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四章 魔術大会
パーティー
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「ほい」
「いいっ! すごくいいです!」
「ほら」
「ううん! 気持ちいいです!」
「これで止めだ」
「いやあああぁぁぁぁん!」
この戦闘は皆の想像に任せよう。
しかし、言っておこう。これはれっきとした健全な戦闘だ。
そこだけ理解はしてもらっておきたい。
「俺って何を見せられてるんですかね?」
「ちなみに言っておくけどこれ、ドラコのせいだからな?」
「そういわれると返す言葉もないっす」
俺とドラコはピクピクして地面に倒れているエルフリアを見て言った。
ドラコもここまでくれば理解したようだ。
エルフリアが残念な女であるということを。
「それよりこんな業物もらっちゃっていいんすか?」
「いいよ。俺にはもう必要ないし」
ドラコは俺が先ほど譲った短剣を見ながら聞いてくる。
その短剣の名は【慙愧】
今のドラコにはぴったりの短剣だ。
この短剣は自分の感情が表に出やすい。まぁ簡単に言うと感情に左右される剣だ。
自分の実力に己惚れていたら切れ味は格段に落ちる。
しかし、今のドラコのように後悔などの負の感情を正の感情を変換するときに絶大な効果を発揮するのだ。
そのため、今の俺には必要がない。
「俺が勇者時代の時に世話になった剣だ。大切に使ってくれよ?」
「もちろんっすよ! ありがたく使わせていただきます!」
ドラコはまるでおもちゃをもらった子供のように喜んでいる。
そういう風に喜んでもらえると譲った甲斐があるというものだ。
ちなみにドラコだが、一言で言おう。
才能の塊
ドラコを表すならこれが一番だ。
ならなぜ、落ちこぼれに、更にはいじめっ子になってしまったのか。
「しっかり毎日魔力制御の練習しろよ?」
「もちのろんっす! これで強くなれるなら俺は毎日しますよ!」
それはドラコが原石のままだったからだ。
それも例えるならダイヤモンドの。
ダイヤモンドはダイヤモンドでしか研磨できない。
そう。ドラコは自分の実力を誰も理解してくれなかったというわけだ。
そして、その状況を打開するすべも知らなかった。
だからドラコは自分で自分の身を削っていた。
それがあの結果だ。
だから俺は思う。
「なぁドラコ。この大会。勝ってみんな見返してやろうぜ」
「…………そうっすね。出来たらいいっすけど。兄さんがいるから…………」
この学園にはドラコの兄。ランテがいる。
ランテがどうやらドラグーンの次期族長候補らしい。
まぁ簡単に言えば期待の星と落ちこぼれと言ったところだ。
本当に魔族はそんな関係の奴らばかりだ。
まぁそれは世界共通か。俺もあすねぇにボコボコされて育ってきたのでそこまで変わらない。
だが、そこで止まるのは違う。
落ちこぼれが勝つのはテンプレだろが。
「俺たちがいるんだ。お前は俺の背中だけ見てついてくればいい」
俺はドラコにそう伝える。
そんな中俺は心の中でガッツポーズを決める。
人生で言ってみたい言葉ランキング六位を言えたのだ。喜ぶのは道理である。
だが、やはり現実で使うのは気障すぎたか。
そう思っていたのだが、
「はい! 一生ついて行くっす!」
どうやら上手く心に刺さってくれたようだ。
ドラコは俺に尊敬の眼差しを向けてくる。
しかし、もう一人には苦笑いを向けた。
「でも、エルフリアさんにはちょっと…………」
「ああ。俺もそうだから」
エルフリアはどれだけ気持ちよかったのか知らないが、ぐったり地面で寝ている。
ってか今のエルフリアは全身傷だらけだ。
回復魔法を行使しようとしたのだが、鬼の形相を浮かべて阻止されたのだ。傷跡が残ってしまってはいけないのに。
まぁしかし、痛覚にこれほど喜ぶ者は初めて見た。
何か俺まで悪いことをしている気分になる。
まぁまぁ気持ち悪いのでさっさとドラコを強くして役割を代わってもらおう。
「まぁ頑張ろうぜ」
「ええ。お願いするっす! 師匠!」
