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14章 反響
197話 リュネール
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「おっ! やっと来たか大将!」
「早く始めようよ。早く帰って融合魔法の練習したいの」
会議室に入ると正面にローレンとミントが座っていた。
そして、互いの顔が見えるよう、円になるように皆は座っている。
二人はとても生き生きとしており、一週間前とは顔つきが変わっていた。
顔つきが変わっていると言えば逆の意味で酷い者もいる。
「ニック!? どうしたんだいその目のくま!?」
「ろ、ロイドさん。あなたに言いたいことがあるんっすよ」
ミントの隣に座っていたニックの表情には活気の欠片もなかった。
目の下のくまはまるで書いたのではないかと思うほど黒い。
そんな彼はふらふらと僕のもとまで近づき、がっしりと両肩を掴んだ。
「……っすよ」
「ん?」
彼の声は小さく聞こえにくかったため僕は聞き返す。
すると彼は口を大きく開け、至近距離で吠えた。
「ほんとにやりすぎなんっすよおおおおぉぉぉぉ! どれだけ忙しくなったと思うんっすか!」
「や、やりすぎ?」
「魔式拳銃は俺がやったんでまぁ置いておくっす。それより新人のことっすよ!」
ニックがここまで声をあげるのは久々である。
何か新人たちが問題でも起こしたのかもしれない。
「新人が何かしたのかい?」
「何かしたのかい? じゃないっすよ! なんであんな才能の塊みたいなの入れるんっすか! 俺の立場が危うくなるんっすよ!」
ニックは涙目になりながら訴えかけてくる。
このくまは双翼の鍛冶が人気になったためかと思っていたが、どうやら後輩のプレッシャーに圧されて、徹夜をしていた結果のようだ。
そんな僕たちの会話に、座っていた一人の少女も参加する。
「私もそう思う。ロイドさまやりすぎ」
「エルナまで!?」
「みんな成長早い。私抜かれる」
「い、いやぁ。二人も十分化けてると思うんだけど……」
僕は苦笑いをこぼしながら二人を【鑑定】する。
[ニック] 統率力 B→A ギルド管理 B→A 装飾D→B
[エルナ] 向上心 D→A 知力 C→B 器用 C→B 創作 E→C
本来ここまで成長するためには数年はかかる。努力しても実らない職人だって何人もいるだろう。
僕が本気で教育をしようと、普通の職人がここまで短期間で実力をつけることはない。
これは彼らの途轍もない努力の結果である。
新人に抜かれるかもとぼやいている二人だが、新人が彼らを抜かすことはまずないはずだ。
差が縮めば二人は更に成長しようと努力をする。もともと底の味を知っている二人だ。努力に関しては誰にも負けない。
「お勤めご苦労様です! ロイド様!」
「ガジル。君たちの功績は耳に入ってるよ。よくやってくれた」
落ち込んでいる二人はとぼとぼと歩いて席に戻り、入れ違いにガジルが僕のもとへやって来た。
「本当にロイド様のおかげで俺たちは生まれ変わることが出来ました! 一生ついて行きます!」
「いやいや、これは君たちの実力だよ。スラム街の印象も少しずつだけど良くなりつつある」
ガジルたちが遺品や紛失物の回収を始めて二週間ほど経っている。
たった二週間で彼らは千ほど武具や装飾品などを回収をし、持ち手に届くように冒険者ギルドに預けている。
持ち物が帰ってきた持ち主たちからの好感度は爆上がり。一週間ほど前には大量の食糧をスラム街に寄付した老人もいたそうだ。
今では完全にガジルたちの仕事は流れにのっている。これからも続けていけばスラム街だから、と切り捨てられる世の中も少しは良くなるかもしれない。
「それとあと一人は……ん? そのフードの人は誰だい?」
「やっと気づいたかい、ロイド」
僕は最後に席に座ったままのフードの男に視線を移す。
この男がセリーナが言っていた六人目であろう。
鑑定を行使すれば誰だか認識することは出来るものの、フードをしているのだ。勝手に正体を見破るのは無礼である。
