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18章 成長3
241話 競争
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「【ウォーターボール】!」
エリスは早速、【ウォーターボール】を発現させる。
その見た目は特に変わった様子はない、普通の【ウォーターボール】である。
しかし、知識ある者から見ればその魔法は異次元に思えた。
「うわぁ。またエリスちゃん化けちゃってるよ……」
「これがエリスの魔法かぁ! とんでもねぇな!」
【ウォーターボール】を細かく説明するのであれば、水を生成し、その水を丸く魔力で覆う。
上級魔術師と新人で大きく差が分かれるのは覆う魔力膜の強度だ。
魔力が濃ければ濃いほど強い衝撃を与えることが出来る。
まぁそう言っても所詮、初級魔法。さほど変わりないのが事実である。
「これがエリス先輩の【ウォーターボール】?」
ラクシアには普通の【ウォーターボール】に見えるのだろう。
実際見た目はそこまで変わりない。
気づいていないラクシアにリィとミィの二人は告げた。
「ラクシア。下がった方がいいの」
「そうなのだ! 下がらないと死ぬのだ!」
エリスの【ウォーターボール】は普通の構造とは違う。
存在自体が魔法とスキルの狭間であるため、威力も強度も桁違いである。
エリスは皆が自分の周りから離れたことを確認すると力を振り絞るよう、高らかに叫んだ。
「いっけえええぇぇ!」
エリスはそのまま地面に叩きつけるように【ウォーターボール】を放つ。
ドガンッ!
本来なら【ウォーターボール】は雲散するはずだ。しかし、エリスの魔法は絶対破壊不可のダンジョンの壁さえも貫く。
【ウォーターボール】が放たれた場所は巨大な穴が出来ており、底が見えない。もしかすれば二十階層まで続いているのではなかろうか。
「……は?」
ラクシアはそんな彼女の奇行を見て口を開けて固まってしまった。
対抗戦を見ていたためエリスの【ウォーターボール】の威力は知ってはいる。
しかし、彼女はあれから成長している。それにラクシアもあのダンジョンの壁をも貫くとは思ってもいなかったのだ。
「【全体浮遊】!」
ミントはすぐに全体に浮遊の付与を行った。
これで何百メートルの高さから降りても無事である。
エリスとミントを先頭にドンドン巨大な穴へと身を放り出した。
その後を追うように、ローレン、リィとミィが続いていく。
(確かダンジョンの壁は最強の硬度を誇るって……え? みんな驚いてない? 僕がおかしいの!?)
ラクシアは他のものが一切驚かなかったため自分がおかしいのではないかと思ってしまった。
今まで彼が習ってきたことには一度もダンジョンを破壊できるなど書かれていなかっただろう。
そんな固まっているラクシアを急かすようにネロは言った。
「どうしたんだ? 早く行くぞ?」
「あ、はい……」
ラクシアは渋々、頷きながら穴に身を放り出したのだった。
全員が下に辿りつくと、エリスが申し訳なさそうに告げる。
「まさか二十層までしか行けないなんて……」
エリスの魔法では五層しか貫けなかったようだ。それほど二十層からは丈夫になっているらしい。
そもそもダンジョンを貫く攻略法自体チートのようなもの。誰も彼女を責めようとはしない。
「ってかこれ大丈夫なんですか!? いっぱい集まって来てますけど!」
先ほどの【ウォーターボール】の衝撃に気づいたのか、山ほどの魔物が集まっていた。
右から火山竜、炎々蜥蜴など並んでおり、どれも推奨ランクはB級上位。ラクシアが怯え驚くのも当たり前である。
ちなみにここはB、A級を推奨とする階層。七人程度では倒せない魔物など山ほどいる。B級冒険者が三十人いても苦戦するような階層、それが下層である。
「なら次は俺たちの番だな!」
「出来るだけ深層は体力を温存しときたいからね。私とローレンでここは突破しよ」
二人はやる気に満ち溢れた表情で前に出た。
彼らはギルマス。今まで何人もの隊員を引っ張ってきている。
そう、彼らはずっと引っ張って来たため自分が暴れることが出来なかったのだ。
二人はもともと実力でのし上がってきた。しかし、隊員がいれば隊員の成長を優先しなければいけないため、自分が思う存分暴れることは出来ない。
二人は戦闘欲求がずっと溜まっていたのである。
しかし、この場では違う。ロイドが用意したこの場では思う存分暴れれるのだ。
「水式秘術! 一式! 【水之斬撃】!」
「融合魔法! 【暴風の剣】!」
二人は自分自身によって閉じ込めていた力を開放するように突進したのだった。
***
報告
読者の皆様。いつも助言士にお付き合いいただきありがとうございます。
皆様のおかげで今作の続きを書くことが出来ています。改めて皆様に感謝を。
そして報告ですが、今週は更新をお休みすることになりました。
理由は色々なタスクが溜まっているというのもありますが、一番は…………期末テストなどというものに殺されかけているためです。
あ、ほんと今まで勉強してなかった自分が悪いです。すみません。
ということで一夜漬けの一週間になるので助言士を更新できる時間が取れなくなりました。
以後、毎日少しずつ勉強していこうと思っています。はい。マジで反省してます……
どうぞこれからも助言士をよろしくお願いします。
エリスは早速、【ウォーターボール】を発現させる。
その見た目は特に変わった様子はない、普通の【ウォーターボール】である。
しかし、知識ある者から見ればその魔法は異次元に思えた。
「うわぁ。またエリスちゃん化けちゃってるよ……」
「これがエリスの魔法かぁ! とんでもねぇな!」
【ウォーターボール】を細かく説明するのであれば、水を生成し、その水を丸く魔力で覆う。
上級魔術師と新人で大きく差が分かれるのは覆う魔力膜の強度だ。
魔力が濃ければ濃いほど強い衝撃を与えることが出来る。
まぁそう言っても所詮、初級魔法。さほど変わりないのが事実である。
「これがエリス先輩の【ウォーターボール】?」
ラクシアには普通の【ウォーターボール】に見えるのだろう。
実際見た目はそこまで変わりない。
気づいていないラクシアにリィとミィの二人は告げた。
「ラクシア。下がった方がいいの」
「そうなのだ! 下がらないと死ぬのだ!」
エリスの【ウォーターボール】は普通の構造とは違う。
存在自体が魔法とスキルの狭間であるため、威力も強度も桁違いである。
エリスは皆が自分の周りから離れたことを確認すると力を振り絞るよう、高らかに叫んだ。
「いっけえええぇぇ!」
エリスはそのまま地面に叩きつけるように【ウォーターボール】を放つ。
ドガンッ!