こうして俺たちの青春の一ページがめくられようとしていた。
「いいっ! すごくいいです!」
「ほら」
「ううん! 気持ちいいです!」
「これで止めだ」
「いやあああぁぁぁぁん!」
この戦闘は皆の想像に任せよう。
しかし、言っておこう。これはれっきとした健全な戦闘だ。
そこだけ理解はしてもらっておきたい。
「俺って何を見せられてるんですかね?」
「ちなみに言っておくけどこれ、ドラコのせいだからな?」
「そういわれると返す言葉もないっす」
俺とドラコはピクピクして地面に倒れているエルフリアを見て言った。
ドラコもここまでくれば理解したようだ。
エルフリアが残念な女であるということを。
「それよりこんな業物もらっちゃっていいんすか?」
「いいよ。俺にはもう必要ないし」
ドラコは俺が先ほど譲った短剣を見ながら聞いてくる。
その短剣の名は【慙愧】
今のドラコにはぴったりの短剣だ。
この短剣は自分の感情が表に出やすい。まぁ簡単に言うと感情に左右される剣だ。
自分の実力に己惚れていたら切れ味は格段に落ちる。
しかし、今のドラコのように後悔などの負の感情を正の感情を変換するときに絶大な効果を発揮するのだ。
そのため、今の俺には必要がない。
「俺が勇者時代の時に世話になった剣だ。大切に使ってくれよ?」
「もちろんっすよ! ありがたく使わせていただきます!」
ドラコはまるでおもちゃをもらった子供のように喜んでいる。
そういう風に喜んでもらえると譲った甲斐があるというものだ。
ちなみにドラコだが、一言で言おう。
才能の塊
ドラコを表すならこれが一番だ。
ならなぜ、落ちこぼれに、更にはいじめっ子になってしまったのか。
「しっかり毎日魔力制御の練習しろよ?」
「もちのろんっす! これで強くなれるなら俺は毎日しますよ!」
それはドラコが原石のままだったからだ。
それも例えるならダイヤモンドの。
ダイヤモンドはダイヤモンドでしか研磨できない。
そう。ドラコは自分の実力を誰も理解してくれなかったというわけだ。
そして、その状況を打開するすべも知らなかった。
だからドラコは自分で自分の身を削っていた。
それがあの結果だ。
だから俺は思う。
「なぁドラコ。この大会。勝ってみんな見返してやろうぜ」
「…………そうっすね。出来たらいいっすけど。兄さんがいるから…………」
この学園にはドラコの兄。ランテがいる。
ランテがどうやらドラグーンの次期族長候補らしい。
まぁ簡単に言えば期待の星と落ちこぼれと言ったところだ。
本当に魔族はそんな関係の奴らばかりだ。
まぁそれは世界共通か。俺もあすねぇにボコボコされて育ってきたのでそこまで変わらない。
だが、そこで止まるのは違う。
落ちこぼれが勝つのはテンプレだろが。
「俺たちがいるんだ。お前は俺の背中だけ見てついてくればいい」
俺はドラコにそう伝える。
そんな中俺は心の中でガッツポーズを決める。
人生で言ってみたい言葉ランキング六位を言えたのだ。喜ぶのは道理である。
だが、やはり現実で使うのは気障すぎたか。
そう思っていたのだが、
「はい! 一生ついて行くっす!」
どうやら上手く心に刺さってくれたようだ。
ドラコは俺に尊敬の眼差しを向けてくる。
しかし、もう一人には苦笑いを向けた。
「でも、エルフリアさんにはちょっと…………」
「ああ。俺もそうだから」
エルフリアはどれだけ気持ちよかったのか知らないが、ぐったり地面で寝ている。
ってか今のエルフリアは全身傷だらけだ。
回復魔法を行使しようとしたのだが、鬼の形相を浮かべて阻止されたのだ。傷跡が残ってしまってはいけないのに。
まぁしかし、痛覚にこれほど喜ぶ者は初めて見た。
何か俺まで悪いことをしている気分になる。
まぁまぁ気持ち悪いのでさっさとドラコを強くして役割を代わってもらおう。
「まぁ頑張ろうぜ」
「ええ。お願いするっす! 師匠!」
こうして俺たちの青春の一ページがめくられようとしていた。
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