追放された【助言士】のギルド経営 不遇素質持ちに助言したら、化物だらけの最強ギルドになってました

柊彼方

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15章 ミク

207話 選択

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 紙に記されていた鑑定結果は聖女をどちらか判断するに足りるものだった。

[名前] アスカ(17)
[肩書] 異世界転生者 
[能力値]体力 D/A 魔力 S/S 向上心 D/A 
        統率力 D/B 知力 C/A
[スキル]聖女の力 S/S 自動回復 D/A  

 この魔力量はミントやエリス並みである。自動回復のスキルと組み合わせればそう簡単に魔力が尽きることはないだろう。
 一番驚くべきことは聖女の名がつくスキルを所持していることである。
 その効果は全治癒魔法が使えるようになり、効力の増加、さらには消費魔力が減るなどと言うチートスキルだ。
 Sクラスまで成長しているため、即戦力になることは間違いない。
 
[名前] ミク(17)
[肩書] 異世界転生者 
[能力値]体力 D/B 魔力 D/A 向上心 B/A 
        統率力 D/B 知力 C/A
[スキル] 規格操作 A/S

 ミクも治癒者にしてはかなりの高ステータスである。
 特にスキルはユニークスキルと言っても過言ではないほどレアだ。
 全てにおいて規格というものは存在する。規格操作はそれを少しいじることが出来るスキルだ。
 例えば魔式拳銃の規格を操作するとしよう。その場合弾が一度に二発撃てたり、連射できたりなど操作ができる。
 もちろんこのスキルにも弱点はある。それは一つの事象にしか関与できないことだ。
 ミクの場合Aクラスまで成長しているためかなりの操作が可能になっているだろう。

「これはなかなかだなぁ」
「特にアスカとかいう女がえぐいよな」
「ミクもかなりいいんだけどな。治癒者向きじゃない」

 ギルマスたちは二人の鑑定結果を見て口々にする。
 そんな勝手な評価にミクの表情が曇った。
 彼女には可哀そうだが、鑑定結果で二人の立場は目に見えてしまっている。
 アスカが聖女でミクが従者。この場にいる誰もがそう確信した。

「アスカ。私のギルドに来ないかい?」
「確か太陽の化身でしたっけ」
「ん? 誰からその情報を聞いたんだい?」
「ここの来る前に女神様から色々教えていただきました!」

 アスカはにっこりと笑って答える。
 女神様とは彼女らの魂をこちらの世界に転生させた者のことだろう。
 聖女召喚の儀とは要するに女神との取引。膨大な魔力と引き換えに強力な魂を顕現させる。
 その女神様がこの世界について色々説明してくれていたのだろう。彼女らの立場までしっかりと。

「こちらからお願いしたいくらいですよ! 一位の所に入れるなんて嬉しいです!」
「おぉそうか! それはよかったよ!」

 期待していた反応にカイロスは満足げな笑みを浮かべた。
 このような流れになればすでに勝敗は喫したようなものである。
 聖女の意見は絶対に優先されるのだ。

「「「ちっ」」」

 もともと分かっていたことだが、ギルマスたちはカイロスに舌打ちする。
 聖女ともなれば幹部クラスほどの実力を持つ。これからさらに太陽の化身の権力が大きくなるだろう。

「あーあ終わったな。さっさと帰ろうぜ」
「そうだな。そういえば今日は弓使いの昇級試験じゃなかったか?」
「ああ。一緒に見に行こうぜ」

 ギルマスたちは聖女のこれからの方針が決まったため、次々に部屋から出ていく。

「ではアスカよ。私たちも行こう」
「はい!」

 カイロスもアスカを連れてこの部屋を出ていった。

(八年ぶりだな……)

 彼があそこまで満足そうに笑っているのを見たのは久しぶりかもしれない。
 まぁすぐにあの表情も憤怒に染まることになるだろうが。

 最後にこの部屋に残ったローレンとミントも呼びかけてくる。

「ロイド。私たちも帰ろうよ」
「あぁ! 早く明日に備えるぞ!」
「いや、僕たちはここからさ。僕たちの目的を果たそう」
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