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2章 最強冒険者
決断
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「まぁ詳しくは教えられないわ」
驚き叫んでいる二人を見て私は真剣な眼差しで言う。
これは誓約だ。私と『あいつ』の…………
「分かった。俺たちも追及はしない」
「私も本当なら受付嬢として知っておかなければならないのですが、一番の仕事は冒険者様の補助をすることです。言及はしません」
二人は私の真剣さが伝わったのか首を縦に振った。
私はその様子に安堵を漏らす。
もし、追及されていたら面倒なことになっていただろう。
「私も可能性ならスキルだと思っているわ」
私が特にほかの冒険者と違っている点と言えばスキルだけ。
どうやらスキルの譲渡は普通ではないようだ。
まぁ付与をしてくれた『あいつ』も人間ではないのだから納得もいく。
気を使ってくれたシャウラはは話を切り替えるようにに言う。
「まぁこの話は一度置いておきましょう。それより今話すべきことは二人の関係性です」
「「…………………………」」
私はまた意識してしまったのか、アレンの視線から隠れるように表情を隠した。
しかし、流石はSランク冒険者。そんな私にアレンは追撃を仕掛けてくる。
「俺はエリス様のことが好きだ。この感情は絶対にエリス様以外には生まれない。俺にはエリス様以外ありえないんだ」
アレンは男らしく私の方をしっかりを見て言いきった。
急所通り越して私、死にそうなのだけれど大丈夫だろうか。
そして続けるようにもう一度私に向かって頭を下げ、手を差し出してくる。
「急に結婚を前提には、いき過ぎたかもしれない。でも、お付き合いぐらいからならどうだろうか」
「……………」
私は顔を隠していた両手をゆっくり下にさげる。
今も頭を下げているアレンを見ながら私は思う。
ここで私がアレンの手を握ってしまえば私とアレンは付き合うことになるだろう。
そして、数年、いや、一年もたたないうちに婚約に発展する。なんてこともあるかもしれない。
(私の感情は…………)
私はアレンのことを好いている。それは確実だ。
だが、どこかタイミングが悪いというか、今ではないというか。
私は私に思う。どこのどいつが今ではないなどと調子のいいことを言っているんだ。
自分は婚約拒否記録、十二連続の女だ。これは王族にまで噂になる恥さらしのレベル。
そんな私に結婚を前提にお付き合いしてください。などと言ってくれる男性が現れたのだ。
しかも、実績もある。金もある。容姿もずば抜けてイケメン。この男には誰も勝てない。そんな考えが浮かんでくるほどの人間がだ。
ここで手を握れば全ての問題が解決する。
私のストレスの原因となっていたものが無くなるのだ。
でも、私の脳はそう簡単にはいってくれないらしい。
(……………………ッ!)
ああ。なんて私は悪い女なのだろう。
こうして今も勇気を振り絞って頭を下げてくれる男性がいるにもかかわらず、私の脳裏に二人の男性が映るなんて。
本当にうざったらしい幼馴染。
急に距離を近づけてくる不思議な第一王子。
私はこんな性格だから、強欲だから婚約さえ出来ない令嬢なのかもしれない。
でも、私は自分の考えは絶対に曲げたくない。一度でも思ったのなら私はその考えを貫き通す。
「アレン。顔を上げてくれるかしら?」
「…………やはり俺ではダメか」
「…………ッ!」
その不安そうな、今にでも泣いてしまいそうな表情に胸が締め付けられる。
この表情は私は一生忘れることがないだろう。それほど鮮明に記憶に残る表情だった。
「ちょっと提案があるの」
私は無理矢理にでも笑みを作ってアレンに言った。
こんな強欲の私自身に密かに反吐を吐きながら。
驚き叫んでいる二人を見て私は真剣な眼差しで言う。
これは誓約だ。私と『あいつ』の…………
「分かった。俺たちも追及はしない」
「私も本当なら受付嬢として知っておかなければならないのですが、一番の仕事は冒険者様の補助をすることです。言及はしません」
二人は私の真剣さが伝わったのか首を縦に振った。
私はその様子に安堵を漏らす。
もし、追及されていたら面倒なことになっていただろう。
「私も可能性ならスキルだと思っているわ」
私が特にほかの冒険者と違っている点と言えばスキルだけ。
どうやらスキルの譲渡は普通ではないようだ。
まぁ付与をしてくれた『あいつ』も人間ではないのだから納得もいく。
気を使ってくれたシャウラはは話を切り替えるようにに言う。
「まぁこの話は一度置いておきましょう。それより今話すべきことは二人の関係性です」
「「…………………………」」
私はまた意識してしまったのか、アレンの視線から隠れるように表情を隠した。
しかし、流石はSランク冒険者。そんな私にアレンは追撃を仕掛けてくる。
「俺はエリス様のことが好きだ。この感情は絶対にエリス様以外には生まれない。俺にはエリス様以外ありえないんだ」
アレンは男らしく私の方をしっかりを見て言いきった。
急所通り越して私、死にそうなのだけれど大丈夫だろうか。
そして続けるようにもう一度私に向かって頭を下げ、手を差し出してくる。
「急に結婚を前提には、いき過ぎたかもしれない。でも、お付き合いぐらいからならどうだろうか」
「……………」
私は顔を隠していた両手をゆっくり下にさげる。
今も頭を下げているアレンを見ながら私は思う。
ここで私がアレンの手を握ってしまえば私とアレンは付き合うことになるだろう。
そして、数年、いや、一年もたたないうちに婚約に発展する。なんてこともあるかもしれない。
(私の感情は…………)
私はアレンのことを好いている。それは確実だ。
だが、どこかタイミングが悪いというか、今ではないというか。
私は私に思う。どこのどいつが今ではないなどと調子のいいことを言っているんだ。
自分は婚約拒否記録、十二連続の女だ。これは王族にまで噂になる恥さらしのレベル。
そんな私に結婚を前提にお付き合いしてください。などと言ってくれる男性が現れたのだ。
しかも、実績もある。金もある。容姿もずば抜けてイケメン。この男には誰も勝てない。そんな考えが浮かんでくるほどの人間がだ。
ここで手を握れば全ての問題が解決する。
私のストレスの原因となっていたものが無くなるのだ。
でも、私の脳はそう簡単にはいってくれないらしい。
(……………………ッ!)
ああ。なんて私は悪い女なのだろう。
こうして今も勇気を振り絞って頭を下げてくれる男性がいるにもかかわらず、私の脳裏に二人の男性が映るなんて。
本当にうざったらしい幼馴染。
急に距離を近づけてくる不思議な第一王子。
私はこんな性格だから、強欲だから婚約さえ出来ない令嬢なのかもしれない。
でも、私は自分の考えは絶対に曲げたくない。一度でも思ったのなら私はその考えを貫き通す。
「アレン。顔を上げてくれるかしら?」
「…………やはり俺ではダメか」
「…………ッ!」
その不安そうな、今にでも泣いてしまいそうな表情に胸が締め付けられる。
この表情は私は一生忘れることがないだろう。それほど鮮明に記憶に残る表情だった。
「ちょっと提案があるの」
私は無理矢理にでも笑みを作ってアレンに言った。
こんな強欲の私自身に密かに反吐を吐きながら。
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