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13章 緑山VS碧海
184話 魔改造
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時は五日ほど前に遡る。ニックが全力を費やして魔式拳銃一号を作っていた時のことだ。
「ふぅ、大体終わりましたぁ。本当にロイドさんの要求は難題過ぎるんっすよ」
模型と材料となる金属を作り上げたニックは汗を拭いながら一息つく。
僕の設計図に、ニックのアレンジを加えることでかなり期待値の高い模型が出来た。
しかし、この模型を再現するには二つの難題があったのだ。
「金属に魔力を流し込む。誰がこんな発想思いつくんっすか」
「君とエルナには本当に助けられたよ。後でエルナにも感謝を伝えておかないとね」
僕はオルタナの手になじむ、体の一部だと思ってもらえるような武器が作りたかった。
そこで考えた銃こそが、
「『自由に変形できる銃』。多分俺も常識がなくなってきてますけど、かなりやばいことしてるっすよ」
「あっはっは。そんな武器を可能とする金属を作った君とエルナも大概だけどね」
僕はエルナの力を借りて、ニックとエルナの二人に協力してもらって新種の金属を開発した。
「『魔力金属』。魔力を流すことで自由に変形する金属っすか」
「今のところオルタナとエルナしかこの金属をまともに制御できる者はいないから、たぶん売り上げには貢献出来ない」
「それでも新種の金属っす。これは魔式拳銃以上にニュースっすよ」
ニックのユニークスキル【鉄屑再生】にエルナの素質【魔力操作】を組み合わせる。
さらにニックのスキル【魔力付与】を行使することでこの金属は完成した。
この金属を仕上げたことで二人は劇的に成長している。
ニック 設計 C→B/A 鉄屑再生 D→B/S 魔力付与 C→B/A
エルナ 魔力操作 B→A/S
「ロイドさん。いつか俺の常識は返ってくるんっすかね?」
「安心していいよ。絶対に返ってこないから」
「良かったぁ。返ってくるん……ん? 返ってこないって言ったんすか!?」
「もう君の中で非常識は常識になりつつあるんだよ。慣れるまでは時間の問題だね」
「あぁ、うん、納得します。はい、俺も傍から見ればエリスさんみたいになってるんっすね」
ニックはどこか嬉しそうにしながらも後戻りできない状況に頭を抱える。
新種の金属や世界初の武器を作っている時点で後戻りは出来ないのだ。
それこそ、後世に名を残すような鍛冶師になるだろう。
「それであとは模型通りに作るだけだね。安全装置も忘れずにつけてね」
「はい。安全装置は簡単なんっすよ。火力押さえるだけでいいんで。それより全機能解放の方が大変なんですが?」
オルタナが勝つためには二つのシステムが必要だった。
一つ目は安全装置。これは彼が人を傷つけられないという弱点を克服するため。
二つ目は全機能解放だ。
レオーネは【反射】というスキルを持っている。もし、彼女がそのスキルを発動すれば、ちょこまかと魔弾を撃ったところで消滅させられる。魔式拳銃では彼女のスキルに対抗する術がないというわけだ。
そこで考えた構造こそが魔力金属を用いた全機能解放。
魔式拳銃をオルタナの魔力コントロールで自由に武器を改造する機能である。
大量の魔力を消費し、魔式拳銃の耐久値を消耗するため一度限りの必殺技だ。
僕は苦笑を浮かべているニックに向かって申し訳なく謝る。
「本当にごめんね。難題ばかり押し付けるギルマスで」
「いいえ、逆っす。本当にロイドさんのもとで働けて良かったっすよ。こんな武器を作れるなんて鍛冶師として最高じゃないっすか!」
ニックはそんな僕を見て、満面の笑みを浮かべたのだった。
「ふぅ、大体終わりましたぁ。本当にロイドさんの要求は難題過ぎるんっすよ」
模型と材料となる金属を作り上げたニックは汗を拭いながら一息つく。
僕の設計図に、ニックのアレンジを加えることでかなり期待値の高い模型が出来た。
しかし、この模型を再現するには二つの難題があったのだ。
「金属に魔力を流し込む。誰がこんな発想思いつくんっすか」
「君とエルナには本当に助けられたよ。後でエルナにも感謝を伝えておかないとね」
僕はオルタナの手になじむ、体の一部だと思ってもらえるような武器が作りたかった。
そこで考えた銃こそが、
「『自由に変形できる銃』。多分俺も常識がなくなってきてますけど、かなりやばいことしてるっすよ」
「あっはっは。そんな武器を可能とする金属を作った君とエルナも大概だけどね」
僕はエルナの力を借りて、ニックとエルナの二人に協力してもらって新種の金属を開発した。
「『魔力金属』。魔力を流すことで自由に変形する金属っすか」
「今のところオルタナとエルナしかこの金属をまともに制御できる者はいないから、たぶん売り上げには貢献出来ない」
「それでも新種の金属っす。これは魔式拳銃以上にニュースっすよ」
ニックのユニークスキル【鉄屑再生】にエルナの素質【魔力操作】を組み合わせる。
さらにニックのスキル【魔力付与】を行使することでこの金属は完成した。
この金属を仕上げたことで二人は劇的に成長している。
ニック 設計 C→B/A 鉄屑再生 D→B/S 魔力付与 C→B/A
エルナ 魔力操作 B→A/S
「ロイドさん。いつか俺の常識は返ってくるんっすかね?」
「安心していいよ。絶対に返ってこないから」
「良かったぁ。返ってくるん……ん? 返ってこないって言ったんすか!?」
「もう君の中で非常識は常識になりつつあるんだよ。慣れるまでは時間の問題だね」
「あぁ、うん、納得します。はい、俺も傍から見ればエリスさんみたいになってるんっすね」
ニックはどこか嬉しそうにしながらも後戻りできない状況に頭を抱える。
新種の金属や世界初の武器を作っている時点で後戻りは出来ないのだ。
それこそ、後世に名を残すような鍛冶師になるだろう。
「それであとは模型通りに作るだけだね。安全装置も忘れずにつけてね」
「はい。安全装置は簡単なんっすよ。火力押さえるだけでいいんで。それより全機能解放の方が大変なんですが?」
オルタナが勝つためには二つのシステムが必要だった。
一つ目は安全装置。これは彼が人を傷つけられないという弱点を克服するため。
二つ目は全機能解放だ。
レオーネは【反射】というスキルを持っている。もし、彼女がそのスキルを発動すれば、ちょこまかと魔弾を撃ったところで消滅させられる。魔式拳銃では彼女のスキルに対抗する術がないというわけだ。
そこで考えた構造こそが魔力金属を用いた全機能解放。
魔式拳銃をオルタナの魔力コントロールで自由に武器を改造する機能である。
大量の魔力を消費し、魔式拳銃の耐久値を消耗するため一度限りの必殺技だ。
僕は苦笑を浮かべているニックに向かって申し訳なく謝る。
「本当にごめんね。難題ばかり押し付けるギルマスで」
「いいえ、逆っす。本当にロイドさんのもとで働けて良かったっすよ。こんな武器を作れるなんて鍛冶師として最高じゃないっすか!」
ニックはそんな僕を見て、満面の笑みを浮かべたのだった。
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