追放された【助言士】のギルド経営 不遇素質持ちに助言したら、化物だらけの最強ギルドになってました

19章 原点回帰

252話 団結

「大将！　あんたが思うような逃げ腰なやつこの場にはいないぞ！」
「で、でも……」

　ローレンは豪快に笑いながら告げる。
　そう言ってくれるのはもちろん嬉しい。僕だってローレンを信じている。
　でも、全員が僕を信じて戦ってくれるなんてことは……

「大将！　俺たちの目を見ろ！」
「……ッ!!」

　ローレンの叫び声に反射的に視線を前に向ける。
　どうやら知らず知らずのうちに視線が落ちていたようだ。自分に自信がなかったからだろう。
　僕の視線の先には誰も視線を落としている者はいなかった。
　全員が力強い視線を僕に向けている。

「そうよ、ロイド！　私たちはロイドにめちゃんこ感謝してるんだよ！」

　ローレンに続き、ミントははにかみながら口にする。

「そうですよロイドさん！　僕に魔導拳闘士の道を示してくれたのはあなたです！」
「そうやんな。僕もこの魔式拳銃には本当に助けられてる。隊員たちだってロイドさんの指導にいつも感謝してはるんやで？　そうやな？　お前ら？」
「「「はい！」」」

　マルクスにオルタナ、そして緑山の頂の隊員たちは強く頷いた。
　そんな彼らに続いて次はガジルたちが声を上げる。

「俺たちもですよロイド様！　最近、スラム街に活気が戻ってきてるんです！」
「わ、私も毎日みんなの役に立てて嬉しいです。ロイド様がいなければもっと辛い日々を送ってたと思います」

　ガジルとミクの言葉に賛同するように後ろにいるスラムの住人たちも首を縦に振った。
　ニックやエルナ、オーガスたちも同じ意見のようだ。誰もが心強い視線を向けてくれる。　

「ロイド様。ここに集まった者たちはみんなロイド様に助けられてるんです。そりゃあ危険のある作戦かもしれません。でも皆、ロイド様だからって協力しようとしてくれてるんですよ」

　ラクシアはにかっと、白い歯を見せるように笑う。
　そうだ、僕は未来を見ると決めた。そしてここにいるものは皆同じ方向を見ている。

「ロイドさん。俺たちはあなたに心配してもらいたいんじゃない。引っ張ってもらいたいんです。いつもの破天荒なロイドさんを見してくださいよ」

　ネロは微笑を浮かべながら言った。

　僕はどこか心配だったのかもしれない。
　僕の能力に皆が惹かれているのであって、僕にはあまり興味がないのではないかと。
　だが、その不安はこの瞬間で晴れた。

「ロイド様。私たちでノワールなんてぶっ飛ばしてやりましょう！」
「ふふっ、そうだね！　僕たちの全力をぶつけてやろう！」

　エリスたちの言葉に応えるように僕も頷く。

　駄目だな。トップの僕がこんなに弱気じゃ……
　僕はもうリーシアの道を進まない。僕は僕らしく全力でやるんだ。

　僕は席から立ち上がり、力強く叫ぶ。

「どうか皆さん！　改めて僕に力を貸してください！」

　その瞬間、この会場に静寂が訪れる。
　しかしそれもつかの間、会場が爆発したかのように叫び声で包まれた。

「「「おおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ！」」」

　ここから始まるんだ――夢幻想リュネールの戦いが。