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二章 学園生活
編入手続き
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「あ~。眠たかったなぁ」
「本当に眠かったですねぇ」
俺とエルフリアはあくびをしながら魔法学院内の廊下を歩く。
俺たちは編入といわれる扱いである。
今は五月。入学式は四月に終わっていたため間に合わなかったのだ。
そう考えるとやはりエルフリアは俺が来なければ学園にはいくつもりはなかったのかもしれない。
編入手続きを終えた俺とエルフリアは明日から入学することになる。
ちなみにその編入手続きがとても面倒だったのだ。
時を遡ること五時間前――
「どうも~。新しくエルフの長になったレイです」
「元長兼、レイ様の未来の伴侶のエルフリアで――うへっ!」
余計なことを口にしようとしたエルフリアの頭にこつんと殴って黙らせながら俺は校長と対面する。
俺の想像していたよりは老けているが、それでもオーラのある魔族だった。人間でいう仙人みたいな部類だろうか。
下っ端の係りでよかったのだが族長が来たとのことでわざわざ校長が出迎えに来てくれたのだ。
「私はこの魔法学院の校長を務めている…………へ?」
「どうしました?」
俺は急に固まっていしまった校長を見て首をかしげる。
まさか名前を忘れてしまったとかなのだろうか。
うん…………違うな。我ながらしょうもないボケをしてしまいそうになったぜ。
校長は俺の耳を見て聞いてくる。
「あなたは…………エルフじゃないんですか?」
「あ、俺は一応人間やってます」
俺は別に軽い会話の流れで言った。
実際、隣いるエルフリアも特に誰が聞いても驚かないよ、と言っていたのだ。
他種族でも多文化でも受け入れてくれる。それが魔法学院の特徴らしい。とてもいい学園であると思う。
しかし、校長は聞いていた話と真反対の表情をする。
目はこぼれそうなほど大きく見開き、口はリンゴ一つ入るぐらい開けていた。
そして、俺の悪い想像通り校長は叫び声をあげる。
「ぎゃあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」
これから警備員の屈強な魔族たちが入ってきて色々とややこしくなってしまったのだ。
そのため一時間で終わるはずだった手続きも五時間かかったわけだ。
ちなみに、
「れ、レイさんが無害であるということもエルフの長になったということも…………納得しました」
絶対お前納得してないだろ。とツッコみたくなるような表情をして校長であるアールレイは首を縦に振る。
どうやらエルフリアの思考がいかれていただけで、魔族は人間慣れしていないらしい。
校長がここまで驚くのだ。生徒の表情など想像もできない。
「あ、ちなみに俺、元勇者なんで…………あ、これはオフレコでお願いしますよ?」
「…………あぅ」
「アールレイさん&⁉ 大丈夫ですか⁉」
急にぐったりとして意識を失ったアールレイ見て俺は動揺してしまう。
そんな俺を見てエルフリアは笑いながら言う。
「元勇者はやりすぎですよ。勇者だなんて人間のボスみたいな感じなんですから」
「…………」
エルフリアに説教されるのは納得いかないのは何故だろうか。無性に腹が立ってきてしまう。
「す、すみませんでした。あまりの衝撃に気を失ってしまいました」
「アハハ…………なんかすみません」
「いえいえ。それでレイさんにはこれをつけてもらいます」
そう言ってアールレイは【インベントリ】からつけ耳を取り出してくる。
やはり校長だなと俺は思う【インベントリ】など人間では俺と数人しか行使できなかった。
まぁ言いたいことは天才しか使えない技を簡単に使ってのける校長は天才級の魔術師ということだ。
俺と戦ったら俺が負けるかもしれない。
「エルフの耳ですか?」
「ええ。流石に生徒に人間がいるなどバレたら大惨事です」
校長は胃を押さえながら言う。
本当なら人間など願い下げだろうが、俺とてエルフの長だ。断ることができないのだろう。
しかし、こういう役職の人には同情しかできない。スローライフのかけらもないではないか。
まぁこんな現状を作った張本人の片割れが言うことではないが。
ちなみに片割れは特に気にしていないようだ。その図太い精神を分けてもらいたい。
「お願いします。できるだけ目立つ行動はしないでくださいね」
「分かりました。善処します」
「了解でーす」
