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18章 成長3
238話 弓?
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「「え?」」
二人はまるでありえないことが起きたとでもいう様に固まっている。
(え? ファイアーゴーレムはどこ行ったの? 魔石は?)
(いやはや! 最近の弓矢はまさか大砲が撃てるとは!)
まさか弓使いがここまでの威力を出すと思っていなかった二人は一生懸命、情報を整理する。
本来どう魔物を殺そうが必ず魔石が落ちる。魔石は上級魔法でも破壊できない鉱物。
そんな鉱物はどうやら先ほどのラクシアの矢で消し飛んだようだ。
しかし、そんな彼らの気持ちはラクシアには分からない。
彼は二人の固まった表情を見て青ざめた。
(まさか威力が足りないんじゃ……)
ラクシアの中でA級上位は美化されていた。それはあの対抗戦を見ていたためだ。
ローレンとミントの対決。あれはまさに怪物同士の戦いであった。
ローレンの【水之殲滅斧】とミントの融合術式展開、【巨大岩の加速槍】が衝突したあの衝撃。ラクシアは今でも鮮明に思い出すことが出来る。
それに比べてラクシアの矢はただ威力が強い単発攻撃。
ギルド長と比べる時点でラクシアも雲隠の極月に染まっているのだが、彼は自分で気づくはずもない。
「あ、またファイアーゴーレムだ」
ラクシアは弓使いの基本能力である遠視を身につけているため、二人より先に魔物を認識することができた。
まぁ今の二人はたとえ見えたとしても反応できないだろう。
(今度こそもっと威力を出すんだ!)
ラクシアは再び矢をつがえ、力強く引いた矢を放つ。
カンっ
「あ……」
放たれた矢は全く別の方向へと飛んでいった。
ラクシアは恥ずかしさで真っ赤に染まった顔を隠すように両手で顔を覆う。
先ほどの威力とは天と地の差がある。今の矢の威力ではゴブリンさえ殺せないだろう。
「「……え、えぇ?」」
二人はやっと落ち着いてきたところで、先ほどとのギャップを見せられて再び固まってしまった。
(え? 何これ。ドッキリ? なんなのマジ!?)
(む? なんだこれは? 俺たちは何を見せられてるんだ!?)
先ほどの破壊力と今の幼稚な攻撃を見て驚かない者はいないはずだ。
そんな二人の反応を見てまたもやラクシアは焦る。
(やばいやばい! これじゃあ本当に失望されちゃう!)
ラクシアは再び矢をつがえ、弓をミシミシときしませながら引く。
これから同じパーティーとしてダンジョンを攻略していく以上、二人を失望させるわけにはいかない。
その一心でラクシアは狙いを定める。
しかし、そんな時だ。ある考えが彼の脳をよぎった。
(あれ? 別に僕の素質のことを言えば許してくれるんじゃない?)
改めて思えばラクシアは未だに二人に隠れスキルについて話していない。
雲隠の会議では話したが、その時は二人ともいなかったのだ。
「あの、少しお話を聞いてもらっても……あっ!」
ラクシアは背後を振り返り、二人に自分の素質を話そうとする。
そんな時だ。引いていた矢が手から滑り抜けるように放たれてしまった。
ファイアーゴーレムの牽制にと、構えていただけであったため、方向など定まっているわけがない。
しかも矢は今回に限って神殺の弓の能力が使われているようだ。
途轍もない速さで標的とは全く異なる壁へと突き進んでいく。
そして、矢は壁に衝突し……
カコンっ。
矢は壁を破壊することなく、また別の方向へと跳ね返った。
流石にエリスの【ウォーターボール】のように壁は壊せなかったようだ。
反射された矢は見事にファイアーゴーレムの直線状の軌道に乗る。
ドガンッ!
そのまま吸い込まれるようにファイアーゴーレムを粉砕した。
「「は?」」
その威力は先ほどと同様。先ほどまでファイアーゴーレムが存在したのかと疑ってしまうほど跡形もない。
ラクシアの幸運の素質が成長してきたため成せた業だ。普通は狙っても不可能な神業である。
運が良かったなどと済ませていい話ではないだろう。
(反射を狙ってやったの? いや、そんなこと絶対無理なはず)
(どうやったら反射して当たるんだ!? 曲芸どころじゃないぞこれは!)
ラクシアは満足げに笑みを浮かべながら二人に尋ねた。
「あの……僕の素質についてお話ししましょうか?」
「「そうしてください」」
二人は驚愕を通り越して無感情にただ首を縦に振ったのだった。
二人はまるでありえないことが起きたとでもいう様に固まっている。
(え? ファイアーゴーレムはどこ行ったの? 魔石は?)