男はフードを勢いよく脱ぎ、にんまりと笑みを浮かべながら告げた。
「俺だよ。アバドンだ」
「は?」
「早く始めようよ。早く帰って融合魔法の練習したいの」
会議室に入ると正面にローレンとミントが座っていた。
そして、互いの顔が見えるよう、円になるように皆は座っている。
二人はとても生き生きとしており、一週間前とは顔つきが変わっていた。
顔つきが変わっていると言えば逆の意味で酷い者もいる。
「ニック!? どうしたんだいその目のくま!?」
「ろ、ロイドさん。あなたに言いたいことがあるんっすよ」
ミントの隣に座っていたニックの表情には活気の欠片もなかった。
目の下のくまはまるで書いたのではないかと思うほど黒い。
そんな彼はふらふらと僕のもとまで近づき、がっしりと両肩を掴んだ。
「……っすよ」
「ん?」
彼の声は小さく聞こえにくかったため僕は聞き返す。
すると彼は口を大きく開け、至近距離で吠えた。
「ほんとにやりすぎなんっすよおおおおぉぉぉぉ! どれだけ忙しくなったと思うんっすか!」
「や、やりすぎ?」
「魔式拳銃は俺がやったんでまぁ置いておくっす。それより新人のことっすよ!」
ニックがここまで声をあげるのは久々である。
何か新人たちが問題でも起こしたのかもしれない。
「新人が何かしたのかい?」
「何かしたのかい? じゃないっすよ! なんであんな才能の塊みたいなの入れるんっすか! 俺の立場が危うくなるんっすよ!」
ニックは涙目になりながら訴えかけてくる。
このくまは双翼の鍛冶が人気になったためかと思っていたが、どうやら後輩のプレッシャーに圧されて、徹夜をしていた結果のようだ。
そんな僕たちの会話に、座っていた一人の少女も参加する。
「私もそう思う。ロイドさまやりすぎ」
「エルナまで!?」
「みんな成長早い。私抜かれる」
「い、いやぁ。二人も十分化けてると思うんだけど……」
僕は苦笑いをこぼしながら二人を【鑑定】する。
[ニック] 統率力 B→A ギルド管理 B→A 装飾D→B
[エルナ] 向上心 D→A 知力 C→B 器用 C→B 創作 E→C
本来ここまで成長するためには数年はかかる。努力しても実らない職人だって何人もいるだろう。
僕が本気で教育をしようと、普通の職人がここまで短期間で実力をつけることはない。
これは彼らの途轍もない努力の結果である。
新人に抜かれるかもとぼやいている二人だが、新人が彼らを抜かすことはまずないはずだ。
差が縮めば二人は更に成長しようと努力をする。もともと底の味を知っている二人だ。努力に関しては誰にも負けない。
「お勤めご苦労様です! ロイド様!」
「ガジル。君たちの功績は耳に入ってるよ。よくやってくれた」
落ち込んでいる二人はとぼとぼと歩いて席に戻り、入れ違いにガジルが僕のもとへやって来た。
「本当にロイド様のおかげで俺たちは生まれ変わることが出来ました! 一生ついて行きます!」
「いやいや、これは君たちの実力だよ。スラム街の印象も少しずつだけど良くなりつつある」
ガジルたちが遺品や紛失物の回収を始めて二週間ほど経っている。
たった二週間で彼らは千ほど武具や装飾品などを回収をし、持ち手に届くように冒険者ギルドに預けている。
持ち物が帰ってきた持ち主たちからの好感度は爆上がり。一週間ほど前には大量の食糧をスラム街に寄付した老人もいたそうだ。
今では完全にガジルたちの仕事は流れにのっている。これからも続けていけばスラム街だから、と切り捨てられる世の中も少しは良くなるかもしれない。
「それとあと一人は……ん? そのフードの人は誰だい?」
「やっと気づいたかい、ロイド」
僕は最後に席に座ったままのフードの男に視線を移す。
この男がセリーナが言っていた六人目であろう。
鑑定を行使すれば誰だか認識することは出来るものの、フードをしているのだ。勝手に正体を見破るのは無礼である。
男はフードを勢いよく脱ぎ、にんまりと笑みを浮かべながら告げた。
「俺だよ。アバドンだ」
「は?」
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