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十三話 学校へ行こう
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「どうだ? 気に入ったか?」
「うん。ありがとう」
俺は鏡に映る人間を見ながらそう答える。
目の前には学校の制服を着た魔王とそっくりな漆黒の角と赤い目が特徴な世界一イケメンな人間がいます。
そうです。俺です。
ちょっと肉体改造しちゃいました。
そんな俺に見惚れている俺を放って、魔王は感慨深そうに俺をまじまじと眺めながら言う。
「もう、アレンがここに来て一年になるのかぁ。俺の息子も大きくなったもんだ」
「本当にあの時の魔王には感謝してるよ」
俺は一年前、この魔王城にドラとゴブくんの三人で乗り込んで色々あり、俺は魔王の息子になった。
嘘みたいな話だが実際このように魔族の王である魔王と気軽に話しているのが現実なのだから。
ちなみに俺が人間だと知っているのは魔王とドラとゴブくん、それと影の蝙蝠族などの王宮執事だけだ。
「感謝してるなら俺のこと…………父さんって言ってもいいんだぞ?」
魔王のくせにもじもじしながら照れて言う魔王に俺は少し笑いながら、
「それは実の子供に言ってもらってよ」
「おい。その話はタブーで…………頼む」
魔王には正式な実の息子が存在する。
それこそ俺と同い年ぐらいだ。
だが、魔王は十年前ほど配偶者との少しの亀裂で別居。そして離婚になるという前代未聞の事態が起きた。
人間界では東の大陸は魔王が全て統治しているという話になっているが実際は違う。
その東の魔大陸ディルガイナは今、南北で勢力が隔たれている。
南は魔王が統治する地『ディルガイナ』
北は魔王の実の息子を王とした『ビルべニア』
本当にひどい親子喧嘩だと思う。
トンッ
「おはよぉ。アレン」
「あ、おはよう! リーシャ」
天井から降りてきた元『影の蝙蝠族』、今は『暗黒蝶』のリーシャだ。
コウモリのような生々しい翼はまるで妖精の羽のように透明度が増した漆黒の羽になっている。
また容姿も魔族の中では美しい方だったが、進化したことでずば抜けて美しくなった。
魔王城内から出ないため、そこまで広まっていないものの、城内ではファンクラブのようなものが出来るほどだ。
リーシャは俺に近づいてきて上から下まで俺の姿をじろっと見る。
そしてにんまり笑っていながら。
「どうしたのぉ? そんなかっこいい服着ちゃってぇ。もしかして、私とデートしたいとかぁ? それなら夜限定で――」
「今日は学校の入学式なんだよ。魔王の勧めで俺も学校に行かないとな。って話になっちゃって」
一年もすればリーシャのからかいかにはなれてくる。
もう、動揺なんてすることはない。
……………………多分。
そんなことを考えているとリーシャは不思議そうな顔をして魔王に聞く。
「アレンが学校なんて行く必要あるのぉ? 同級生がかわいそうじゃなぁい?」
俺だってこの一年何もしてこなかったわけではない。
まぁ人間ということを知られないために魔王城の外にはめったに出ることは出来なかった。
だが、その分俺は力をつけることにした。
魔王に正確に測ってもらうと俺の魔力量は二段階目の魔族と同等レベルらしい。
ついでにこの場で説明しておこう。
魔族には段階がある。
まずは『零段階』。これは魔族ではなく魔物に分類される。
次に『一段階』。これはまだ魔物っぽさが残っている。『緑人族などがそうだ。
そして『二段階』。ここからは少し魔族という印象が強くなる。
最後に『三段階』。このレベルになると魔王幹部のレベルになる。蝙蝠族や龍人族などが当てはまる。
これが通常、伝えられている進化段階というものだ。
しかし、本当は違う。
三段階の上には『準魔王級』。そして最終段階が『魔王級』。
