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19章 原点回帰
251話 会議
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とある男は家までの帰宅中に、煌々と輝く建物が目に入った。
もう日付も変わろうとしている。いつもならこの時間帯は暗闇に包まれている時間帯だ。
男は興味本位でその場所へと向かった。
「おいおい、こんな夜遅くに何の騒ぎだ?」
その場に着くと、自分と同じように多くの野次馬がいた。
そして、目の前にある施設を見て驚く。
この異様な大きさに、大きな門構え、更にはとても頑丈そうな施設。
「冒険者ギルドじゃないか。何でこんな夜遅くに明かりがついてるんだよ」
「お前知らねぇのかよ。今この中で夢幻想の緊急会議が行われてるんだ」
「夢幻想? ほんとかよ」
「本当さ。さっき大量の冒険者が入っていったんだ」
騒ぎを聞きつけ、近くの住民たちも集まっていた。
冒険者ギルドの職員は、ギルドの入り口に立ち、住民たちに説明を行っている。
「何が起きてるんだ?」
「そんなの分かんないよ。職員も緊急の会議です、としか言わないし……でも、一つ分かることがあるんだ」
「分かること?」
男は頬を緩ませながら冒険者ギルドに視線を戻して言った。
「うん、多分いいことが起きるんだよ。だってさ、冒険者たちの目が凄かったんだ……!」
「では、これから第一回。夢幻想の緊急会議を始めます」
僕はこの会場を埋め尽くすほどの冒険者に向かって口を開く。
ここは冒険者ギルドの訓練場。千人以上収集できるという、かなり大きな訓練場だ。
そんな訓練場が窮屈になるほど。ということは千人近くの人たちが集まってくれているということになる。
「僕は夢幻想の団長を務めさせてもらっているロイドです。雲隠の極月のギルド長もしています。以後お見知りおきを」
この場には夢幻想に所属する多くの冒険者が集まっていた。
雲隠の極月 8名 ロイド、エリス、ネロ、他5名(ニック、エルナなどを除く)
双翼の鍛冶 5名 ニック、アバドン、新人3名
双翼の錬金 5名 エルナ、レーナ、新人3名
緑山の頂 約200名 ミント、マルクス、オルタナ、隊員
碧海の白波 約400名 ローレン、ルース、レオーネ 隊員
蒼龍の盗賊団 約200名 ガジル、ミク、スラム街の住人たち
隻眼の工房 約40名 ガドリック、職人
冒険者ギルド 約10名 オーガス、職員
鬼の牙 約40名 ニケ、隊員
王宮騎士団 約100名 宮廷魔導士、宮廷騎士
下の四つのギルドは僕たちに協力すると自ら手を挙げてくれた者たちである。
隻眼の工房はアバドンが無理やり呼んだのだろう。だが、彼らがいることでこの作戦の成功率は格段に上がる。
オーガスは絶対に参加させてくださいと、目に血を走らせながら言ってきた。
鬼の牙に関しても同様だ。対抗戦以来から色々と関わっていたため、今回も快く受け入れてくれた。
王宮騎士団に関しては国王が派遣してくれている。もともと王宮騎士団だけで解決しようとしていた案件だ。国王曰く派遣して当たり前とのこと。
「既に情報が伝わっていると思いますが、これから犯罪者組織と戦うことになります」
ここに集まってもらう前に既にこの事件ついて各々の長から情報が伝わっている。
ノワールの今まで行ってきた悪行について、今まで犠牲になった人たちについて、そしてこれから起こる最悪のケースについて。
「先に言っておきます。この戦いで安全なんてことはありません。相手の戦力は未知数。これほど冒険者がいても足りない可能性だってあります」
現在、セリーナの分身体が情報を集めるために国中を駆け回っている。
すると、どんどん悪い情報ばかり集まったのだ。
戦力はノワールだけではない。彼を信仰している多くの支部があり、その数は十を超える。
千を超える冒険者がいたとしても十分という言葉は存在しない。
「相手はただ快楽のために動く殺人鬼です。魔物ではありません」
ノワールの目的は自分の力を示すこと。今まで溜めてきた力を開放するためにこうして突如姿を現したのだ。
平然と人を殺す奴のすることだ。何が起きるか分からない。
「それにこれは僕が抱えていた問題です。皆さんにまで危険を晒すわけにはいかない」
分かっている。エリスたちの気持ちを無下するわけではない。
エリスたちは僕がなんと言おうと既に覚悟が決まっていた。なら僕はエリスたちを生かすために全力を出す。
しかし、この場には気持ち半ばに来ている者がいるはずだ。
「なので誰も君たちがここから去ったって咎めない。咎めさせない」
皆が行ってたから。ギルド長に命令されたから。
僕はそんな覚悟のない冒険者たちまで守れる自信がない。
それならこんな作戦に参加させるわけには……
「だからこの作戦に参加したくない人は――」
