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三章 暗躍
救援
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「これって帰っていいのかな?」
「「……………………」」
そんな俺の言葉に二人は呆れたような視線を送ってくる。
そして、その視線の奥には脱力した幹部たちが山積みにされてある。
もちろん、その頂上にはエルクがぽつんと積まれていた。
「こんな状況なら呼ばなくてよかったわね」
「呼ぶ?」
マーリンは溜息を吐きながらそんな言葉を漏らす。
その瞬間、この部屋を埋め尽くすような煌々とした光が発現した。
そして…………
「魔王四天王の一人! カイロスだ! 大丈夫か! 若き王たる者よ!」
「…………へ?」
でっででーん! みたいな効果音が出てきそうな登場の仕方に俺は茫然としてしまう。
金髪に整った容姿。マッチョマンのように表には出ていないが秘められている筋肉。その陽気な態度からは想像もできないほどの残酷な実力。
普通にあの寝っ転がってる四天王のエルクより断然強い。
「か、カイロス様! どうしてこのような場所に!」
校長はすぐにカイロスと名乗る男の正面に跪いて首を垂れた。
上司と部下のような関係なのだろう。
「マーリンに世界の存亡が何とかって呼ばれたんだ! エルクが嵌めたらしいな!」
カイロスの話し方は元気が、離れている俺まで伝播しそうな話し方である。
「どこにいる! エルクは!」
辺りを見回すカイロスにマーリンは苦笑を漏らしながら山積みを指差した。
「…………あれよ」
「…………む? 気絶しているのか?」
カイロスは倒れている六人の幹部と一人の四天王を見て首をかしげる。
しかし、すぐに納得したように頷いた。
「そうか! 二人がこの少年と協力してエルクたちを退けたんだな? よくやった!」
ゆっくりと立ち上がった校長とマーリンの背中をバシバシと叩きながら笑うカイロスに二人は同時に口を開いた。
「いえ、私は何もしてません」
「私も何もしてないわ」
「…………ん? どういうことだ? エルクたちが勝手に気絶したと言いたいのか?」
カイロスは理解できないと言ったように二人に聞く。
それはそうだろう。元勇者が幹部クラス七人を一瞬で沈めたなんて誰も考えもしないだろう。
「レイ様。カイロスにしてあげて」
「え? あ、はい」
マーリンの俺の呼称に少し戸惑いながらも頷いた。
まぁ本気で焦っていた校長とは違って、俺は最初からマーリンが敵対していないと理解していた。
まぁ少しおバカさんといったとこだろう。脳の栄養分まで容姿に行ったのでは…………まぁここらで止めておこうか。
実際、俺の態度が原因で抗争になったわけだ。そもそもマーリンは話し合いで終わらすつもりだったのだろう。
そんな考えに至るからこそ、旧魔王側にいる証明でもある。
「【初めまして。レイです】」
「…………ッ! この感じは魔王様の!」
先に校長が伝達はしていたのだろう。ハデスが生きていることについて。
しかし、どことなく現実味がなかった。そんなところか。
俺の覇気を感じて改めて理解したのだ。
「うっ! 本当に魔王様が生きていたなんて! 俺は嬉しいぞおおおぉぉぉ!」
カイロスは右腕で目を押さえ、叫びながら涙を流す。
やはりハデスは配下の皆から敬愛されていたようだ。
だからこそ俺は思う。さっさと隠れてないで出て来いと。
「ねぇ、少し試したことがあるんだけどいいかな?」
「別にいいですけど…………」
校長は問題を増やさないでと目力で俺に伝えてくる。
校長にここまで言わせるとなると俺も本当の問題児になってしまったようだ。
俺は少し態勢を低くしてまるで必殺技のような構え方をする。
「契約の名のもとに、ここに絆を証として顕現せよ!」
「「「…………ッ!」」」
三人は俺を見て目を見開く。
それは緒の構え方でも言葉に驚いたのでもない。
力だ。荒れ狂う魔力に唖然としているのだ。
こうして目立ちたくないとか、スローライフを送りたいとか言っているのにもかかわらず、今もこうして俺はスキルを行為しようとしている。
いつの間にか俺にもツンデレ属性が付与されていたのかもしれない。
まぁ所詮俺は偽善者だ。
このスキルを使う理由も面倒な厄介ごとから逃れるためである。
俺は甲高く部屋に響き渡るような声で叫んだ。