ちなみに、竜神族と暗黒蝶などは準魔王級だ。
そして気になっているであろう俺の特異体質。
残念だが結局、宮廷魔導士に診せても分からなかった。
しかし、一つだけ分かったことがある。
俺と契約した魔族か魔物で俺が名前を付けると一段階進化するということだ。
試しにどうしても俺と契約したいと言っていたリーシャと契約すると三段階から準魔王級にへと進化した。
その時はみんなでおおいに喜んだ。一人娘を取られたみたいな表情をしていた魔王を除いて。
また、魔王の許可をもらいドラとも正式に契約を交わした。
ドラの場合、リーシャの時とは違い、一瞬で許可がもらえた。
その時のドラの顔は思い出すだけで可哀想になる。
うん。ご愁傷さまです。本当に。
結果、俺と契約している魔族は、ゴブくんとドラ、リーシャの三人となったのだ。
「お。そろそろ時間だな。絶対にクラスメイトと仲良くするんだぞ? ちゃんと定時には帰ってくるんだぞ? 教師に怒られるようなことするんじゃないぞ?」
一個一個まるで昨日考えていたことを思い出しながら、指で数えながら言った。
俺とリーシャは笑いながらその魔王の様子を見る。
「お母さんか! そんなに心配しなくても疑似魔法で人間だとは誰も分からないよ」
「だけどな…………」
「…………行ってきます。父さん」
「……………………えッ?」
「【テレポート】!」
俺は照れるのを隠すようにすぐさま半年かけて会得した空間魔法の最上級魔法を行使する。
魔王ともあろう魔族が嬉しさで口を開けて涙目になっているのが少しおかしくて俺も最後は笑いながら目を閉じる。
そして視界から光が失った。
俺は思う。
厚かましいような態度をとっているが俺は本当はその好意がとても嬉しいのだ。
俺が一族から追放されたショックで道を外していないのもここにいる魔族たちのおかげだ。
本当に感謝しきれないほどの恩をもらった。
だから、いつか、俺が大人になった時にはその恩を倍で返せるような人間になりたいと改めて思った。
「うん。ありがとう」
俺は鏡に映る人間を見ながらそう答える。
目の前には学校の制服を着た魔王とそっくりな漆黒の角と赤い目が特徴な世界一イケメンな人間がいます。
そうです。俺です。
ちょっと肉体改造しちゃいました。
そんな俺に見惚れている俺を放って、魔王は感慨深そうに俺をまじまじと眺めながら言う。
「もう、アレンがここに来て一年になるのかぁ。俺の息子も大きくなったもんだ」
「本当にあの時の魔王には感謝してるよ」
俺は一年前、この魔王城にドラとゴブくんの三人で乗り込んで色々あり、俺は魔王の息子になった。
嘘みたいな話だが実際このように魔族の王である魔王と気軽に話しているのが現実なのだから。
ちなみに俺が人間だと知っているのは魔王とドラとゴブくん、それと影の蝙蝠族などの王宮執事だけだ。
「感謝してるなら俺のこと…………父さんって言ってもいいんだぞ?」
魔王のくせにもじもじしながら照れて言う魔王に俺は少し笑いながら、
「それは実の子供に言ってもらってよ」
「おい。その話はタブーで…………頼む」
魔王には正式な実の息子が存在する。
それこそ俺と同い年ぐらいだ。
だが、魔王は十年前ほど配偶者との少しの亀裂で別居。そして離婚になるという前代未聞の事態が起きた。
人間界では東の大陸は魔王が全て統治しているという話になっているが実際は違う。
その東の魔大陸ディルガイナは今、南北で勢力が隔たれている。
南は魔王が統治する地『ディルガイナ』
北は魔王の実の息子を王とした『ビルべニア』
本当にひどい親子喧嘩だと思う。
トンッ
「おはよぉ。アレン」
「あ、おはよう! リーシャ」
天井から降りてきた元『影の蝙蝠族』、今は『暗黒蝶』のリーシャだ。
コウモリのような生々しい翼はまるで妖精の羽のように透明度が増した漆黒の羽になっている。
