後ずさっている。
三人はカルロスではなく俺に助けを求めるような視線を送ってきた。
なので、俺は恐る恐るカルロスに声をかける。
「あの…………多分、俺が原因かと」
すると反射的にカルロスが後ろを振り返った。
そして俺を認識した途端、急に膝を折り頭をつけて口にした。
「まさか王子がXクラスにいるとは…………気づかず申し訳ございませんでした! 王子!」
「「「……………………王子?」」」
その様子を見てまた先輩たちは唖然とする。
「はぁ。カルロスさん。外で王子はないんじゃないですか?」
俺はため息交じりにそう言葉を返した。
すると身を縮めたカルロスがまた深々と頭を下げる。
こうなれば話が進まなくなるので俺から話を提示する。
「一応聞きますけど、なんでカルロスさんが学校に?」
「巨大な魔力反応を感知したためです。いつもなら部下を送る程度でいいのですが、今回はあまりにも巨大だったため異常事態かと思い私が参りました」
俺はこめかみを押さえながら考える。
もう、この魔力は魔王も感知しているだろう。
別にラークたちのことは帰ってから話せばいい。
しかし、俺が王子であるということはだめだ。
流石にその話題が広まればビルべニアまですぐに到達する。
そうなれば戦争が悪化しかねない。そう、ゴブくんが言っていた。
「ここは大丈夫だから、もう帰ってください」
「分かりました。学校生活、楽しんでくださいね。【テレポート】!」
(お前のせいで、もう俺の青春は終わりそうだよ!)
俺はそんなことを心の中で毒づく。
カルロスは笑顔のまま少し頭を下げ、その場から姿を消した。
「あの……王子って…………」
俺の想定通り、グレーは恐る恐る聞いてくる。
それはそうだろう。
もし、俺が直系の王子なのであれば、戦闘訓練とはいえ、何度も殺しているのだ。通常なら罪になってもおかしくない。
「お腹すきましたね。少し昼食にしませんか?」
俺が無理矢理、話を逸らすように腹のあたりを押さえながら言う。
「…………ああ」
「分かりました」
「分かったの」
三人はゆっくりと首を縦に振ったのだった。
さて、この深い深い溝をどうやって埋めろというのだろうか。
初日から本当に災難続きだ。
軽く頭を下げたラークは紫電鳥の群れと共にこの訓練場から去っていた。
そして、後ろを振り返ると元の姿に戻っていたグレーとサテラ、ミーナが怯えるように俺を見ている。
「私…………人より何千倍も才能あったから自惚れてたかも」
「俺もだ。化け物の上にも化け物っているんだ」
「やっぱり…………私は最初から規格外なのが来たって気づいてたの」
少し何かこそばゆい気持ちになる。
そんなことを考えていると、
「…………何事だ!」
大声を上げながら俺たちの前に大柄な男が転移してきた。
特徴的な金髪に少し強面でこの身長。
一度だけしか会ったことはないが記憶に残っている。
この男は魔王城の護衛長。『カルロス・サーデン』だ。
ちなみに俺が人間であるということを知っているが、人間だからといって態度を変えない、まぁ魔王の息子というのもあるかもしれないが俺を魔族として認識してくれている方だ。
カルロスは転移した後、俺に気づかず、先輩たちの方を確認した。
そして顔を押さえながらため息を漏らす。
「はぁ。またお前らか。何度魔力を押さえろと言ったら分かるんだ。しかも今日は今までで一番危なかったぞ」
どうも、カルロスと先輩たちは顔見知りのようだ。
カルロスはそう怒り交じりに言い捨てた。
グレーたちは頭をかきながら弁解する。
「今回はマジで俺じゃないっす」
「私があれほどの魔力を出す馬鹿だとでも?」
「私は一度、注意されれば二度としないの」
しかし、カルロスはその言葉に聞く耳を一切持たない。
「お前らの言い訳は聞き飽きた。正直なことを言ったらげんこつ百発で済ませやろう」
「百発とか普通に多いわ!」」
ボケだと思ったのだろう。
グレーが笑いながらカルロスにツッコミをいれたが、カルロスの方は不機嫌そうな表情を浮かべ、口を開ける。
「私は本気で言ったつもりなのだが? それと今の発言。大人をなめているな? 普通ならげんこつ千発でもおかしくない状況だが、私はとても優しい。九九九発にしておいてやろう」
「「「…………」」」
先輩たちは俺のあの状況を見た時よりも怯えながら後ろに後ずさっている。
三人はカルロスではなく俺に助けを求めるような視線を送ってきた。
なので、俺は恐る恐るカルロスに声をかける。
「あの…………多分、俺が原因かと」
すると反射的にカルロスが後ろを振り返った。
そして俺を認識した途端、急に膝を折り頭をつけて口にした。
「まさか王子がXクラスにいるとは…………気づかず申し訳ございませんでした! 王子!」
「「「……………………王子?」」」
その様子を見てまた先輩たちは唖然とする。
「はぁ。カルロスさん。外で王子はないんじゃないですか?」
俺はため息交じりにそう言葉を返した。
すると身を縮めたカルロスがまた深々と頭を下げる。
こうなれば話が進まなくなるので俺から話を提示する。
「一応聞きますけど、なんでカルロスさんが学校に?」
「巨大な魔力反応を感知したためです。いつもなら部下を送る程度でいいのですが、今回はあまりにも巨大だったため異常事態かと思い私が参りました」
俺はこめかみを押さえながら考える。
もう、この魔力は魔王も感知しているだろう。
別にラークたちのことは帰ってから話せばいい。
しかし、俺が王子であるということはだめだ。
流石にその話題が広まればビルべニアまですぐに到達する。
そうなれば戦争が悪化しかねない。そう、ゴブくんが言っていた。
「ここは大丈夫だから、もう帰ってください」
「分かりました。学校生活、楽しんでくださいね。【テレポート】!」
(お前のせいで、もう俺の青春は終わりそうだよ!)
俺はそんなことを心の中で毒づく。
カルロスは笑顔のまま少し頭を下げ、その場から姿を消した。
「あの……王子って…………」
俺の想定通り、グレーは恐る恐る聞いてくる。
それはそうだろう。
もし、俺が直系の王子なのであれば、戦闘訓練とはいえ、何度も殺しているのだ。通常なら罪になってもおかしくない。
「お腹すきましたね。少し昼食にしませんか?」
俺が無理矢理、話を逸らすように腹のあたりを押さえながら言う。
「…………ああ」
「分かりました」
「分かったの」
三人はゆっくりと首を縦に振ったのだった。
さて、この深い深い溝をどうやって埋めろというのだろうか。
初日から本当に災難続きだ。
62
あなたにおすすめの小説
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる