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17章 始まり
222話 整理
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「じゃあ二人とも自己紹介をよろしく」
エリスをどうにか落ちつかせた僕たちは、まず新人の自己紹介から始める。
ちなみにレーナは双翼の錬金にて新人の指導。セリーナとレイのメイド二人は別件があるらしい。
「僕の名前はラクシアです。職業は弓使いをしてます」
「へぇ、いいじゃん弓使い」
「そうね! うちのギルドには後方支援が少ないから助かるわ」
ネロとエリスの言葉にラクシアは一瞬驚いた様子を見せる。
弓使いは助言士のように不遇として扱われる職業。彼もここまで快く受け入れられるとは思ってもいなかったのだろう。
「僕は運頼りの戦い方をする職業です。だから皆さんには迷惑を……」
ラクシアは一番の悩みであったことをエリス達に打ち明けた。
彼の素質である幸運は今やBクラスまで成長している。本来であれば運が良い人間として認知されるほどの幸運であるはずなのだ。
だが、ラクシアは人一倍不幸体質である。Bクラスではまだ打ち消せるほどではないようだ。
彼はその不幸が自分ではなく他人に向くことを一番恐れている。
今までその不幸で多くの人間を苦しめ、傷つけてきた、そんな事実がラクシア自身を苛んでいるのだ。
しかし、それも今日で終わりである。僕のギルドにそんな理由でラクシアを一人にするものは絶対にいない。
「迷惑なんてかけまくればいいのよ。ロイド様に誘われて雲隠に所属するなら仲間。仲間ってそういうのを共有するもんでしょう?」
「そうだぞ。皆、強さの裏には何か理由があるんだ。お前だってその運を使って何かやらかすんだろ」
エリスとネロは嫌な表情一つせず、ラクシアを安心させるように告げた。
ニックとエルナ、リィとミィも賛同するように頷く。
その言葉が、その態度がどれだけラクシアを救うことだろうか。
「ロイドさん……皆さん……本当に……ありがとうございます」
ラクシアは今にも決壊しそうな目頭を抑えながら再度頭を下げる。
もっと自己紹介をしてもらいたかったが、このまま話を続けさせるのも酷というもの。
「じゃあ次はミクお願い」
「わ、分かりました。私の名前はミク。おおよその知識はこの世界に来る前に教えてもらえました。職業は治癒者です」
「「「おおお~」」」
弓使い同様に、このギルドには治癒者が存在しない。今まではポーションでどうにか補っていた。
治癒者とポーションではやはり効率が変わってくる。
これからより雲隠は成長してくれることだろう。
「ロイドさん。確か聖女は太陽がかっさらっていったんじゃなかったんすか?」
「わ、私は聖女じゃなくて……」
ニックの質問にミクは口籠る。
僕から説明してもいいのだが、それでは彼女の成長にはつながらない。
自分の壁は自分で壊さなければすぐに修復されてしまうためだ。
彼女は一度深呼吸をしてからゆっくりと打ち明ける。
「ふぅ……わ、私は聖女ではありません。聖女の召喚に巻き込まれただけなんです」
もちろんミクが女神に承諾しているため彼女はこの世界にいる。
しかし、転生されたらされたで聖女ではないからと付属品扱いするのはいかがなものだろうか。
「わ、私は聖女のような治癒者にはなれないかもしれません……でも!」
ミクは覚悟の宿った視線を僕たちに向けて告げる。
「私は聖女に勝るような治癒者になりたいんです!」
「「「…………」」」
この世界では聖女こそ至高。治癒者の頂点こそが聖女なのだ。
聖女に勝つなど夢物語とでも言えるだろう。
そんな言葉を聞いて子供じみた夢だと笑う者もいれば、馬鹿にする者もいるはずだ。
しかし、この場にはそんな者は絶対にいない。
「いいなそれ! 皆を見返してやれよ!」
「そうね! ミク! 一緒に鍛錬するわよ!」
皆が仲間に寄り添い、仲間のためなら怒れるようなそんなギルドを僕は作りたかった。
そんな僕の夢は既にかなっていたのかもしれない。
「いいんじゃないっすか? もともと雲隠の目標自体が太陽に勝つことなんだし、それぐらい言ってもらわないと」
「うん。いける。うちにはロイド様がいるもん」
「一緒に頑張るの」
「一緒に頑張ろうなのだ!」
皆は本気でその夢を叶えさせようと思っている。
その思いがミクにも伝わったのだろう。
「こ、こ……これからよろしくお願いします!」
彼女はこの世界に来て一番の笑みを浮かべて頭を下げた。
その後僕たちは明日からの予定などを話し合ったのだった。
エリスをどうにか落ちつかせた僕たちは、まず新人の自己紹介から始める。
ちなみにレーナは双翼の錬金にて新人の指導。セリーナとレイのメイド二人は別件があるらしい。
「僕の名前はラクシアです。職業は弓使いをしてます」
「へぇ、いいじゃん弓使い」
「そうね! うちのギルドには後方支援が少ないから助かるわ」
ネロとエリスの言葉にラクシアは一瞬驚いた様子を見せる。
弓使いは助言士のように不遇として扱われる職業。彼もここまで快く受け入れられるとは思ってもいなかったのだろう。
「僕は運頼りの戦い方をする職業です。だから皆さんには迷惑を……」
ラクシアは一番の悩みであったことをエリス達に打ち明けた。
彼の素質である幸運は今やBクラスまで成長している。本来であれば運が良い人間として認知されるほどの幸運であるはずなのだ。
だが、ラクシアは人一倍不幸体質である。Bクラスではまだ打ち消せるほどではないようだ。
彼はその不幸が自分ではなく他人に向くことを一番恐れている。
今までその不幸で多くの人間を苦しめ、傷つけてきた、そんな事実がラクシア自身を苛んでいるのだ。
しかし、それも今日で終わりである。僕のギルドにそんな理由でラクシアを一人にするものは絶対にいない。
「迷惑なんてかけまくればいいのよ。ロイド様に誘われて雲隠に所属するなら仲間。仲間ってそういうのを共有するもんでしょう?」
「そうだぞ。皆、強さの裏には何か理由があるんだ。お前だってその運を使って何かやらかすんだろ」
エリスとネロは嫌な表情一つせず、ラクシアを安心させるように告げた。
ニックとエルナ、リィとミィも賛同するように頷く。
その言葉が、その態度がどれだけラクシアを救うことだろうか。
「ロイドさん……皆さん……本当に……ありがとうございます」
ラクシアは今にも決壊しそうな目頭を抑えながら再度頭を下げる。
もっと自己紹介をしてもらいたかったが、このまま話を続けさせるのも酷というもの。
「じゃあ次はミクお願い」
「わ、分かりました。私の名前はミク。おおよその知識はこの世界に来る前に教えてもらえました。職業は治癒者です」
「「「おおお~」」」
弓使い同様に、このギルドには治癒者が存在しない。今まではポーションでどうにか補っていた。
治癒者とポーションではやはり効率が変わってくる。
これからより雲隠は成長してくれることだろう。
「ロイドさん。確か聖女は太陽がかっさらっていったんじゃなかったんすか?」
「わ、私は聖女じゃなくて……」
ニックの質問にミクは口籠る。
僕から説明してもいいのだが、それでは彼女の成長にはつながらない。
自分の壁は自分で壊さなければすぐに修復されてしまうためだ。
彼女は一度深呼吸をしてからゆっくりと打ち明ける。
「ふぅ……わ、私は聖女ではありません。聖女の召喚に巻き込まれただけなんです」
もちろんミクが女神に承諾しているため彼女はこの世界にいる。
しかし、転生されたらされたで聖女ではないからと付属品扱いするのはいかがなものだろうか。
「わ、私は聖女のような治癒者にはなれないかもしれません……でも!」
ミクは覚悟の宿った視線を僕たちに向けて告げる。
「私は聖女に勝るような治癒者になりたいんです!」
「「「…………」」」
この世界では聖女こそ至高。治癒者の頂点こそが聖女なのだ。
聖女に勝つなど夢物語とでも言えるだろう。
そんな言葉を聞いて子供じみた夢だと笑う者もいれば、馬鹿にする者もいるはずだ。
しかし、この場にはそんな者は絶対にいない。
「いいなそれ! 皆を見返してやれよ!」
「そうね! ミク! 一緒に鍛錬するわよ!」
皆が仲間に寄り添い、仲間のためなら怒れるようなそんなギルドを僕は作りたかった。
そんな僕の夢は既にかなっていたのかもしれない。
「いいんじゃないっすか? もともと雲隠の目標自体が太陽に勝つことなんだし、それぐらい言ってもらわないと」
「うん。いける。うちにはロイド様がいるもん」
「一緒に頑張るの」
「一緒に頑張ろうなのだ!」
皆は本気でその夢を叶えさせようと思っている。
その思いがミクにも伝わったのだろう。
「こ、こ……これからよろしくお願いします!」
彼女はこの世界に来て一番の笑みを浮かべて頭を下げた。
その後僕たちは明日からの予定などを話し合ったのだった。
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