こうして今に至るのだった。
朝、学生たちを集団気絶させたやつ? そんなの知らないね。
「本当に眠かったですねぇ」
俺とエルフリアはあくびをしながら魔法学院内の廊下を歩く。
俺たちは編入といわれる扱いである。
今は五月。入学式は四月に終わっていたため間に合わなかったのだ。
そう考えるとやはりエルフリアは俺が来なければ学園にはいくつもりはなかったのかもしれない。
編入手続きを終えた俺とエルフリアは明日から入学することになる。
ちなみにその編入手続きがとても面倒だったのだ。
時を遡ること五時間前――
「どうも~。新しくエルフの長になったレイです」
「元長兼、レイ様の未来の伴侶のエルフリアで――うへっ!」
余計なことを口にしようとしたエルフリアの頭にこつんと殴って黙らせながら俺は校長と対面する。
俺の想像していたよりは老けているが、それでもオーラのある魔族だった。人間でいう仙人みたいな部類だろうか。
下っ端の係りでよかったのだが族長が来たとのことでわざわざ校長が出迎えに来てくれたのだ。
「私はこの魔法学院の校長を務めている…………へ?」
「どうしました?」
俺は急に固まっていしまった校長を見て首をかしげる。
まさか名前を忘れてしまったとかなのだろうか。
うん…………違うな。我ながらしょうもないボケをしてしまいそうになったぜ。
校長は俺の耳を見て聞いてくる。
「あなたは…………エルフじゃないんですか?」
「あ、俺は一応人間やってます」
俺は別に軽い会話の流れで言った。
実際、隣いるエルフリアも特に誰が聞いても驚かないよ、と言っていたのだ。
他種族でも多文化でも受け入れてくれる。それが魔法学院の特徴らしい。とてもいい学園であると思う。
しかし、校長は聞いていた話と真反対の表情をする。
目はこぼれそうなほど大きく見開き、口はリンゴ一つ入るぐらい開けていた。
そして、俺の悪い想像通り校長は叫び声をあげる。
「ぎゃあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉」
これから警備員の屈強な魔族たちが入ってきて色々とややこしくなってしまったのだ。
そのため一時間で終わるはずだった手続きも五時間かかったわけだ。
ちなみに、
「れ、レイさんが無害であるということもエルフの長になったということも…………納得しました」
絶対お前納得してないだろ。とツッコみたくなるような表情をして校長であるアールレイは首を縦に振る。
どうやらエルフリアの思考がいかれていただけで、魔族は人間慣れしていないらしい。
校長がここまで驚くのだ。生徒の表情など想像もできない。
「あ、ちなみに俺、元勇者なんで…………あ、これはオフレコでお願いしますよ?」
「…………あぅ」
「アールレイさん&⁉ 大丈夫ですか⁉」
急にぐったりとして意識を失ったアールレイ見て俺は動揺してしまう。
そんな俺を見てエルフリアは笑いながら言う。
「元勇者はやりすぎですよ。勇者だなんて人間のボスみたいな感じなんですから」
「…………」
エルフリアに説教されるのは納得いかないのは何故だろうか。無性に腹が立ってきてしまう。
「す、すみませんでした。あまりの衝撃に気を失ってしまいました」
「アハハ…………なんかすみません」
「いえいえ。それでレイさんにはこれをつけてもらいます」
そう言ってアールレイは【インベントリ】からつけ耳を取り出してくる。
やはり校長だなと俺は思う【インベントリ】など人間では俺と数人しか行使できなかった。
まぁ言いたいことは天才しか使えない技を簡単に使ってのける校長は天才級の魔術師ということだ。
俺と戦ったら俺が負けるかもしれない。
「エルフの耳ですか?」
「ええ。流石に生徒に人間がいるなどバレたら大惨事です」
校長は胃を押さえながら言う。
本当なら人間など願い下げだろうが、俺とてエルフの長だ。断ることができないのだろう。
しかし、こういう役職の人には同情しかできない。スローライフのかけらもないではないか。
まぁこんな現状を作った張本人の片割れが言うことではないが。
ちなみに片割れは特に気にしていないようだ。その図太い精神を分けてもらいたい。
「お願いします。できるだけ目立つ行動はしないでくださいね」
「分かりました。善処します」
「了解でーす」
こうして今に至るのだった。
朝、学生たちを集団気絶させたやつ? そんなの知らないね。
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