『完結』不当解雇された【教育者】は底辺ギルドを再建して無双する〜英雄の娘である私は常識破りの教育で化け物を量産します〜

柊彼方

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33話 訪問者

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 ミーシャがギルドに着くと既に改築が終了していた。

「本当にこれが私たちのギルド……?」
「あっはっは! そんな反応してもらえるならやったかいがあるってもんだ!」

 そんな彼女の驚き様を見てルーカスは豪快に笑う。

 彼らは一日で仕上げるために夜も休むことなく一日中改築作業をしていたのだ。
 急な仕事であるにもかかわらず、かなりの完成度で仕上げていた。

「信じられないです。まさかこれほどまで素晴らしい改築をしてもらえるとは」
「やるからにはしっかりしないとな。俺たちの名が廃っちまう」
「さすが世界一の大工。どれだけ感謝すればいいことか」

 目の間に広がっている美しい木造のギルドが、つい先日まで傾きボロボロだったとは誰も想像できないだろう。
 どのギルドにも劣らないようなそんな建物に仕上がっていた。

「いくら払えばいいでしょうか。今すぐは難しいですが、絶対に払います」
「いや、今回は無料にしといてやるよ。アリアさんに恩返ししたかったし。だが、一つ条件は付けさせてほしいな」
「条件?」
「うちとパートナーシップ契約を結んでほしい。まぁ要するに浮気するなよって話だ」

 パートナーシップ契約は普通の契約とは異なる。
 普通の契約であれば別の機関と契約することも可能であるが、パートナーシップ契約になる不可能になる。
 一見デメリットしかないように見えるが、メリットも大きい。
 普通の契約でより、大きな恩恵を受けられるのだ。
 安価で仕事を受けてくれたり、優先的に仕事を行ってくれたりする。
 そのため大手のギルドはパートナーシップ契約を結ぶことが多い。

「今はギルド長がいないからこの話はあとだな。中で待っててもいいか?」

 既にルーカスの部下たちは自分の家に戻り休息をとっている。
 一日中の仕事だ。疲れが溜まっていないはずがない。
 ルーカスもそうすると思っていたのだが、彼はここに残るらしい。
 彼の体力は冒険者にも劣らないのではないだろうか。

「えぇ構いません。お茶を入れますね」

 外装を見ていた二人は室内へと戻ろうとした。

 ――そんな時だ。

「お~い! ちょっと待ってくれ~!」
「「ん?」」

 陽気な声が室内に戻ろうとする二人を止める。
 二人が振り返ると、そこには金髪の好青年がいた。
 青年は二人のもとへと駆け寄り、ギルドを指さしながら尋ねる。

「ここが原初の剣であってる? 情報とは全く違う外見なんだけど?」
「俺が改築したのさ。いい出来だろ?」

 ルーカスは自信満々にギルドを見て答えた。
 それを聞いて納得したのか青年はにんまりと口角を上げる。

「もう再建に取りかかってるんだ? 流石だね」

 青年は特にルーカスの問いに答えることなく行った。
 ルーカスは自分の改築に反応されなかったためか、少しめんどくさそうに聞く。

「お前は何もんだ? 原初の剣に用があるのか?」
「俺の名はアレク。アリアに会いに来たんだけど。アリアいる?」

 ミーシャはアレクと名乗った青年を見てアリアから任されてた役目を思い出す。

(この青年がアリアが言っていた訪問者だね)

 アリアがわざわざ出迎えをしてくれと頼むほどだ。
 アリアにとってかなり重要な人物なのだろう。

「彼女は今いないので中でお待ちください。アリアも一時間もすれば帰ってくると思います」
「おっけー。ってか君ルーカスだよね?」

 アレクはルーカスを見て思い出すように口にする。
 そんな彼の態度にルーカスは苛立ちを表に出した。

「おい、初対面のくせにさっきからかなり馴れ馴れしいな? 何様だ?」
「あ、そっか。直接は初めてだったね。でも仕事を頼んだことはあるんだよ?」
「お前なんかに仕事? 俺はお前に仕事をした覚えはないが?」
「アハハ……君もなかなかは失礼だね。こう名乗ればわかる?」

 ルーカスの威圧的な言葉にアレンは苦笑する。
 そして、すぐに彼はにんまりと口角を釣り上げた。
 まるで私たちを驚かせてやりたい、そんなことを考えている子供のような無邪気な笑みだ。

 彼は胸を堂々と張り、大声で響き渡らせるように名乗った。

「俺の名はアレクサンダー! この国の第一王子さ!」
「「は、はあああああぁぁぁぁ!?」」
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