(いやはや! 最近の弓矢はまさか大砲が撃てるとは!)
まさか弓使いがここまでの威力を出すと思っていなかった二人は一生懸命、情報を整理する。
本来どう魔物を殺そうが必ず魔石が落ちる。魔石は上級魔法でも破壊できない鉱物。
そんな鉱物はどうやら先ほどのラクシアの矢で消し飛んだようだ。
しかし、そんな彼らの気持ちはラクシアには分からない。
彼は二人の固まった表情を見て青ざめた。
(まさか威力が足りないんじゃ……)
ラクシアの中でA級上位は美化されていた。それはあの対抗戦を見ていたためだ。
ローレンとミントの対決。あれはまさに怪物同士の戦いであった。
ローレンの【水之殲滅斧】とミントの融合術式展開、【巨大岩の加速槍】が衝突したあの衝撃。ラクシアは今でも鮮明に思い出すことが出来る。
それに比べてラクシアの矢はただ威力が強い単発攻撃。
ギルド長と比べる時点でラクシアも雲隠の極月に染まっているのだが、彼は自分で気づくはずもない。
「あ、またファイアーゴーレムだ」
ラクシアは弓使いの基本能力である遠視を身につけているため、二人より先に魔物を認識することができた。
まぁ今の二人はたとえ見えたとしても反応できないだろう。
(今度こそもっと威力を出すんだ!)
ラクシアは再び矢をつがえ、力強く引いた矢を放つ。
カンっ
「あ……」
放たれた矢は全く別の方向へと飛んでいった。
ラクシアは恥ずかしさで真っ赤に染まった顔を隠すように両手で顔を覆う。
先ほどの威力とは天と地の差がある。今の矢の威力ではゴブリンさえ殺せないだろう。
「「……え、えぇ?」」
二人はやっと落ち着いてきたところで、先ほどとのギャップを見せられて再び固まってしまった。
(え? 何これ。ドッキリ? なんなのマジ!?)
(む? なんだこれは? 俺たちは何を見せられてるんだ!?)
先ほどの破壊力と今の幼稚な攻撃を見て驚かない者はいないはずだ。
そんな二人の反応を見てまたもやラクシアは焦る。
(やばいやばい! これじゃあ本当に失望されちゃう!)
ラクシアは再び矢をつがえ、弓をミシミシときしませながら引く。
これから同じパーティーとしてダンジョンを攻略していく以上、二人を失望させるわけにはいかない。
その一心でラクシアは狙いを定める。
しかし、そんな時だ。ある考えが彼の脳をよぎった。
(あれ? 別に僕の素質のことを言えば許してくれるんじゃない?)
改めて思えばラクシアは未だに二人に隠れスキルについて話していない。
雲隠の会議では話したが、その時は二人ともいなかったのだ。
「あの、少しお話を聞いてもらっても……あっ!」
ラクシアは背後を振り返り、二人に自分の素質を話そうとする。
そんな時だ。引いていた矢が手から滑り抜けるように放たれてしまった。
ファイアーゴーレムの牽制にと、構えていただけであったため、方向など定まっているわけがない。
しかも矢は今回に限って神殺の弓の能力が使われているようだ。
途轍もない速さで標的とは全く異なる壁へと突き進んでいく。
そして、矢は壁に衝突し……
カコンっ。
矢は壁を破壊することなく、また別の方向へと跳ね返った。
流石にエリスの【ウォーターボール】のように壁は壊せなかったようだ。
反射された矢は見事にファイアーゴーレムの直線状の軌道に乗る。
ドガンッ!
そのまま吸い込まれるようにファイアーゴーレムを粉砕した。
「「は?」」
その威力は先ほどと同様。先ほどまでファイアーゴーレムが存在したのかと疑ってしまうほど跡形もない。
ラクシアの幸運の素質が成長してきたため成せた業だ。普通は狙っても不可能な神業である。
運が良かったなどと済ませていい話ではないだろう。
(反射を狙ってやったの? いや、そんなこと絶対無理なはず)
(どうやったら反射して当たるんだ!? 曲芸どころじゃないぞこれは!)
ラクシアは満足げに笑みを浮かべながら二人に尋ねた。
「あの……僕の素質についてお話ししましょうか?」
「「そうしてください」」
二人は驚愕を通り越して無感情にただ首を縦に振ったのだった。
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