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1章 原点

プロローグ

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 【勇者】――それは冒険者にとって憧憬であり、国民たちの希望。
 人間と魔族による戦火が広がるこの世の中。それは人類にとっての最後の切り札。
 声一つで国民たちを奮い立たせ、剣一本でどんな逆境でも乗り越える。

 勇者と同列の肩書を持つ【賢者】、【武神】、【聖女】
 その四人で構成される勇者パーティーは、まさにこの世界の主人公。

 賢者はどんな時であろうと、その天才的な知略で仲間を導き、
 武神はどんな高い壁が立ちはだかろうと、その拳で突き破り、
 聖女はどんな窮地に追い込まれようと、その治癒魔法で仲間を癒す。

 互いの短所を埋め合い、長所を伸ばし合う、誰もが望む理想のようなもの。
 そこには信頼もあり、友情もあり、恋愛感情だってあるかもしれない。
 たまには喧嘩をしてもいいし、負の感情を抱くことだってある。
 
 しかし、『魔王を倒して平和な世界を作る』
 それだけは絶対に変わらない。違えることのない目標。
 夢物語を現実にする。それが勇者パーティーの責務なのだから。

 仲間にどっしりと背中を預け、預けられ。
 どんな状況だろうと最後まで諦めることなく戦い続ける。
 代々引き継いできたこの肩書に恥じないために。
 
 俺も勇者になった時、そんな未来を想像した。そう思い浮かべて勇者としての仕事をこなしてきた。
 これからも俺は、勇者として魔族と戦い、いつの日か魔王を討伐し、人類の宿願を果たす……

 そう思っていたんだ――――この瞬間までは。
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