また容姿も魔族の中では美しい方だったが、進化したことでずば抜けて美しくなった。
魔王城内から出ないため、そこまで広まっていないものの、城内ではファンクラブのようなものが出来るほどだ。
リーシャは俺に近づいてきて上から下まで俺の姿をじろっと見る。
そしてにんまり笑っていながら。
「どうしたのぉ? そんなかっこいい服着ちゃってぇ。もしかして、私とデートしたいとかぁ? それなら夜限定で――」
「今日は学校の入学式なんだよ。魔王の勧めで俺も学校に行かないとな。って話になっちゃって」
一年もすればリーシャのからかいかにはなれてくる。
もう、動揺なんてすることはない。
……………………多分。
そんなことを考えているとリーシャは不思議そうな顔をして魔王に聞く。
「アレンが学校なんて行く必要あるのぉ? 同級生がかわいそうじゃなぁい?」
俺だってこの一年何もしてこなかったわけではない。
まぁ人間ということを知られないために魔王城の外にはめったに出ることは出来なかった。
だが、その分俺は力をつけることにした。
魔王に正確に測ってもらうと俺の魔力量は二段階目の魔族と同等レベルらしい。
ついでにこの場で説明しておこう。
魔族には段階がある。
まずは『零段階』。これは魔族ではなく魔物に分類される。
次に『一段階』。これはまだ魔物っぽさが残っている。『緑人族などがそうだ。
そして『二段階』。ここからは少し魔族という印象が強くなる。
最後に『三段階』。このレベルになると魔王幹部のレベルになる。蝙蝠族や龍人族などが当てはまる。
これが通常、伝えられている進化段階というものだ。
しかし、本当は違う。
三段階の上には『準魔王級』。そして最終段階が『魔王級』。
ちなみに、竜神族と暗黒蝶などは準魔王級だ。
そして気になっているであろう俺の特異体質。
残念だが結局、宮廷魔導士に診せても分からなかった。
しかし、一つだけ分かったことがある。
俺と契約した魔族か魔物で俺が名前を付けると一段階進化するということだ。
試しにどうしても俺と契約したいと言っていたリーシャと契約すると三段階から準魔王級にへと進化した。
その時はみんなでおおいに喜んだ。一人娘を取られたみたいな表情をしていた魔王を除いて。
また、魔王の許可をもらいドラとも正式に契約を交わした。
ドラの場合、リーシャの時とは違い、一瞬で許可がもらえた。
その時のドラの顔は思い出すだけで可哀想になる。
うん。ご愁傷さまです。本当に。
結果、俺と契約している魔族は、ゴブくんとドラ、リーシャの三人となったのだ。
「お。そろそろ時間だな。絶対にクラスメイトと仲良くするんだぞ? ちゃんと定時には帰ってくるんだぞ? 教師に怒られるようなことするんじゃないぞ?」
一個一個まるで昨日考えていたことを思い出しながら、指で数えながら言った。
俺とリーシャは笑いながらその魔王の様子を見る。
「お母さんか! そんなに心配しなくても疑似魔法で人間だとは誰も分からないよ」
「だけどな…………」
「…………行ってきます。父さん」
「……………………えッ?」
「【テレポート】!」
俺は照れるのを隠すようにすぐさま半年かけて会得した空間魔法の最上級魔法を行使する。
魔王ともあろう魔族が嬉しさで口を開けて涙目になっているのが少しおかしくて俺も最後は笑いながら目を閉じる。
そして視界から光が失った。
俺は思う。
厚かましいような態度をとっているが俺は本当はその好意がとても嬉しいのだ。
俺が一族から追放されたショックで道を外していないのもここにいる魔族たちのおかげだ。
本当に感謝しきれないほどの恩をもらった。
だから、いつか、俺が大人になった時にはその恩を倍で返せるような人間になりたいと改めて思った。
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