「あっはっは! 何言ってんだ! 大将!」
「……え?」
そんな僕の声を遮り、ローレンの笑い声が響いたのだった。
もう日付も変わろうとしている。いつもならこの時間帯は暗闇に包まれている時間帯だ。
男は興味本位でその場所へと向かった。
「おいおい、こんな夜遅くに何の騒ぎだ?」
その場に着くと、自分と同じように多くの野次馬がいた。
そして、目の前にある施設を見て驚く。
この異様な大きさに、大きな門構え、更にはとても頑丈そうな施設。
「冒険者ギルドじゃないか。何でこんな夜遅くに明かりがついてるんだよ」
「お前知らねぇのかよ。今この中で夢幻想の緊急会議が行われてるんだ」
「夢幻想? ほんとかよ」
「本当さ。さっき大量の冒険者が入っていったんだ」
騒ぎを聞きつけ、近くの住民たちも集まっていた。
冒険者ギルドの職員は、ギルドの入り口に立ち、住民たちに説明を行っている。
「何が起きてるんだ?」
「そんなの分かんないよ。職員も緊急の会議です、としか言わないし……でも、一つ分かることがあるんだ」
「分かること?」
男は頬を緩ませながら冒険者ギルドに視線を戻して言った。
「うん、多分いいことが起きるんだよ。だってさ、冒険者たちの目が凄かったんだ……!」
「では、これから第一回。夢幻想の緊急会議を始めます」
僕はこの会場を埋め尽くすほどの冒険者に向かって口を開く。
ここは冒険者ギルドの訓練場。千人以上収集できるという、かなり大きな訓練場だ。
そんな訓練場が窮屈になるほど。ということは千人近くの人たちが集まってくれているということになる。
「僕は夢幻想の団長を務めさせてもらっているロイドです。雲隠の極月のギルド長もしています。以後お見知りおきを」
この場には夢幻想に所属する多くの冒険者が集まっていた。
雲隠の極月 8名 ロイド、エリス、ネロ、他5名(ニック、エルナなどを除く)
双翼の鍛冶 5名 ニック、アバドン、新人3名
双翼の錬金 5名 エルナ、レーナ、新人3名
緑山の頂 約200名 ミント、マルクス、オルタナ、隊員
碧海の白波 約400名 ローレン、ルース、レオーネ 隊員
蒼龍の盗賊団 約200名 ガジル、ミク、スラム街の住人たち
隻眼の工房 約40名 ガドリック、職人
冒険者ギルド 約10名 オーガス、職員
鬼の牙 約40名 ニケ、隊員
王宮騎士団 約100名 宮廷魔導士、宮廷騎士
下の四つのギルドは僕たちに協力すると自ら手を挙げてくれた者たちである。
隻眼の工房はアバドンが無理やり呼んだのだろう。だが、彼らがいることでこの作戦の成功率は格段に上がる。
オーガスは絶対に参加させてくださいと、目に血を走らせながら言ってきた。
鬼の牙に関しても同様だ。対抗戦以来から色々と関わっていたため、今回も快く受け入れてくれた。
王宮騎士団に関しては国王が派遣してくれている。もともと王宮騎士団だけで解決しようとしていた案件だ。国王曰く派遣して当たり前とのこと。
「既に情報が伝わっていると思いますが、これから犯罪者組織と戦うことになります」
ここに集まってもらう前に既にこの事件ついて各々の長から情報が伝わっている。
ノワールの今まで行ってきた悪行について、今まで犠牲になった人たちについて、そしてこれから起こる最悪のケースについて。
「先に言っておきます。この戦いで安全なんてことはありません。相手の戦力は未知数。これほど冒険者がいても足りない可能性だってあります」
現在、セリーナの分身体が情報を集めるために国中を駆け回っている。
すると、どんどん悪い情報ばかり集まったのだ。
戦力はノワールだけではない。彼を信仰している多くの支部があり、その数は十を超える。
千を超える冒険者がいたとしても十分という言葉は存在しない。
「相手はただ快楽のために動く殺人鬼です。魔物ではありません」
ノワールの目的は自分の力を示すこと。今まで溜めてきた力を開放するためにこうして突如姿を現したのだ。
平然と人を殺す奴のすることだ。何が起きるか分からない。
「それにこれは僕が抱えていた問題です。皆さんにまで危険を晒すわけにはいかない」
分かっている。エリスたちの気持ちを無下するわけではない。
エリスたちは僕がなんと言おうと既に覚悟が決まっていた。なら僕はエリスたちを生かすために全力を出す。
しかし、この場には気持ち半ばに来ている者がいるはずだ。
「なので誰も君たちがここから去ったって咎めない。咎めさせない」
皆が行ってたから。ギルド長に命令されたから。
僕はそんな覚悟のない冒険者たちまで守れる自信がない。
それならこんな作戦に参加させるわけには……
「だからこの作戦に参加したくない人は――」
「あっはっは! 何言ってんだ! 大将!」
「……え?」
そんな僕の声を遮り、ローレンの笑い声が響いたのだった。
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