本来なら【ウォーターボール】は雲散するはずだ。しかし、エリスの魔法は絶対破壊不可のダンジョンの壁さえも貫く。
【ウォーターボール】が放たれた場所は巨大な穴が出来ており、底が見えない。もしかすれば二十階層まで続いているのではなかろうか。
「……は?」
ラクシアはそんな彼女の奇行を見て口を開けて固まってしまった。
対抗戦を見ていたためエリスの【ウォーターボール】の威力は知ってはいる。
しかし、彼女はあれから成長している。それにラクシアもあのダンジョンの壁をも貫くとは思ってもいなかったのだ。
「【全体浮遊】!」
ミントはすぐに全体に浮遊の付与を行った。
これで何百メートルの高さから降りても無事である。
エリスとミントを先頭にドンドン巨大な穴へと身を放り出した。
その後を追うように、ローレン、リィとミィが続いていく。
(確かダンジョンの壁は最強の硬度を誇るって……え? みんな驚いてない? 僕がおかしいの!?)
ラクシアは他のものが一切驚かなかったため自分がおかしいのではないかと思ってしまった。
今まで彼が習ってきたことには一度もダンジョンを破壊できるなど書かれていなかっただろう。
そんな固まっているラクシアを急かすようにネロは言った。
「どうしたんだ? 早く行くぞ?」
「あ、はい……」
ラクシアは渋々、頷きながら穴に身を放り出したのだった。
全員が下に辿りつくと、エリスが申し訳なさそうに告げる。
「まさか二十層までしか行けないなんて……」
エリスの魔法では五層しか貫けなかったようだ。それほど二十層からは丈夫になっているらしい。
そもそもダンジョンを貫く攻略法自体チートのようなもの。誰も彼女を責めようとはしない。
「ってかこれ大丈夫なんですか!? いっぱい集まって来てますけど!」
先ほどの【ウォーターボール】の衝撃に気づいたのか、山ほどの魔物が集まっていた。
右から火山竜、炎々蜥蜴など並んでおり、どれも推奨ランクはB級上位。ラクシアが怯え驚くのも当たり前である。
ちなみにここはB、A級を推奨とする階層。七人程度では倒せない魔物など山ほどいる。B級冒険者が三十人いても苦戦するような階層、それが下層である。
「なら次は俺たちの番だな!」
「出来るだけ深層は体力を温存しときたいからね。私とローレンでここは突破しよ」
二人はやる気に満ち溢れた表情で前に出た。
彼らはギルマス。今まで何人もの隊員を引っ張ってきている。
そう、彼らはずっと引っ張って来たため自分が暴れることが出来なかったのだ。
二人はもともと実力でのし上がってきた。しかし、隊員がいれば隊員の成長を優先しなければいけないため、自分が思う存分暴れることは出来ない。
二人は戦闘欲求がずっと溜まっていたのである。
しかし、この場では違う。ロイドが用意したこの場では思う存分暴れれるのだ。
「水式秘術! 一式! 【水之斬撃】!」
「融合魔法! 【暴風の剣】!」
二人は自分自身によって閉じ込めていた力を開放するように突進したのだった。
***
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読者の皆様。いつも助言士にお付き合いいただきありがとうございます。
皆様のおかげで今作の続きを書くことが出来ています。改めて皆様に感謝を。
そして報告ですが、今週は更新をお休みすることになりました。
理由は色々なタスクが溜まっているというのもありますが、一番は…………期末テストなどというものに殺されかけているためです。
あ、ほんと今まで勉強してなかった自分が悪いです。すみません。
ということで一夜漬けの一週間になるので助言士を更新できる時間が取れなくなりました。
以後、毎日少しずつ勉強していこうと思っています。はい。マジで反省してます……
どうぞこれからも助言士をよろしくお願いします。
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