「さぁ出て来い! 【召喚】!」
その瞬間、俺の根源から大量の魔力が暴発したのだった。
「「……………………」」
そんな俺の言葉に二人は呆れたような視線を送ってくる。
そして、その視線の奥には脱力した幹部たちが山積みにされてある。
もちろん、その頂上にはエルクがぽつんと積まれていた。
「こんな状況なら呼ばなくてよかったわね」
「呼ぶ?」
マーリンは溜息を吐きながらそんな言葉を漏らす。
その瞬間、この部屋を埋め尽くすような煌々とした光が発現した。
そして…………
「魔王四天王の一人! カイロスだ! 大丈夫か! 若き王たる者よ!」
「…………へ?」
でっででーん! みたいな効果音が出てきそうな登場の仕方に俺は茫然としてしまう。
金髪に整った容姿。マッチョマンのように表には出ていないが秘められている筋肉。その陽気な態度からは想像もできないほどの残酷な実力。
普通にあの寝っ転がってる四天王のエルクより断然強い。
「か、カイロス様! どうしてこのような場所に!」
校長はすぐにカイロスと名乗る男の正面に跪いて首を垂れた。
上司と部下のような関係なのだろう。
「マーリンに世界の存亡が何とかって呼ばれたんだ! エルクが嵌めたらしいな!」
カイロスの話し方は元気が、離れている俺まで伝播しそうな話し方である。
「どこにいる! エルクは!」
辺りを見回すカイロスにマーリンは苦笑を漏らしながら山積みを指差した。
「…………あれよ」
「…………む? 気絶しているのか?」
カイロスは倒れている六人の幹部と一人の四天王を見て首をかしげる。
しかし、すぐに納得したように頷いた。
「そうか! 二人がこの少年と協力してエルクたちを退けたんだな? よくやった!」
ゆっくりと立ち上がった校長とマーリンの背中をバシバシと叩きながら笑うカイロスに二人は同時に口を開いた。
「いえ、私は何もしてません」
「私も何もしてないわ」
「…………ん? どういうことだ? エルクたちが勝手に気絶したと言いたいのか?」
カイロスは理解できないと言ったように二人に聞く。
それはそうだろう。元勇者が幹部クラス七人を一瞬で沈めたなんて誰も考えもしないだろう。
「レイ様。カイロスにしてあげて」
「え? あ、はい」
マーリンの俺の呼称に少し戸惑いながらも頷いた。
まぁ本気で焦っていた校長とは違って、俺は最初からマーリンが敵対していないと理解していた。
まぁ少しおバカさんといったとこだろう。脳の栄養分まで容姿に行ったのでは…………まぁここらで止めておこうか。
実際、俺の態度が原因で抗争になったわけだ。そもそもマーリンは話し合いで終わらすつもりだったのだろう。
そんな考えに至るからこそ、旧魔王側にいる証明でもある。
「【初めまして。レイです】」
「…………ッ! この感じは魔王様の!」
先に校長が伝達はしていたのだろう。ハデスが生きていることについて。
しかし、どことなく現実味がなかった。そんなところか。
俺の覇気を感じて改めて理解したのだ。
「うっ! 本当に魔王様が生きていたなんて! 俺は嬉しいぞおおおぉぉぉ!」
カイロスは右腕で目を押さえ、叫びながら涙を流す。
やはりハデスは配下の皆から敬愛されていたようだ。
だからこそ俺は思う。さっさと隠れてないで出て来いと。
「ねぇ、少し試したことがあるんだけどいいかな?」
「別にいいですけど…………」
校長は問題を増やさないでと目力で俺に伝えてくる。
校長にここまで言わせるとなると俺も本当の問題児になってしまったようだ。
俺は少し態勢を低くしてまるで必殺技のような構え方をする。
「契約の名のもとに、ここに絆を証として顕現せよ!」
「「「…………ッ!」」」
三人は俺を見て目を見開く。
それは緒の構え方でも言葉に驚いたのでもない。
力だ。荒れ狂う魔力に唖然としているのだ。
こうして目立ちたくないとか、スローライフを送りたいとか言っているのにもかかわらず、今もこうして俺はスキルを行為しようとしている。
いつの間にか俺にもツンデレ属性が付与されていたのかもしれない。
まぁ所詮俺は偽善者だ。
このスキルを使う理由も面倒な厄介ごとから逃れるためである。
俺は甲高く部屋に響き渡るような声で叫んだ。
「さぁ出て来い! 【召喚】!」
その瞬間、俺の根源から大量の魔力が暴発したのだった。
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